Last-modified: 2022-09-11 (日) 16:38:16 (591d)

【劣化ウラン弾】(れっかうらんだん)

弾芯に劣化ウラン(天然ウランからウラン235を濃縮した後の廃棄物)を使用した徹甲弾を特にこう呼ぶことがある。DU弾とも。
ただし、政治・人権上の議論対象となった概念の宿命として定義が不正確になっているきらいがあり、劣化ウランの害について言及される場合は、字義通り劣化ウランを使った弾丸(あるいは弾丸と同様の殺傷能力をもつ爆弾ミサイルも含めて)全てを指すものと考えて差し支えないだろう。

劣化ウランは比重がの2.2倍、鉛の1.7倍と大きく、そのうえ貫徹時に燃焼して内部の乗員を殺傷する焼夷弾効果、命中時に装甲に食い込みながら弾頭が削られ、先が尖ったまま浸徹するセルフシャーピング効果等があるなど、砲弾として非常に優れた性質を持っている。
元々、廃棄物由来の素材ではあるが、タングステン合金などに比べて桁違いに安価というわけではなく、(微弱ながらも)放射線を放つ放射性物質であり、不活性ガス中で低速切削加工するためにコスト的にはほぼ同等である。
主に機関砲滑腔砲で採用されている。

貫徹、燃焼後に放射線を発するエアロゾル状の微粒子が大気中に撒かれて被曝する危険性が指摘されており、クラスター爆弾燃料気化爆弾などと同様に非人道兵器として物議をかもしている。
アメリカ軍が劣化ウラン弾を多用したイラクでは幼児性の発ガン率が上昇している事がその論拠だが、米英政府の公式発表においては現在のところ医学的に関連は証明されていない。

そもそも、戦場になった場所で起きる健康被害は非常に複雑な事象であり、劣化ウランがどこまで関与しているかは定かでない。
仮に体内被曝を起こしていたとしても、発癌確率はタバコの副流煙と比較すれば無視して良いリスクだとする説もある。
その一方で、重金属であるウランを体内に入れること自体が水銀と同様に健康被害を起こすのであり、劣化ウランによるとされる健康被害のほとんどはこれだという説もある。

関連:湾岸戦争症候群 


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