Last-modified: 2022-10-20 (木) 18:53:10 (43d)

【3号戦車】(さんごうせんしゃ)

Panzerkampfwagen / PzKpfw? / Panzer .

第二次世界大戦で活躍したドイツ陸軍戦車

第一次世界大戦で破れたドイツはベルサイユ条約で軍備に厳しい制限を受けていた。
そんな中、ハインツ・グデーリアン?中佐が従来の歩兵戦から戦車を主体とした機甲師団による機動戦(いわゆる電撃戦)構想を提唱、これがヒトラーの目に留まることとなる。
この機甲師団を実現するための戦車開発は1934年に極秘裏に開始され、1935年のドイツ再軍備宣言で加速、年末には試作第1号が完成した。
当初は3.7cm砲のみを搭載する予定であったが、グデーリアンの指摘で将来的に5cm砲への換装に対応出来るように設計変更されるなど、改修が加えられたのち1939年に制式化された。

車体は溶接構造の箱形で(但し、車体上部と下部はボルト止め)、車内配置は前から操縦室、戦闘室、エンジンルームとなっていた。
砲塔は3人用で車長、砲手、装填手の座席があり、車体には操縦手と機関銃手兼通信手の座席があって計5人が搭乗でき、各人にインターコムが与えられ車内通話が可能であった。

出現時は同世代の戦車と比べても十分優れた戦車であり、実戦でも活躍すると考えられていた。
しかし第二次世界大戦開戦時には他国戦車と比べて旧式化が進んでおり、序盤の機動力を活かした電撃戦は成功したものの、連合国側に3.7cm砲で撃破不能な戦車が続出、火力不足が目立った。
しかし、5cm砲へ換装出来たことが幸いして、装甲強化などと合わせて無理はあったものの大戦中期まで運用は継続された。
その後も砲塔を廃して車体に直接7.5cm砲を搭載した「3号突撃砲?」として、終戦まで活躍した。

スペックデータ

乗員5名(車長・砲手・装填手・操縦手・機関銃兼通信手)
全長6.41m
車体長5.56m
全高2.51m
全幅2.95m
重量22.7t
懸架方式トーションバー方式
リーフスプリング方式(D型/B型)
エンジン4ストロークV型12気筒水冷ガソリンエンジン
初期型:マイバッハ HL108TR(250馬力)
量産型:マイバッハ HL120 TRM(出力300馬力(221kW))
速度
(整地/不整地)
40km/h / 19km/h
行動距離155km
装甲57mm(砲塔前面)
30mm(砲塔側・後面)
50+20mm(車体前面)
30mm(車体側面)
50mm(車体後面)
主砲A〜F型:46.5口径3.7cm KwK 36(120発)
G〜J型:42口径5cm KwK 38(99発)
L〜M型:60口径5cm KwK 39(84発)
N型:24口径7.5cm KwK 37(56〜64発)
副武装MG34 7.92mm機関銃×2挺(3,750発)

各型式(カッコ内は生産台数)

  • A型(10輌):
    初期生産型。
    コイルスプリング式転輪を装備した。

  • B〜D型(15輌(B型・C型)/30輌(D型)):
    増加試作型。
    板バネ式転輪の採用やサスペンション・装甲の強化など、プロトタイプであるA型の不具合を段階的に改善した。
    また、D型では変速機や起動輪、誘導輪、キューポラも新型のものに改められた。
    重量15.4t、武装37mm砲×1門、7.92mm機関銃×2挺、装甲厚14.5mm(C型)

  • E型(96輌):
    初期量産型。
    トーションバー式サスペンションを採用し、車体全体の装甲厚を30mmに強化*1した。
    重量19.5t、最大速度40km/h。

  • F型(435輌):
    E型の主砲を50mm KwK 38 L/42に換装し、砲塔換気装置や煙幕発生装置などを改良したタイプ。
    それ以外はE型と同じ。

  • G型(600輌):
    生産時から50mm砲を搭載したタイプ。
    車体後部の装甲が強化されている。
    一部に37mm砲搭載車あり。

  • H型(308輌):
    G型までの装甲機動力不足を改善し、砲塔の設計も変更したタイプ。
    車体前後部に30mmの増加装甲をボルト止めで装着した。
    武装は変わらずだが、重量が21.6tに増加したため、履帯幅を太くし、接地圧を低減して機動力の低下を防いだ。

  • J型(2,616輌(短砲身型1,549輌・長砲身型1,067輌):
    主砲をより強力な50mm KwK 39 L/60に換装*2、火力強化を図ったタイプ。
    装甲はボルト止めの増加装甲を止め、50mm厚の一枚板に変更した。

  • L型(653輌):
    J型の装甲強化及び簡易生産型。
    砲塔前面の装甲厚を57mmに、車体前面と砲塔防盾に20mmの増加装甲を追加し、それらは成形炸薬弾対策のため中空装甲とされた。

  • M型(250輌):
    L型ベースに渡河能力を強化した最終生産型。
    基本的にはL型と変わらずだが、エンジンルーム左右の吸気口、後部オーバーハング下の排気口にそれぞれ水密ハッチが付き、エンジンマフラーは防水弁付きの新型が高い位置に設けられた。

  • N型(新造663輌、J型車体3輌、L型車体447輌、M型車台213輌、修理で後送されてきたもの37輌):
    L型・M型ベースの支援戦車タイプ。主砲に余剰となったKwK37 L/24 7.5cm砲を搭載。
    戦闘室前面の中空装甲は装備されているが、砲塔防盾の中空装甲は未装備、またはその取り付け架のみ装備の車輌が多い。

