Last-modified: 2017-07-08 (土) 08:41:25 (74d)

【零式艦上戦闘機】(れいしきかんじょうせんとうき)

日本海軍が1940年に制式採用した艦上戦闘機ゼロ戦と呼ばれることも多い。
海軍での形式名称は「三菱A6M」。米軍のコードネームは「Zeke(ジーク)(三二型はHamp)」。

本機の開発に当たって、日本海軍は500/hの速度九六式艦上戦闘機?と同等の機動力双発機なみの航続距離、高度3,000mまで3分30秒以内の上昇力などを求めた。
九六式艦上戦闘機?を手掛けた三菱の堀越二郎技師を主務者とする設計チームは、これらを実現するため、徹底した重量軽減と世界初の「超々ジュラルミン*1」の導入や、可変ピッチプロペラ引込式主脚水滴型風防落下増槽の採用、また胴体と主翼の一体構造化などを行うことで要求を実現させた。

同時期の欧米軍機に比べて軽量化の影響で防弾、機体強度などが見劣りしていたが、1,000馬力級エンジンから絞り出される極限の性能を有しており、機動力、航続力は単発レシプロ戦闘機史上画期的な機体となり、大戦初期の戦いでは世界最強の名を欲しいままにした。
このため、艦上戦闘機の最高傑作のひとつとして数えられることもある。

制式採用後、まもなく支那事変に投入されたが、このときの戦闘では、操縦士の技量の高さと相まって100機以上を撃墜し、対空砲火で2機が撃墜された以外は空戦での損害なしという一方的な勝利を収めた。
その後、大東亜戦争初期の真珠湾作戦フィリピン空襲?インド洋作戦?などでも無敵の活躍をした。

しかし、開戦から数ヵ月後の珊瑚海海戦の頃には、F4F「ワイルドキャット」の活躍によって大きな損害を被るようになっていった。これは急降下速度、防弾能力、無線を利用した連携力の差による。
本機の後継機の開発が思うように進まなかったため、幾度の改修で性能向上を図ったが、エンジン出力の向上や急降下速度、防弾能力の低さを抜本的に改良できず、大戦後期には性能が陳腐化し、ベテランパイロットが撃墜されることも多かった。
対する米軍は高速・重武装の新型戦闘機(F6FF4UP-38P-51等)を次々投入し、サッチ・ウィーブと呼ばれる編隊空戦法や本機が苦手とする一撃離脱を積極的に用いた。

結局、1945年の敗戦まで第一線で使用され続け、日本製航空機としては最多の約1万機が生産された*2
なお、本機の後継機である「烈風」の開発に目処が立ったのは大戦終盤の昭和19年10月で、敗戦までにわずか8機が生産されただけであった。

前述のように大東亜戦争の開戦から敗戦まで一貫して第一線にあり続けたことから、戦艦大和」と並んで有名な旧軍兵器として知られており、1990年代に大量に発表された「架空戦記」と呼ばれるフィクション作品にもしばしば登場している。

また、2009年には経済産業省から「近代化産業遺産群」に認定された*3

スペックデータ

零戦一一型系統
型名十二試艦戦
(1号機・2号機)
零戦一一型零戦二一型
機体略号A6M1A6M2aA6M2b
乗員1名
全長8.79m9.05m
全高3.49m3.53m
全幅12.0m
翼面積22.44
自重1,652kg1,671kg1,754kg
正規全備重量2,343kg2,326kg2,421kg
発動機三菱 瑞星一三型?
空冷複列星型14気筒
(離昇出力780hp)
中島 栄一二型?
空冷星型14気筒
(離昇出力940hp)
プロペラハミルトン定速3翅(プロペラ直径2.90m)
最高速度490km/h(高度3,800m)517.6km/h(高度4,300m)533.4km/h(高度4,550m)
上昇力6分15秒/5,000m7分27秒/6,000m
実用上昇限度-10,080m10,300m
降下制限速度-629.7km/h
航続距離-2,222km(正規)
3,502km(増槽あり)
全速30分+1,433km(正規)
全速30分+2,530km(増槽あり)
武装九九式一号20mm機銃?×2挺(翼内・携行弾数各60発)
九七式7.7mm機銃?×2挺(機首・携行弾数各700発)
爆装30kg又は60kg爆弾×2発


