Last-modified: 2016-08-28 (日) 12:29:49 (302d)

【富士総合火力演習】(ふじそうごうかりょくえんしゅう)

毎年夏〜初秋にかけて、静岡県御殿場市の陸上自衛隊東富士演習場で行われる、日本最大規模の軍事演習。
略称で「総火演(そうかえん)」とも呼ばれる。

1961年、陸上自衛隊富士学校の学生に対する演習として始まった。
1966年以降は自衛隊の広報の一環として一般公開が行われている。

演習の主たる目的は、現代の火力戦がいかなる様相を呈するものかを学生に体験させること。
富士教導団が主体となり、中央即応集団隷下部隊などを抽出して実施される。
近年では「統合運用」の観点から、海上自衛隊航空自衛隊からも部隊が参加している。

訓練そのものは7月から準備を始め、8月にほぼ1か月をかけ、さまざまな状況を想定した演習*1が非公開で行われる*2
その後、展示演習が8月下旬〜9月上旬にかけて数度行われる、というスケジュールである。

この一連の演習にかかる費用は毎年3〜4億円といわれ、「贅沢な花火大会*3」と揶揄・批判される向きもある。
とはいえ、弾薬は保管していても経時劣化して用途廃棄されるので、演習などで適宜消費した方が望ましいのも事実ではある*4
また、自衛隊では最大規模の実弾演習であることから、参加する隊員の士気高揚にも役立っているという*5

一方で、一連の訓練の締めくくりとして行われる一般公開演習は(主催が富士学校ではなく陸上幕僚監部ということもあって)陸上自衛隊の兵器展示会としての側面もあり、軍事政策の一環として在日米軍の軍人や周辺各国の駐在武官なども招待される。
また、国内の一般市民にも大きな需要を持っており、入場券は毎年非常に高い競争率となる*6
近年では陸上自衛隊公式webサイトや民間の動画共有サイト、CS放送による映像配信*7も行われており、当日会場に入場できない者でもこれらを通じて観覧することができる。

展示演習のプログラム

一般公開日の「展示演習」は、陸上自衛隊の主要装備品を順次紹介する「前段演習」と、仮想敵との戦闘様相を展示する「後段演習」の2部構成で実施される。
例として、平成28年度(平成28年8月28日)に実施された展示演習のプログラムを以下に述べる。

前段演習

後段演習(島嶼部に対する攻撃への対応)

  • 部隊配置
    • 沿岸監視部隊等による警戒及び監視活動
    • 洋上における哨戒行動(P-3C哨戒機
    • 敵艦艇に対する攻撃(F-2戦闘機
    • 島嶼部に配置した部隊による戦闘
      • 情報収集活動
      • 敵艦艇及び舟艇に対する攻撃等(88式地対艦誘導弾、96式多目的誘導弾システム、中距離多目的誘導弾、F-2による模擬精密爆撃)
  • 機動展開
  • 奪回
    • 島嶼部に機動展開した部隊による奪還
      • 水陸機動部隊の上陸
      • 島嶼部に展開した部隊主力による戦闘
        1.偵察活動(87式偵察警戒車軽装甲機動車、偵察用オートバイ)
        2.攻撃準備射撃(特科火砲)
        3.射撃支援(87式対戦車誘導弾、74式戦車)
        4.障害処理援護射撃(特科火砲)
        5.障害処理(92式地雷原処理車?
        6.前進支援射撃(特科火砲)
        7.攻撃前進(10式戦車、74式戦車、89式装甲戦闘車)
        8.突撃支援射撃(特科火砲、迫撃砲)
        9.突撃(74式戦車、10式戦車、89式装甲戦闘車)
        10.戦果拡張

*1 「団予行」「学校予行」「教育演習」があり、学校予行・教育演習などの夜には夜間演習も行われる。
*2 この「非公開演習」は富士学校が主催。
*3 日本国内で大規模な花火大会を開催するのと同程度の費用であるという。
*4 実際、この演習で使用される弾薬は所定の保管期間が経過して用途廃棄直前になったものが使われるという。
*5 たまに撃つ弾が無いのが玉に傷」という言葉もあるように、自衛隊は他国の軍隊に比べても弾薬の備蓄が少ない。
*6 平成28年(2016年)度のデータによると、15万通近い応募があり、平均競争率は29倍だった。
*7 平成27年度の演習では、全国各地の映画館でのライブビューイングも行われた。

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