Last-modified: 2016-10-25 (火) 13:21:44 (154d)

【有事法制】(ゆうじほうせい)

現在の日本国における「戒厳令」の同義語。
法的秩序によって国家・国民を保護する事が不可能と目される非常事態のための特別な法体系であり、以下の法令を根拠としている。

武力攻撃事態法(2003年施行)
正式名称「武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律」
国民保護法(2006年施行)
正式名称「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」

関連:全国瞬時警報システム 戒厳

日本国憲法との兼ね合い

日本国憲法が平和主義に偏向している関係上、戒厳の実行は日本国憲法に抵触する。
また、国民の基本的人権に対する意識が希薄であるため*1、狂信的反戦主義者に反論する理論武装も十分でなかった。*2
結果、革新系の市民団体・労働組合・知識人・文化人・政党などによる反対意見が根強く、戒厳令は整備されてこなかった。

侵略に備えての法整備を「日本国が自ら侵略するための備え*3であり、憲法違反である」と主張する向きが多い。
一方、これに対する推進派の主な反論は「法整備がなければ自衛隊が有事に『超法規的』な行動を始める」というものであった。
平和主義は机上の空論であるから憲法を改正すべきだ」という意見も古くから根強いが、これは概ね黙殺されている*4

運用体制の現状

20世紀末期、米ソ冷戦の終結によって日本周辺の政治・軍事情勢は大きく流動化した。
これに伴い、北朝鮮の策動、中国や韓国との外交摩擦*59.11事件に始まる国際テロなどの問題が表面化した。
日本国政府にあってもこの案件はさすがに無視できないもので、戦後50年を経てようやく有事法制が整備され始めた。

しかし、未だ運用実態は十分とは言えない。
自衛隊の交戦規則が未整備という問題や、弾道ミサイル攻撃への対処*6など、いまだ整備途上の問題も残されているのが実情である。
日本への直接攻撃のみならず、朝鮮半島などで想定される有事への対処にも疑問の余地は多い*7


*1 一部の市民団体などが「人権」の概念を極端に神聖化・過大解釈する一方、一般国民は憲法の運用実態に対してほとんど正しい知識を持たない。
  この実態を「人権に対する意識が薄い」と表現するのは決して悲観論ではなかろう。

*2 戦争が起きた際の国民の人権保護は、人権というものが独り歩きして存在感を増している中でも忘れられている。
  戦争は「一般人が理不尽に殺される」という、最も重大な人権侵害を引き起こすのだが。

*3 1930年代〜1940年代にかけて満州事変・日華事変・大東亜戦争に至った歴史的経緯を根拠としている。
*4 インターネットを除けば、週刊誌程度でしか大きく扱われない。ましてやテレビや新聞などの大手メディアにはまず登場しないだろう。
*5 これは中国共産党が推進している「第一列島線」「第二列島線」という海洋戦略構想が要因のひとつとなっている。
*6 日本本土へ向けて弾道ミサイルが発射された場合、7〜10分程度で本土へ着弾するといわれており、実際に防御するには発射と同時に探知・撃墜しなければならない。
*7 そういう事例になった場合、現地に取り残された邦人の救出はアメリカ海兵隊に委託される事になるというが、海兵隊における海外での救出優先順位では日本人は最低ランクの「その他」に属する。同盟国であることを考えれば多少は順位が上がるかもしれないが…。

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