Last-modified: 2015-12-20 (日) 11:30:39 (671d)

【5500トン級】(ごせんごひゃくとんきゅう)

旧日本海軍が1910年代〜1920年代初頭にかけて建造した軽巡洋艦シリーズの通称。
このタイプで最初に就役した「球磨」の基準排水量が5500トンであったことから命名された。
以下の3タイプ・14隻からなる。

  • 球磨型:
    球磨・多摩・北上・大井・木曾
  • 長良型:
    長良・五十鈴・名取・由良・鬼怒・阿武隈
  • 川内型:
    川内・神通・那珂

同タイプはこの当時推進されていた「八八艦隊計画」のもと、駆逐艦水雷戦隊)や潜水艦潜水戦隊)を率いて主力艦の援護や艦隊決戦時の敵艦隊の動向探知・威力偵察、戦闘終了後の残敵掃討などの幅広い任務をこなすことが期待されていた。
しかし、1930年代後半に入ると急速に老朽化・陳腐化が進んだため、代艦の建造が望まれたが、日華事変に伴う予算不足のため、全部を交代させることは最後までできなかった*1
またそれらは、旗艦能力に特化したものであり、本来の軽巡洋艦のような汎用性は持ち合わせていなかった。

太平洋戦争開戦前には「北上」と「大井」が、酸素魚雷4連装発射管5基を搭載する「重雷装艦」に改装されたが、既に海上戦闘のドクトリン航空主兵主義に移行していたためほとんど出番がなく、後に魚雷発射管の一部を降ろして高速輸送艦として改装された。
「北上」は大戦末期に人間魚雷「回天?」の発射母艦へと再改造されたが、こちらも出番はなかった。

また、「五十鈴」が1944年の損傷復旧の際、主砲を全て降ろして連装高角砲に交換し「防空巡洋艦」となった。*2

前述のように竣工が1910〜1920年代であったため、第二次世界大戦の頃には既に旧式化していたが、兵器としての評価は意外に高く、アメリカ海軍では本艦型を「警戒すべき相手」と見做していたという*3
この後に「夕張」を経て重巡洋艦の建造へと移行していくが、結果的に異常進化ともいえるそれらはコスト・パフォーマンスが悪く、本級から正常進化した汎用性に優れた軽巡洋艦が建造されなかった事が惜しまれる。

スペックデータ

球磨級
排水量
基準/常備?/満載
5,100t/5,500t/5,832t
全長162.15m
水線長158.5m
全幅14.17m
喫水
(常備)
4.80m
主缶ロ号艦本式罐・重油専燃×10基
同石炭・重油混焼罐×2基
主機技本式ギヤードタービン×4基4軸推進
技本式タービン×2基2軸推進(北上(回天搭載艦後))
ブラウンカーチス式ギヤードタービン×4基(大井)4軸推進
最大出力90,000shp
35,110shp(北上(回天搭載艦時))
速力36.7ノット
23.0ノット(北上(回天搭載艦時))
33.6ノット(大井(重雷装艦改装後))
航続距離5,000海里/14ノット
燃料重油:1,260t
石炭:350t
乗員450名
武装竣工時:
三年式50口径14cm単装速射砲×7基7門
三年式40口径8cm単装高角砲×2基2門
六年式53cm連装魚雷発射管×4基8門
一号機雷×48個

大井・北上(重雷装化後):
三年式50口径14cm単装速射砲×4基4門
九六式60口径25mm連装機銃×2基2門
61cm4連装魚雷発射管×10基

北上(回天搭載艦後):
八九式40口径12.7cm連装高角砲×2基
九六式60口径25mm三連装機銃×12基
同単装機銃×31基
回天×8基
爆雷投下軌条×2条

大井・北上(高速輸送艦改装時):
4連装魚雷発射管×8基32門
大発動艇×2艘
九六式60口径25mm三連装機銃×2基
爆雷投下軌条
装甲舷側:25mm+38mm(機関部のみ)
甲板:16〜29mm
主砲防盾:20mm(最厚部)
司令塔:51mm(防盾)/25mm(天蓋)
艦載機水上偵察機×1機(木曾)
装備滑走台×1基
20tクレーン×1基*4(北上(回天搭載艦後))
電探22号対水上電探×1基(北上(回天搭載艦後))


