Last-modified: 2022-09-18 (日) 18:35:26 (82d)

【塹壕戦】(ざんごうせん)

戦争において、当事国同士が戦場に長大な塹壕を築城し、互いに相手の塹壕を突破できずに長期に渡って戦線が膠着した状況。
俗に第一次世界大戦を指す。

これを引き起こしたのは、その10年前に起きた日露戦争の旅順要塞攻防戦における戦訓が基であった。

この戦いで旅順要塞に籠もったロシア軍は、効率的な障害システムによる足止めと機関銃による弾幕によって、乃木希典将軍率いる日本軍攻略部隊を迎え撃った。
この防御体制は、現代の基準で考えても歩兵による突破はほぼ不可能なものであったが、日本軍は十分な戦力による突撃で、甚大な損害を受けながらもこれを突破した。

しかし、第一次世界大戦時の参戦各国軍は、旅順要塞と同等の防御体制を幾つもの塹壕線に備え、さらに敵塹壕線の間接砲撃のための火砲を大量に配備した。
このため、攻略を試みたところでその度に大損害を受け、たとえ攻略せずとも常時、間接砲撃による被害が発生した。
こうした戦争形態から、第一次世界大戦は史上空前の膨大な戦死傷者を生み出す事となる。

それから間もなくして、これを無力化できる新たな兵器として、機関銃では破壊不可能な装甲を持つ「戦車」と、地形に左右されない優れた機動力と打撃力を併せ持つ「爆撃機」が登場、塹壕戦は早くも短い歴史に終わりを告げることになる。
しかし、その短い歴史は間違いなく当時の「史上空前の惨劇」であり、「世界大戦」という異常事態を人類史最大の汚点として世界に知らしめたものである。

その衝撃と畏怖がいかほどのものだったかは、その後の国際連盟?不戦条約の動きなどをみても明らかだろう。
いわゆる人権運動、平和主義は全て塹壕戦の惨禍に対する厭戦感情から始まったと見る向きさえある。

その戦禍のあまりの恐ろしさゆえに当時の有識者達のほとんどが「欧州大戦を上回る戦争はもう二度と起こらないだろう」と予測していたほどだった。
しかし、それは第二次世界大戦の勃発によって否定された。


トップ 編集 凍結 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード 新規 一覧 単語検索 最終更新ヘルプ   最終更新のRSS