Last-modified: 2023-07-18 (火) 07:34:04 (135d)

【5号戦車】(ごごうせんしゃ)

Panzerkampfwagen / Pz.kpfw. / Panzer / Panther

第二次世界大戦期のドイツ陸軍で運用さらた中戦車
バルバロッサ作戦に於いて出現した「T-34」や「KV-1」と言った強力なソ連戦車に対抗可能な、強力な砲を搭載し高い防御力を備える中戦車として1941年11月から開発され、1942年11月に採用された。

T-34を凌駕するために火力、重装甲を兼ね備え、尚かつ重量30t以内という思想で開発されたが、最終的には44tと大きく超過してしまい、650馬力という比較的強力なエンジンを備えていたが、トランスミッション等の走行装置に不具合を抱えてしまった。

しかし、戦況の逼迫からその不具合を改修するための時間は存在せず、そのままの状態で5号戦車「パンターD型」として採用、クルスクでの戦い(ツィタデレ(城塞)作戦)に投入された。
そして、その殆どが駆動系を故障、燃料漏れによる火災で2両全焼等、実用性が問われる結果となった。

その後に改良が実施されたA型、G型、F型は期待通りの性能を発揮し、特に搭載された7.5cm KwK 42/L70は111mmの装甲を1,000mm先から貫徹、弾道も良好の為、遠距離から連合国軍戦車を比較的容易に撃破する事が可能であった。
また、基本的な車体構造はそれまでのドイツ戦車と同様の圧延均質鋼板の溶接構造だが装甲を傾斜させた、いわゆる避弾径始の概念が取り入れられている。
そのため、本車の外見はそれまでの垂直装甲主体のドイツ戦車とは一線を画している。

装甲は乗員の集中する砲塔に偏っており、車体側は比較的装甲が薄かった。
特に、車体側面下部は対物ライフルでも貫通する事が可能であったとされる程脆弱であった。
乗員は砲塔に車長、装填手、砲手、車体側に通信士兼機関銃士、操縦士の計5名。

なお、5号戦車には「パンター2」と呼ばれる6号戦車B型と部品を共通化、整備を容易とし更に防御力の強化を目指した発展型の計画があったが、開発はされなかった。

関連:エルンスト・バルクマン?

スペックデータ

乗員5名
全長8.66m
車体長6.87m
全高2.85m
全幅3.27m
重量44.8t
懸架方式ダブルトーションバー方式
エンジンマイバッハ HL230P30 水冷4ストロークV型12気筒ガソリンエンジン
(出力700馬力(520kW))
速度55km/h(整地)
33km/h(不整地)
行動距離250km
武装70口径7.5cm KwK.42 L/70×1基(79発)
MG34 7.92mm機関銃×2挺(4,200発)
装甲11mm 傾斜11°(砲塔前面)
45mm 傾斜25°(砲塔後・側面)
80mm 傾斜55°(車体前面)
40mm 傾斜40°(車体側面)
40mm 傾斜30°(車体後面)

各型式(アルファベット順ではない事に注意)

  • D型(842両):
    初期量産型。MAN、ダイムラー・ベンツ、ヘンシェル*1、MNH各社で生産された。
    武装は70口径75mm KwK.42/L70、7.92mm×1挺。主砲の照準装置は双眼式のTZF12を装備。
    エンジンは第250号車まではマイバッハHL210 P30(出力650PS/3000rpm)が搭載されている。

  • A型(約2,200両):
    D型の改良型。MAN、ダイムラー・ベンツ、MNH、デマーク各社により製造された。
    鋳造製新型キューポラ・ボールマウント式機銃架「クーゲルブレンデ80」・単眼式のTZF12a主砲照準器を装備、若干の構造変更、変速機を変更し駆動系の信頼性向上。
    砲塔旋回速度の変更ができるようになり、標的の捕捉が容易になった。
    他はD型と同一。

  • G型(3,100両(2,953両説もあり)):
    最多生産モデルで、開発中止になったパンター兇任硫良点を加えた事実上のパンターの完成型。
    MAN、ダイムラー・ベンツ、MNH各社で製造された。
    防御力向上の為、開口部が減少し側面装甲が強化された。
    ヤーボによる航空攻撃対策のため、上部装甲厚も強化。
    後期型はD・A型で問題となったショットトラップ回避のため、砲塔防盾に「あご」状の張り出しを付けている。
    一部の車両は赤外線暗視装置を搭載し、実戦使用された。
    後はA型と基本的に同じ。

