Last-modified: 2017-03-26 (日) 16:50:42 (262d)

【無人機】(むじんき)

Unmanned Aerial Vehicle (UAV) / Drone.

人間が乗らず、自動操縦・遠隔操作される機械。「ドローン」。
現行環境における実用品の大半が飛行能力を持つ航空機だが、広義の「ドローン」には地上走行や水上航行を行うものも含まれる。
古くはミサイル魚雷なども含まれていたが、現在では激突・自爆を前提とするものは無人機に含まない事が多い。

その形状は多種多様である。
ホビーなどの技術蓄積から、最も小さいものは電池式の手投げサイズにまで小型化できる。
一方、最新鋭戦闘機などから技術転用*1された極めて高価な機体も存在する。

乗員を考慮する必要がないため性能要求に比して安価に製造でき、撃墜されても人命が失われない。
反面でコンピュータの操作性には未だ難があり、戦闘機など敵戦闘員と直接交戦する場面では対応が困難である。
こうした特性を踏まえ、主に偵察機標的機として利用される。
しかし近年では空対地ミサイルを搭載して空爆を行える機体も登場しており、少しずつ戦争の形態を変えつつある。

機械の遠隔操縦という概念はほとんどの軍用機械兵器より古く、古くは1898年にも蒸気船の無線操縦に関する特許が出現している*2
兵器を遠隔操作するという発想は以来絶えた事がないが、その後半世紀にわたって標的機だけが実用に耐えるシステムだった。
その次に実用化されたのは自爆機械(ミサイル魚雷)で、それ以外の用途はサイバネティックスの発達によって初めて実用化可能になった。

主な問題は、無人機が置かれている環境を操作員に伝えるセンサー機器が未発達だった事にあった。
このため操作員は自ら状況を確認できる場所に居合わせるか、無人機を短時間で使い捨てる前提で操作しなければならなかった。
そして、操作員がその場に居合わせるのなら、離れた場所に生身で立っているより装甲機械の中に入って操作した方が安全である。

戦闘行動半径の限界が機体性能よりも通信確立に依存するため、戦略的な運用には通信衛星とインターネットを必要とする。
全地球的なデータリンクが可能になった昨今では、現地に人員を展開せずに無人機だけで空爆を敢行する事も可能になっている。

この事は士気統制上の問題や外交上の失点をもたらす可能性を指摘されている。
操作員はミサイルを人に撃った日の夜には帰宅して日常を過ごし、そして翌朝にはまた空爆して人を殺す、という極端な生活を送る事になる。
生身の人間が戦場に隔離されるような準備期間を伴わず、操作員本人には身体的な危険も負荷もないため、ある種の心理的錯誤を伴う*3
それに加えて有人機と大差ない頻度で誤爆も発生するため、表面上「気楽」に敢行できる分だけ戦略上無意味な惨禍を広げる事になりやすい。

UAV.jpg
Photo: USAF

各国の主な機体

  • アメリカ合衆国
    • BTT
    • OQ-19
    • TDN-1
    • TDR-1「アサルト・ドローン」
    • QH-50 DASH
    • BQM-74「チャカ」
    • BQM-34「ファイヤービー」
    • MQ-1「プレデター」
    • RQ-2「パイオニア」
    • RQ-3「ダークスター」(計画中止)
    • RQ-4「グローバルホーク」
    • RQ-5「ハンター」
    • RQ-6「アウトライダー」(開発中止)
    • RQ-7「シャドー」
    • MQ-8「ファイアスカウト」
    • MQ-9「リーパー」
    • CQ-10「スノーグース」
    • RQ-11「レイヴン」
    • RQ-14「ドラゴンアイ」
    • RQ-15「ネプチューン」
    • RQ-16「タランチュラホーク(T-ホーク)」
    • XMQ-17(不採用)
    • A160(YMQ-18)「ハミングバード」
    • YRQ-19
    • RQ-20/ピューマAE
    • RQ-21
    • RQ-170「センチネル」
    • ポールキャット
    • X-7(ラムジェット推進実験機)
    • X-10(巡航ミサイル試験機)
    • X-34(再使用型宇宙往還機の技術試験機)
    • X-36(戦闘機機動研究機)
    • X-40(スペースプレーン技術試験機)
    • X-43「ハイパーX」(スクラムジェット試験機)
    • X-45
    • X-46(計画中止)
    • X-47「ペガサス」?
    • X-50「ドラゴンフライ」(計画中止)
    • X-51「ウェーブライダー」(スクラムジェット試験機)
    • HiMAT(高機動実験機)
    • DC-X(単段式の無人再使用型ロケット実験機)
    • ファントム・レイ
    • ヘリオス(ソーラープレーン実験機)
    • サイファー
    • スキャンイーグル
    • イーグル・アイ
    • アヴェンジャー
    • AD-150
    • QF-4
    • QF-16
    • SR-72?(開発中)
  • イギリス
    • コラックス
    • マンティス
    • HERTI
    • タラニス
  • イスラエル
    • IMI(イスラエル・ミリタリー・インダストリーズ) マスティフ
    • トップ Iビジョン キャスパー
    • トップ Iビジョン エアロスタット
    • シルバーアロー マイクロV
    • シルバーアロー スナイパー
    • IAI バードアイ
    • IAI スカイラーク
    • IAI スカウト
    • IAI サーチャー
    • IAI ジェネラル
    • IAI ハーピー
    • IAI ハロップ
    • IAI I-ビュー
    • IAI レンジャー
    • IAI ヘロン
    • IAI エイタン
    • エルビット スカイラーク
    • エルビット ヘルメス250
    • エアロノーティクス ドミネーター
    • エアロノーティクス オービター
    • エアロノーティクス エアロスター
    • エアロノーティクス エアロライト
    • EMIT ブルー・ホライゾン
    • EMIT スパロー
    • EMIT バタフライ
  • オーストラリア
    • エアロゾンデ
  • カナダ
    • カナディア CL-227「センチネル」
  • ソ連/ロシア
    • La-17
    • Tu-123
    • Tu-141
    • Tu-143
    • プチェラ
    • ZALA 421-08
    • ZALA 421-06
    • ZALA 421-12
    • MiG スキャット
  • 中国
    • 利剣
    • 暗剣(概念案)
    • WZ-2000「千里眼」
    • ASN-104
      • ASN-105
      • ASN-215
    • ASN-206(JWP-1)
      • ASN-207(無偵6(WZ-6))
      • ASN-209
    • ASN-15
    • 翔龍
    • 翼龍
  • ドイツ
    • Luna X 2000
  • トルコ
    • Malazgirt
  • 日本
    • 完全自動操縦装置
    • 滑空標的機(MXY3)(試作のみ)
    • 一式標的機(MXY4)
    • 無人標的機 UF-104J/JA
    • 無人標的機 J/AQM-1
    • 遠隔操縦観測システム(FFOS)
    • 新無人偵察機システム(FFRS)
    • 無人機研究システム(元・多用途小型無人機(TACOM))
    • 携帯型飛行体
    • GPSカメラ搭載自律飛行機
    • 無人航空機用制御装置
    • 球型飛行体
    • HYFLEX
    • ALFLEX
    • RTV
    • HSFD
    • NEXST-1
    • LIFLEX
    • URAMS
    • S3CM
    • McART3
  • フランス
    • SAGEM スペルウェール
  • メキシコ
    • エヘカトル
  • 韓国
    • RQ-101「隼(ソンゴルメ)」
    • リモアイ
    • TR-100
    • KUS-TR
  • 国際共同開発
    • nEUROn
    • バラクーダ