長良級
排水量
基準/常備?
5,170t/5,570t
全長162.15m
全幅14.17m
喫水
(常備)
4.80m
機関ロ号艦本式罐・重油専燃×10基
同石炭・重油混焼罐×2基
技本・三菱・パーソンス式オールギヤードタービン*5×4基4軸推進
最大出力90,000shp
速力36ノット
航続距離5,000海里/14ノット
乗員440名
武装50口径三年式14cm単装砲×7基7門
40口径三年式8cm単装高角砲×2基2門
三年式6.5mm機銃×2挺
八年式連装魚雷発射管×4基8門(魚雷16本)
機雷×48個
艦載機・装備水上偵察機1機
呉式2号射出機3型改1×1基


川内級
排水量
(基準/常備)
5,195t/5,595t
全長162.15m
全幅14.2m
吃水
(常備)
4.8m
機関ロ号艦本式罐・重油専燃×10基
同石炭・重油混焼罐×2基
パーソンズ式オールギアードタービン*6×4基4軸推進
出力90,000shp
最大速力35.3ノット
乗員440名
兵装50口径14cm単装砲×7門
61cm連装魚雷発射管×4基8門
40口径8cm単装高角砲×2門
九三式機雷×56個
装甲水線:64mm
甲板:29mm
搭載機水上偵察機×1機


同型艦

球磨級

艦名主建造所起工進水就役除籍備考
球磨佐世保海軍工廠1918.8.291919.7.141920.8.311944.3.101944.1.11 戦没*7
多摩三菱造船長崎造船所1918.8.101920.2.101921.1.291944.12.201944.10.25 戦没*8
北上佐世保海軍工廠1919.9.11920.7.31921.4.151945.11.30終戦時残存
工作艦として復員輸送を支援
1946. 長崎で解体
大井神戸川崎造船所1919.11.241920.7.151921.10.31944.9.101944.7.19 戦没*9
木曾三菱造船長崎造船所1919.6.101920.12.141921.5.41945.3.201944.11.13 戦没
(米軍機の攻撃による。)


長良級

艦名主建造所起工進水就役除籍備考
長良佐世保海軍工廠1920.9.91921.4.251922.4.211944.10.101944.8.7 戦没*10
五十鈴浦賀船渠1920.8.101921.10.291923.8.151945.6.201945.4.7 戦没*11
名取三菱造船長崎造船所1920.12.141922.2.161922.9.151944.10.101944.8.18 戦没*12
由良佐世保海軍工廠1921.5.211922.2.151923.3.201942.11.201942.10.25 沈没*13
鬼怒神戸川崎造船所1921.1.171922.5.291922.11.101944.12.201944.10.26 戦没
(米軍機の攻撃による。)
阿武隈浦賀船渠1921.12.81923.3.161925.5.261944.11.201944.10.26 戦没
(米軍機の攻撃による。)


川内級

艦名主建造所起工進水就役除籍備考
川内三菱造船長崎造船所1922.2.161923.10.301924.4.291944.1.51943.11.2 戦没
ブーゲンビル島沖海戦?
神通神戸川崎造船所1922.8.41923.12.81925.7.311943.9.11943.7.13 戦没
コロンバンガラ島沖海戦?
那珂横浜船渠1922.6.101925.3.241925.11.301944.3.311944.2.17 戦没
(米軍機の攻撃による。)
加古佐世保海軍工廠
(予定)
1922.2.15-大正10年度予算で建造。
1922年3月17日建造中止。
後に一等巡洋艦として建造



*1 代艦の建造は「阿賀野」型4隻・「大淀」型2隻(うち1隻は対米開戦に伴いキャンセル)のみにとどまった。
*2 しかし、レーダー連動式の射撃管制装置が実用化できなかったため、実戦での効果的な対空射撃は困難だった。
*3 カウンターパートであるオマハ級では、対抗は難しいと考えられていた。
*4 空母「千歳」から移設。
*5 「鬼怒」は川崎・ブラウン式オールギヤードタービンを搭載。
*6 「神通」のみブラウン・カーチス式オールギアードタービンを搭載。
*7 英海軍「ツタンカーメン」級潜水艦「タリホー(HMS Tally-ho, P-317)」の雷撃による。
*8 米海軍潜水艦「ジャラオ(USS Jallao, SS-368)」の雷撃による。
*9 米潜水艦「フラッシャー(USS Flasher, SS-249)」の雷撃による。
*10 米潜水艦「クローカー(USS Croaker, SS-246)」の雷撃による。
*11 米潜水艦「ガビラン(USS Gabilan, SS-252)」「チャー(USS Charr, SS-328)」の雷撃による。
*12 米潜水艦「ハードヘッド(USS Hardhead, SS-365)」の雷撃による。
*13 米軍機の攻撃により航行不能となり、「夕立?」と「春雨?」によって雷撃処分された。

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