Last-modified: 2016-11-09 (水) 17:54:08 (283d)

【彗星】(すいせい)

空技廠(海軍航空技術廠)D4Y2.

大東亜戦争中期に開発・生産された、日本海軍艦上爆撃機
連合国軍のコードネームは"Judy"。

当初、海軍は九九式艦上爆撃機の後継としてドイツのHe118?国産化する計画を立てていたが、機体構造や量産準備に問題があり、また国産の意見も強かったので、結局は国産に落ち着いた。
結果海軍は、昭和13年に空技廠で試作されていた「十三試艦上爆撃機」を量産化することとして開発を開始した。

最大速度519km/h、航続距離1,842kmの要求はかなり厳しく、設計陣は徹底した空力的洗練を行うことで対応した。
そのためエンジンはダイムラーベンツ製の「DB-601A」液冷エンジンが採用(量産型はDB-601Aのライセンス生産品である熱田一二型を搭載)され、爆弾も爆弾槽に収納されることになった。
昭和15年1月には試作機が完成し、予想通りの高性能を発揮したが、各部改修や強度問題の発生などで採用が遅れ、昭和18年12月にようやく「彗星一一型」として制式採用された。

なお、制式採用より以前、爆弾槽にカメラを装備したタイプが「二式艦上偵察機」として蒼龍?に先行して搭載され、ミッドウェー海戦にも参加した。

しかし、空冷エンジンを搭載した機体がほとんどだった日本製航空機には馴染みが薄く、整備しづらい傾向が強かった液冷エンジンは、不調による稼働率の低さに悩まされ、後に空冷エンジンに変更した機体も製作されている。

スペックデータ

形式彗星一一型彗星一二型彗星三三型
機体略号D4Y1D4Y2D4Y3
乗員パイロット2名
全長10.22m10.24m*1
全高3.175m3.069m
全幅11.5m
主翼面積23.6
自重2,510kg2,635kg2,501kg
過荷重重量3,960kg4,353kg4,657kg
プロペラハミルトン定速3翅
発動機愛知「熱田」二一型
液冷倒立V型12気筒
(離昇1,200馬力)
愛知「熱田」三二型
液冷倒立V型12気筒
(離昇1,400馬力)
三菱「金星」六二型
空冷星型複列14気筒
(離昇1,560馬力)
最高速度546.3km/h(高度4,750m)579.7km/h(高度5,250m)574.1km/h(高度6,050m)
上昇限度10,700m
上昇力9分28秒/高度5,000m7分14秒/高度5,000m9分18秒/高度6,000m
航続距離1,783km(正規)
2,196km(過荷)
1,517km(正規)
2,389km(過荷)
1,519km(正規)
2,911km(過荷)
固定武装7.7mm固定機銃×2挺
(機首・携行弾数各600発)
7.7mm旋回機銃×2挺
(後上方・97発弾倉×6)
7.7mm固定機銃×2挺
(機首・携行弾数各400発)
7.7mm旋回機銃×2挺*2
(後上方・97発弾倉×6)
7.7mm固定機銃×2挺
(機首・携行弾数各400発)
7.7mm旋回機銃×2挺
(後上方・75発弾倉×3)
爆装250kgまたは500kg爆弾×1発
(胴体)
250kgまたは500kg爆弾×1発
(胴体)
30kg〜60kg爆弾×2発
(翼下)
250kgまたは500kg爆弾×1発
(胴体)
250kg爆弾×2発
(翼下)
生産機数2,157機(空冷型等含む)


主なバリエーション

  • 十三試艦上爆撃機(D4Y1):
    DB-601A液冷エンジンを搭載した試作型。生産数5機。

  • 二式艦上偵察機一一型(D4Y1-C):
    カメラと爆弾倉内蔵式増槽を追加した艦上偵察機型。

  • 二式艦上偵察機一二型(D4Y2-C/R)*3
    発動機を「熱田」三二型に換装した艦上偵察機型。

    • 二式艦上偵察機一二甲型(D4Y2-Ca/Ra):
      後方旋回機銃を13mm機銃に強化した型。

  • 彗星一一型(D4Y1):
    「熱田」二一型(公称1,010hp)発動機搭載の初期型。

  • 彗星一二型(D4Y2):
    「熱田」三二型(公称1,340hp)発動機を搭載する艦上爆撃機型。
    風防形状や照準器が変更されている。

    • 彗星一二甲型(D4Y2a):
      後部旋回機銃を13mm口径に変更した武装強化型。

  • 彗星一二戌型(D4Y2-S):
    偵察員席後方に20mm斜銃4丁を搭載した試作夜間戦闘機
    三〇二空を始めとする本土防空部隊と芙蓉部隊?に配備された。

  • 彗星二一型(D4Y1改):
    伊勢型航空戦艦への搭載用に機体を強化し、カタパルト射出可能に改造した型。
    一一型から改造。発動機は「熱田」三二型に換装されている。

  • 彗星二二型(D4Y2改):
    航空戦艦への搭載用に機体を強化し、カタパルト射出可能に改造した型。
    一二型を改造。

  • 彗星二二甲型(D4Y2a改):
    航空戦艦への搭載用に、一二甲型をカタパルト射出可能に改造した機体。

  • 彗星三三型(D4Y3):
    液冷エンジンの稼働率の悪さから、空冷の金星六二型(離昇1,560馬力)に換装した機体。
    試作機を除き制動フック無し。
    一二型同様、後方旋回機銃を13mm機銃に強化した三三甲型(D4Y3a)も生産された。
    宇垣中将の最後の乗機も本機である。

  • 彗星四三型(D4Y4):
    後席を廃止し*4、防弾装備を強化、爆弾倉扉廃止などの改修を施した簡易型。
    加速用の火薬ロケットを装備するために胴体下部にロケット装着用の大きな切欠きがある*5

  • 彗星五四型(D4Y5):
    発動機を「誉」一二型(公称1,650hp)に換装した型。計画のみ。


*1 愛知航空機の資料による。
*2 後期生産型は、三三型と同じく7.92mm旋回機銃を搭載。
*3 なお、文献では主にD4Y2-Rが使われているが、陸上基地からの運用が多かった事からであり、D4Y2-Cも誤りではない。
*4 一部は複座型に戻されている。
*5 空気力学的な問題から、実際は未装備だった。

トップ 編集 凍結 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード 新規 一覧 単語検索 最終更新ヘルプ   最終更新のRSS