Last-modified: 2023-06-11 (日) 12:05:26 (103d)
【砲身命数】 †
Barrel life / Tube life.
銃砲類の銃身・砲身が実用上耐えられる発射回数。
火砲は銃身内部で爆発の運動エネルギーと熱にさらされ、摩擦を起こす。
これによって、砲身の構造材は発射の度に少しずつ焼食され、摩耗変形していく。
この焼食によって砲身の形状が歪むため、火砲は撃てば撃つほど命中精度が劣化する。
その劣化が運用上許容できない値に達する、と推定される値が砲身命数となる。
軍の制度上の概念であり、命数に達した途端に急激に損壊するわけではない。
基本的には砲の半数必中界の統計を取り、そこから砲身命数が推定される。
ほとんどの場合、砲身命数が尽きるのは命中精度の問題で、撃つ事自体は問題なく行える。
従って、軍の運用教則が変われば全く同じ砲でも砲身命数が改訂される。
命数の長さはおおむね装薬の量に依存し、大質量・高速の砲弾を扱うほど命数が短い。
ただし、大口径の砲は構造自体が分厚く頑丈であるため、装薬が同程度なら巨大な砲ほど命数は長い。
急激な異変が生じて物理的に損壊する事もある。
例えば機関銃・小銃などは数発連射すると煙を吹き始める事が珍しくない。
時間をおいて1発ずつ撃つなら1万発の発射に耐え得る銃身でも、フルオート射撃では数分で損壊してしまう。
そのような蛮用が想定される場合、砲身命数は事故発生前に廃棄するための安全基準となる。