  • F型:
    前面投影面積を減少且つ車体上面・下部の装甲厚を増やし(120mm)、砲塔防盾をザウコフ型防盾に変更し、SZF1潜望鏡式照準器が装備された小防弾型砲塔「シュマールトゥルム(パンター2用砲塔)」に変更。
    主砲はチェコのシュコダ社の開発したKwK44/1に変更され、ステレオ式測距器が装備された。
    他にも操縦手、装填手用ハッチのスライド式への変更、車体前面機銃をMG34?からMG42へ変更、乗員自衛用のMP43?装備などが行なわれている。
    終戦により試作1両のみ。
    現在は砲塔のみがボービントン戦車博物館に展示されている。

  • パンター供
    A型以前に計画開始された、D型には間に合わなかった点を取り入れ改設計された型。
    MAN社で試作車1両が完成したが*2、既に各工場ともパンター気寮源困納螳貲佞世辰燭海函▲僖鵐拭辞兇粒発に労力を費やすよりも従来型に足回り以外の改良点を反映させた方が現実的である(これは後にG型として結実する)との判断から量産化は断念された。
    試作車はアメリカに鹵獲され試験された後、G型の砲塔を乗せた状態でパットン戦車博物館に保存展示されている。

派生型

  • パンター指揮戦車(Sd.Kfz.267):
    無線装備を充実させた指揮戦車型。
    標準的なFu5無線機に加え、上級司令部などとの連絡用にFug8長距離用無線機と星形アンテナ(独:シュテルン・アンテネ)を搭載。
    主砲はそのまま搭載されているが搭載弾薬が64発に減らされ、主砲同軸機銃が撤去されている。

  • 戦車回収用機材 パンター(PzBergeWg?(Panther機.Sd.kfz.179):
    車台を利用した戦車回収車。
    ベルゲパンター(Bergepanther)、パンター戦車回収車(Pz.Berge.Wg.Panther)とも呼ばれる。

    • 暫定型:
      D型の車体に開閉可能な木製の箱形上部構造物と簡易クレーンを搭載した型。

    • ベルゲパンターA型:
      ボールマウント式銃架を持たないA初期型車体にウィンチと大型の駐鋤を装備した型。

    • ベルゲパンターG型:
      車体前面にMG34機銃のボールマウント式銃架を装備したG型車体に、操縦手・無線手用それぞれのペリスコープカバー上に対空銃架用台座を追加し、A型で用いられた回収器材を搭載した型。

  • 装甲砲兵観測車 パンター(PzBeobWg? Panther):
    砲兵用観測戦車。
    主砲は木製のダミー砲身に換装され、ダミー砲身横にボールマウント式のMG34機銃を増設、距離計など砲兵用の観測機材と無線機を装備した。
    その後一部または全ての車両が戦車型に再改造された。

  • M10偽装車(Ersatz M10):
    G型にアメリカ軍のM10 GMC対戦車自走砲を模した偽装を施した型。
    西部戦線における最後の大反攻「クリストローゼ作戦」(アルデンヌの戦い)の一端でアメリカ軍部隊に変装して潜入を図る「グライフ作戦」用に少なくとも5両が改修された。

  • ヤークトパンター?
    パンターの車体を元に、71口径8.8cm対戦車砲(8.8cm PaK 43/3 L/71)を搭載した駆逐戦車。

  • 3.7cm連装高射砲搭載パンター戦車(ケーリアン)(Flakpanzer Coelian):
    対空戦車型。Flak 43 3.7cm高射砲を連装で搭載した。モックアップのみ。

  • 星型空冷エンジン搭載車:
    MAN社での独自試作型。
    G型にBMW 132空冷星型9気筒エンジンを組み込んだもの。
    整備面での問題*3から計画中止となった。

  • ガスタービン試験車:
    ヤークトパンターの試作車にGT 101ガスタービンユニットを搭載した型。

  • オストヴァルトゥルム(Ostwallturm:「東方の壁砲塔」の意):
    パンターの砲塔を地上に置いて固定砲台としたもの。
    野砲榴弾に耐えられるように上面装甲が40mmに強化され、姿勢の高いキューポラを撤去し平板なハッチに変更した物も多い。
    鋼鉄装甲箱に載せられた儀拭碧づ禺蠧粟回)と、コンクリート製の地中トーチカに載せられた祁*4(砲塔旋回モーター用発電機と居住施設・ストーブを装備)が実際に使われた。


*1 車体のみが製造。砲塔の製造はヴェクマン社が担当している。
*2 砲塔は開発完了していなかったためリング状のウェイトを載せていた。
*3 下側シリンダーの点火プラグとバルブの交換のためだけにエンジンを丸々取り出す必要があった。
*4 況燭箸垢訐發發△蝓

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