零戦三二型系統
型名零戦三二型零戦二二型零戦二二型甲
機体略号A6M3A6M3a
乗員1名
全長9.121m
全高3.57m
全幅11.0m12.0m
翼面積21.5422.44
自重1,807kg1,863kg1,871kg
正規全備重量2,535kg2,679kg2,713kg
発動機中島 栄一二型 空冷星型14気筒
(離昇出力1,130hp)
プロペラハミルトン定速3翅(プロペラ直径3.05m)
最高速度
高度6,000m)
544.5km/h540.8km/h540.1km/h
上昇力
(6,000mまで)
7分5秒7分19秒7分20秒
実用上昇限度11,050m10,700m
降下制限速度666.7km/h-629.7km/h
航続距離全速30分+1,052km(正規)
全速30分+2,134km(増槽あり)
全速30分+1,482km(正規)
全速30分+2,560km(増槽あり)
武装九九式一号20mm機銃×2挺(翼内・携行弾数各100発)
九七式7.7mm機銃×2挺(機首・携行弾数各700発)
九九式二号20mm機銃×2挺
(翼内・携行弾数各100発)
九七式7.7mm機銃×2挺
(機首・携行弾数各700発)
爆装30kg又は60kg爆弾×2発


零戦五二型系統
型名零戦五二型零戦五二型甲零戦五二型乙零戦五二型丙
機体略号A6M5A6M5aA6M5bA6M5c
乗員1名
全長9.121m
全高3.57m
全幅11.0m
翼面積21.30
自重1,876kg1,894kg1,912kg1,970kg
正規全備重量2,733kg2,743kg2,765kg2,955kg
発動機中島 栄二一型 空冷星型14気筒
(離昇出力1,130hp)
プロペラハミルトン定速3翅(プロペラ直径3.05m)
最高速度
(高度6,000m)
564.9km/h559.3km/h554.7km/h544.5km/h
上昇力7分1秒/6,000m-5分40秒/5,000m
実用上昇限度11,740m10,200m
降下制限速度666.7km/h740.8km/h
航続距離1,920km(正規)
全速30分+2,560km(増槽あり)
武装(翼内)九九式二号20mm機銃×2挺九九式二号機銃×2挺
三式13.2mm機銃?×2挺
武装(機首)九七式7.7mm機銃×2挺三式13.2mm機銃×1挺
(機首右側)
九七式7.7mm機銃×1挺
(機首左側)
三式13.2mm機銃×1挺
携行弾数各100発(翼内)
各700発(機首)
125発(翼内)
各700発(機首)
125発(翼内)
240発(機首右側)
700発(機首左側)
各125発(翼内)
240発(翼内(三式13.2mm機銃))
230発(機首)
爆装30kg又は60kg爆弾×2発30kgまたは60kg爆弾×2発
30kg小型ロケット弾×4発
以上より選択


零戦五三型・五四型系統
型名零戦五三型零戦六二型零戦六三型零戦五四/六四型
機体略号A6M6A6M7A6M8
乗員1名
全長9.121m9.237m
全高3.57m
全幅11.0m
翼面積21.30
自重2,150kg2,155kg2,150kg
正規全備重量3,145kg3,155kg3,150kg
発動機中島 栄三一型
空冷星型14気筒
(離昇1,300hp(予定))
中島 栄三一型甲
空冷星型14気筒
(離昇1,130hp)
中島 栄三一型
空冷星型14気筒
(離昇1,230hp)
三菱 金星六二型?
空冷複列星型14気筒
(離昇1,560hp)
最高速度580km/h(試算)
(高度6,400m)
542.6km/h
(高度6,400m)
554.2km/h
(高度6,400m)
572.3km/h
(高度6,000m)
上昇力9分53秒/8,000m7分58秒/6,000m7分35秒/6,000m6分50秒/6,000m
実用上昇限度10,300m10,180m10,300m11,200m
降下制限速度740.8km/h
航続距離1,520km(正規)
全速30分+2,190km(増槽あり)
850km(正規)
全速30分+1,200km(増槽あり)
武装九九式二号20mm機銃×2挺
(翼内・携行弾数各125発)
三式13.2mm機銃×3挺
(機首1挺、翼内2挺・携行弾数各240発)
九九式二号20mm機銃×2挺
(翼内・携行弾数各125発)
三式13.2mm機銃×2挺
(翼内・携行弾数各240発)
爆装30kgまたは60kg爆弾×2発
30kg小型ロケット弾×4発
以上より選択
60kg爆弾×2発
250kgまたは500kg爆弾×1発
以上より選択
250kgまたは500kg爆弾×1発
30kg小型ロケット弾×4発
以上より選択


主な形式

  • 零戦一一型系統
    • 十二試艦上戦闘機(A6M1):
      海軍から提示された「十二試艦上戦闘機計画要求書」に基づいて作られた試作機。
      エンジンは1〜2号機は瑞星?一三型(離昇780hp)を、3号機は?一二型(離昇940hp)を搭載している。

    • 零式艦上戦闘機一一型(A6M2a、64機):
      暫定的とも言える初期生産型。
      そのため、着艦フックなど艦上機としての艤装を持たない。

    • 零式艦上戦闘機二一型(A6M2b、740機(三菱製)/2,821機(中島飛行機製(ライセンス生産))):
      一一型に艦上機としての正規の艤装を施したもの。
      航空母艦へ搭載するため、主翼端を50cmずつ折り畳めるようになっている。

