Last-modified: 2017-01-04 (水) 21:26:23 (343d)

【烈風】(れっぷう)

三菱 A7M1.
1944年に三菱が開発した戦闘機アメリカ軍でのコードネームは「Sam」。

当時、海軍航空隊の主力戦闘機だった零戦を上回る機体が出現するのに備え、昭和15年から三菱に開発が命じられていたが、零戦の活躍が著しいのとそれへの対応、及び雷電の再設計に追われ、技術者の不足で一時中断していた。
その後、昭和17年に開発を再開した。

零戦と同等の航続力や機動性に加え、更に最高速度を639km/hに上げ、上昇力も6分/6,000mとしたことから相当厳しい要求であった。
特に翼面荷重値の制限が厳しく、それに対して主翼の面積を増やすことにより解決を試みたため、翼面推力比に欠け、運動性能は芳しい物ではなかった。

当初、三菱航空機は自社製の「ハ-43」エンジンを搭載する予定であったが、開発が先行していた「22型」エンジンに変更された。
また、軍部からの度重なる要求変更が更に開発を困難にした。
試作1号機は昭和19年4月にようやく完成するものの、22型エンジンでは最高速、上昇力不足が解消できず開発は暗礁に乗り上げた。
この時点で艦上戦闘機としての開発は中止された。

昭和19年10月には、局地戦闘機「烈風改」として改めて「ハ-43」を搭載し、これを飛ばしたところ要求性能をみごと達成した。
しかし、量産化のための修正や改修にてこずり、また、軍部が紫電改の生産に集中する指示を出したこともあり、試作/初期生産型の8機を製造しただけで終戦となった。

性能諸元

形式名十七試艦戦
(試製烈風)
烈風一一型
機体略号A7M1A7M2
乗員1名
全長10.995m11.040m
全高4.23m
全幅14.0m
翼面積30.86
空虚重量3,110kg3,267kg
正規全備重量4,410kg4,719kg
発動機中島/海軍空技廠 誉二二型
空冷星型複列18気筒×1基
(離昇2,000馬力)
三菱 「ハ四三」一一型(MK9A)
空冷星形18気筒×1基
(離昇2,200馬力)
最大速度574.1km/h(高度6,190m)624.1km/h(高度5,760m)
上昇力9分54秒/6,000m6分5秒/6,000m
上昇限度-10,900m
航続距離全力30分+2,315km(増槽あり)1,600km
全力30分+1,960km(増槽あり)
武装九九式二号四型20mm機銃×2挺
(翼内・携行弾数各200発)
三式13.2mm機銃×2挺
(翼内・携行弾数各300発)
九九式二号四型20mm機銃×4挺
(翼内・携行弾数各200発)
爆装30kg又は60kg爆弾×2発


派生型

  • 十七試艦上戦闘機/試製烈風(A7M1):
    誉二二型(離昇2,000馬力)を装備した試作型、試作8機のみ。
    初期試作機と後期試作機では燃料タンク配置や防弾装備が異なる。

  • 烈風一一型(A7M2):
    発動機をハ-43一一型(離昇2,200馬力)に換装した型。
    発動機以外は基本的にA7M1後期試作型とほぼ同じ装備を持つ。
    量産型は武装を九九式20mm機銃4挺に強化し、発動機を高高度性能の高いハ-43一二型(離昇2,150馬力)に換装する予定だった。
    艦上戦闘機ではなく局地戦闘機として採用されるが量産一号機の完成直前に終戦。

  • 烈風改(A7M3-J):
    発動機を排気タービン過給器付きのハ-43一一型ル(離昇2,200馬力)に換装、武装を翼内30mm機銃4挺、胴体30mm斜銃2挺に強化した高高度型。
    発動機の換装と排気タービン過給器の装備、武装強化のため操縦席周辺と尾翼を除く機体の大半を改設計した。
    試作機の製作準備中に終戦。

  • 烈風性能向上型(A7M3):
    A7M2の発動機を一段三速過給器付きのハ-43五一型(離昇2,130馬力)に換装、武装を翼内20mm機銃6挺装備に強化した高高度型。
    開発開始当初の名称は“仮称烈風三速”。試作機の製作準備中に終戦。

  • 次期甲戦闘機:
    A7M2またはA7M3-Jをベースにした機体に二段三速過給器付きのハ四四-二一型(離昇2,400馬力)を搭載した高高度戦闘機型。
    堀越二郎著『零戦』において二十試甲戦として紹介されている。計画のみ。


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