1943年3月頃より、本車には「シェルツェン」と呼ばれる5mm厚の対成形炸薬弾、対対物ライフル用増加装甲を装備、1944年には磁石を利用した地雷を防ぐためツェメリットコーティングが施されている。

派生型

  • 3号観測戦車(砲兵用観測戦車(3号戦車))(Artillerie-Panzerbeobachtungswagen (Panzerkampfwagen ), Sd.Kfz.143)(262輌):
    E型〜H型を改装した砲兵用観測戦車。
    主砲はダミーに換装され、砲塔上面には、観測用の引込式大型ペリスコープが取り付けられ、また車体各部には30mmの増加装甲が施された。

  • 3号火炎放射戦車(3号戦車(火焔型))(Panzerkampfwagen (Fl), Sd.Kfz.141/3)(100輌):
    M型の車台をベースに主砲を火炎放射器に変更した火炎放射戦車。
    搭載された火炎放射器は、55〜60m(資料によっては100m)の飛距離を持っていた。

  • Minenräumpanzer 掘
    車高を上げた傾羸鐚崋崑罎鰺用した地雷処理車両。試作のみ。

  • MunPz?
    旧式傾羸鐚屬魏造した弾薬運搬車。

  • PiKpfw?
    砲塔を撤去し機材用架台を装備した工兵用戦車。

  • 指揮戦車D型(Panzerbefehlswagen, Sd.Kfz.266, PzBefWg? D1)(30輌):
    D型にダミー主砲とフレームアンテナを装備した指揮戦車。
    砲塔上面の小ハッチを通し大型のアンテナマストを立てることも可能であった。

  • 指揮戦車E型(Panzerbefehlswagen, Sd.Kfz.267, PzBefWg? E)(45輌):
    PzBefWg? D1と同様の指揮戦車。E型ベース。

  • 指揮戦車H型(Panzerbefehlswagen, Sd.Kfz.268, PzBefWg? H)(175輌):
    PzBefWg? D1と同様の指揮戦車。H型ベース。

  • 指揮戦車K型(Panzerbefehlswagen mit 5cm KwK39/2 L/60)(50輌):
    J型をベースにした指揮戦車。
    戦車型同様の主砲(KwK39の改良型であるKwK39/2 60口径5cm砲)を中央よりやや左に備えていた。
    PaK38 60口径5cm対戦車砲の弾薬も使用可能になった。

  • 42口径5cm戦車砲付き指揮戦車(Panzerbefehlswagen mit 5cm KwK39 L/42, Sd.Kfz.141)(185輌):
    通常の戦車型に長距離無線機を増設した、簡易指揮戦車型。J型ベース。
    無線機の増設のため、車体銃は廃止されるとともに搭載弾薬は削減された。

  • 3号潜水戦車(Panzerkampfwagen als Tauchpanzer):
    「アシカ作戦」用にF型、G型、H型をベースにした潜水戦車。
    水密処理を施し、水面上の無線アンテナ付きブイとの間を吸排気用ホースで結び、水深15メートルまでの水底で行動可能であった。
    アシカ作戦の中止により、シュノーケルを固定式のパイプに改めるなど河川用に再改装され、バルバロッサ作戦初期に用いられた。

  • 3号回収戦車(Bergepanzer 掘法150輌):
    砲塔を撤去し組立式クレーンを装備した戦車回収車。

  • Schachtellaufwerk:
    大型千鳥式配列転輪を装備した試作車。試作のみ。

  • 2cm Flakvierling38搭載3号対空戦車(Flakpanzer 掘法
    3号戦車の車体に4号対空戦車「ヴィルベルヴィント」の砲塔を搭載した対空戦車。生産されず。

  • 3.7cm Flak 43搭載3号対空戦車(Flakpanzer 掘3.7cm Flak43 auf Fahrgestell Pz.Kpfw.III Ausf.M Versuchsaufbau)):
    3号戦車の車体*3に4号対空戦車「オストヴィント」の砲塔を搭載した対空戦車。
    90両の生産が計画されたが最終的な生産数は不明。

  • 3号突撃砲?
    75mm砲を搭載した自走砲。詳しくは項を参照。

    • 10.5cm突撃榴弾砲42:
      3号突撃砲と同一の車体に、10.5cm leFH 18軽榴弾砲の車載型、10.5cm StuH 42を搭載したもの。
      量産型は当初F/8型シャーシ、後にG型シャーシを用いて製作され、終戦まで1,212両が完成した。

    • 33B突撃歩兵砲:
      3号戦車の車台に密閉式の箱型戦闘室と15cm sIG33重歩兵砲を搭載したもの。

  • SG-122(少数):
    ソ連軍鹵獲した3号戦車の車体に固定戦闘室を搭載し、M-30 122mm榴弾砲を搭載した自走砲。

  • SU-76i(200両):
    ソ連軍が鹵獲した3号戦車の車体に固定戦闘室を搭載し、S-1 76.2mm戦車砲を搭載した自走砲。


*1 後部のみ21mm。
*2 但し、初期型は主砲に50mm KwK 38 L/42を搭載。
*3 正確には、3号戦車の生産が終了していたため、それぞれ前線から戻ってきた、3号突撃砲の車体下部と、3号戦車の砲塔リングを含む車体上部を、組み合わせた再生車体。

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