    • 零式練習用戦闘機一一型(A6M2-K):
      二一型を複座にし、練習機としたもの。

    • 二式水上戦闘機(A6M2-N):
      水上戦闘機「強風」の開発が難航したため、一一型に浮舟を取り付け、水上機にしたもの。

  • 零戦三二型系統
    • 零式艦上戦闘機三二型(A6M3、343機):
      二一型の後継でエンジンを?二一型(離昇1,130hp)に換装し、翼端折畳機構を廃止して主翼を短縮、角型に成型。
      九九式一号二型20mm機銃を九九式一号三型に換装(装弾数60発→100発)
      二一型と比べて最大速度・上昇力・上昇限度が増加し、急降下性能や横転性能も改善されたが、航続力、水平飛行時の安定性は低下している。

    • 零式艦上戦闘機二二型(A6M3、560機):
      三二型の欠点を補うために急遽開発・生産された型で、翼端折り畳み機構を復活させ機内燃料タンクを追加した。

    • 零式艦上戦闘機三二型甲、及び二二型甲(A6M3a):
      二二型、及び三二型の20mm機銃を長砲身型の九九式二号三型に換装したもの。

  • 零戦五二型系統
    • 零式艦上戦闘機五二型(A6M5、747機):
      二二型の発展型で、再び翼端折り畳み機構を廃止し、丸型に成型。
      エンジン排気でのロケット効果を狙い推力排気管化。
      ?搭載型では最大の560km/hを発揮。
      ただし極初期生産型は推力式単排気管が間に合わず、二二型同様の集合排気管を装備している。
      また、後期生産型から翼内燃料タンクに自動消火装置を設置して防御力を高めている。

    • 零式練習用戦闘機二二型(A6M5-K):
      五二型を複座にし、練習機としたもの。
      1945年に試作機2機が完成するが、生産準備中に敗戦となる。

    • 零式艦上戦闘機五二型甲(A6M5a、391機):
      ドラム給弾式の九九式二号三型20mm機銃をベルト給弾式の九九式二号四型に換装(装弾数100発→125発)
      また主翼外板を0.2mm厚くする等、構造を強化し急降下最大制限速度が増加した(741km/h)

    • 零式艦上戦闘機五二型乙(A6M5b、470機):
      右胴体機銃を九七式7.7mm機銃から三式13.2mm機銃に変更した他、胴体外板を厚くし、前面風防に45mm厚の防弾ガラスを装備した。
      また、座席の後部に8mm防弾鋼板を装備可能である。

    • 零式艦上戦闘機五二型丙(A6M5c、93機):
      左胴体九七式7.7mm機銃を廃止し主翼に三式13.2mm機銃2門を追加。
      操縦席後方に55mm防弾ガラスや8mm装甲板を追加し、主翼下に30kgロケット弾、小型爆弾架を装備した。
      しかし、重量増により運動性は大幅に低下している。

    • 零式夜間戦闘機(A6M5d-S):
      操縦席後部または胴体左舷に九九式二号四型20mm斜銃1挺を搭載して、夜間戦闘機に改修された機体。

  • 零戦五三型・五四型系統
    • 零式艦上戦闘機五三型丙(A6M6c):
      エンジンを水メタノール噴射方式の?三一型に換装。
      主翼内燃料タンクをセルフ・シーリング式に。
      エンジンと防弾タンクの開発遅延により試作1機のみ。

    • 零式艦上戦闘機六二型/六三型(A6M7):
      五二型丙および五三型の胴体に250kg爆弾懸吊架(落下増槽懸吊架兼用)を装備した戦闘爆撃機型。
      大型爆弾を搭載しての急降下にも耐えられるように、水平尾翼の内部構造強化や胴体下面の外板厚増加も実施されている。
      特攻機として使用された機体には500kg爆弾を搭載したものもあった。

    • 零式艦上戦闘機五四型丙(A6M8c):
      ?をより大馬力の金星?六二型(離昇1,500hp)に換装。
      スピナ及びプロペラは、同型エンジンを搭載する彗星三三型と同じ物を装備し、機首の13.2mm機銃は撤去されている。
      584km/hを発揮するも、時既に遅く敗戦。試作2機のみ。

    • 零式艦上戦闘機六四型(A6M8c):
      五四型丙の量産型名称。生産中に敗戦となる。

http://sukhoi.s7.xrea.com/pukiwiki/attach/a6m003.jpg


*1 墜落した本機の機体を回収した米軍が、技術者に調査を指示したものの、使用されている金属が何なのかが分からなかったという。
*2 そのうち約1/3は中島飛行機ライセンス生産された機体であった。
*3 本機と同時に陸軍の三式重戦闘機「飛燕」も認定された。

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