「無人機」を名乗ったミサイル

第二次世界大戦後、ミサイル技術の黎明期において、ミサイルが無人機として扱われていた時期があった。

当時、アメリカ空軍では地対空ミサイル空対空ミサイルは「無人戦闘機」として扱われた*4
また同様に、地対地ミサイルや空対地ミサイル巡航ミサイル弾道ミサイル)は「無人爆撃機」であった。

ミサイルを無人機として定義するのは概念上は正しいが、兵站管理上で恐ろしい事態を引き起こした。

ミサイルは交戦の度に失われる。それも1基や2基ではなく、大規模交戦なら一度に数十・数百基を消費して当然である。
しかし、それを「機体の喪失」として扱うと、発射母機のパイロットが全員生還した場合でも「機体の過半を喪失した全滅状態」と判断されるような報告書になってしまう。

そうした混乱を避けるため、ミサイル航空機の分類から独立して新たな型式を割り振られる事となった。

無人機とされたミサイルの一覧

旧名称(無人機)新名称(ミサイル)主契約メーカーその他
「無人戦闘機」とされたもの(地対空ミサイル/空対空ミサイル)
F-98「ファルコン」AIM-4ヒューズ 
F-99「ボマーク」IM-99/CIM-10ボーイング核弾頭型が「CIM-10」、通常弾頭型が「IM-99」
「無人爆撃機」とされたもの(地対地ミサイル/空対地ミサイル)
B-61「マタドール」MGM-1マーティン 
B-62「スナーク」SM-62ノースロップ初期の巡航ミサイル
XB-63「ラスカル」GAM-63ベル試作のみ。
B-64「ナヴァホ」SM-64ノースアメリカン開発中止。
B-65「アトラス」CGM/HGM-16コンベアアメリカ初の大陸間弾道ミサイル
XB-67「クロスボーGAM-67ラジオプレーン対レーダーミサイル。試作のみ。
B-68「タイタン」HGM-25マーティン儀燭里漾0文紊賄初からミサイルとしての形式が付与。
B-72「クエイル」ADM-20マクダネルB-52搭載の空中発射デコイ
B-73「ブルグース」SM-63フェアチャイルド 
B-75「ソー」PGM-17ダグラス中距離弾道ミサイル。
英国空軍にも配備されたが、キューバ危機後に撤去。
B-76「メース」MGM/CGM-13マーティン 
B-77「ハウンドドッグ」AGM-28ノースアメリカン核弾頭搭載の大型空対地巡航ミサイル。
B-78「ジュピター」PGM-19クライスラーキューバ危機後に退役。
一部は人工衛星の打ち上げに転用。
B-80「ミニットマンLGM-30ボーイング儀燭里漾0文紊賄初からミサイルとしての形式が付与。
B-83「ブルパップAGM-12マーティンアメリカ初の実用空対地ミサイル
XB-87「スカイボルト」AGM-48ダグラス空中発射型弾道ミサイル。試験のみ。



*1 ジェットエンジン合成開口レーダー・高精度カメラ・空対地ミサイルデータリンクなど。
*2 セルビア人の発明家ニコラ・テスラによる。
*3 殺人という行為を自己正当化・精神的合理化する事が難しい。あるいは逆に、自分が人を殺しているという自覚を持って行動する事が難しい。
*4 余談だが、他国でも陸軍空軍の派閥争いから「地対空ミサイル高射砲だ」「いや無人戦闘機だ」と議論された事もある。

添付ファイル: fileUAV.jpg 2451件 [詳細]

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