Last-modified: 2023-04-29 (土) 10:52:31 (41d)

【隼】(はやぶさ)

中島キ43・一式戦闘機」。

1940年代、中島飛行機が開発・生産し、大日本帝国陸軍第二次世界大戦期に運用した戦闘機
呼称・略称は「一式戦」「一戦」「ヨンサン」など。
「隼」の愛称でも知られる。
連合国軍におけるコードネームは"Oscar(オスカー)"。

それまでの九七式戦闘機に代わる新型軽単座戦闘機として、運動性能は維持しながらも500km/h以上の最高速度や5000mまで5分で上昇可能といった要求に応えるべく中島で開発された。
そこで開発陣は、九七式戦闘機の設計を基としつつもエンジンをより大型かつ強力な「ハ25」に変更、更に引き込み脚化することで、運動性能と速度性能を両立しようと試みた。

「キ43」試作1号機の初飛行は1938年12月12日となった。
しかし、速度性能は要求に届かず、運動性能でも九七式戦闘機に及ばなかった。
これを受け、更に試作機を製造、性能向上が図られたが機体性能は十分に改善されず、採用はさらなる性能向上の後にされる予定となった。

しかし、太平洋戦争に必要とされる長距離飛行の可能な遠距離戦闘機の整備要求により、本機の採用は早まった。
落下タンクを装備することで非常に長大な航続距離を発揮することが判明したキ43は量産が決定、1941年5月には「一式戦闘機一型」として仮制式採用された。

開戦直後、南方での航空戦に駆り出された一式戦一型はその運動性能をいかんなく発揮、F2AハリケーンP-40など多数の連合国戦闘機を撃墜した。
一方、機体には未だに未完成な点が見られ、特に構造的な強度不足からくる急降下時、急旋回時の空中分解事故は戦闘中に多発し、大きな問題点となった。

一式戦闘機は、連合国軍に日本海軍零式艦上戦闘機と誤認されることがあった。
実際、両機は同型エンジンを搭載した同等の寸法の機体であり、優れた運動性など、性能面でも似通った点が多かった。

1942年夏、エンジンを「ハ115」に換装、カウリング周辺機器の位置変更、機体構造の強化など、様々な改設計がなされた「一式戦闘機二型」が制式化された。
生産初期、中島飛行機製第5154号機以降の機体からは翼幅が11.437mから10.837mへ短縮、翼面積22.0屬ら21.4屬悗判名された。
これにより、降下制限速度が550km/hから600km/h(最大650km/h)へ増大、横転性能が向上した。

1944年末期には水メタノール噴射装置付き「ハ115-供廛┘鵐献鵑鯏觝椶垢襦岼貅粟鐺機三型」が制式採用された。

戦争後期において、本機は性能的に旧式化していた。
しかし、四式戦闘機などの後継機が配備されていた前線でもなお、本機はその運用期間の長さからくる機材としての信頼性、安定した飛行性能から搭乗員整備員に好まれた。
また実際の戦闘においても、レーダーによる敵の早期発見を可能とするなど先進的な戦闘機運用のなされていたビルマの陸軍航空隊ではP-51P-47スピットファイア後期型などの高性能戦闘機に対しても互角の戦果を挙げ続けた。

最終的に、日本の航空史上2番目に多い約5,700機が生産され、後の四式戦闘機「疾風」と並んで陸軍航空隊、ひいては戦中の日本軍を代表する戦闘機となった。

戦時中、国内の戦意高揚のために制作された新聞や映画、流行歌の題材(「加藤隼戦闘隊(1944年)」など)として幅広く扱われた本機は、当時の一般国民にも広く認知されていた。

性能諸元

型式一式戦闘機一型一式戦闘機二型
生産番号
(中島)
114〜816号機5009〜5153号機5154〜5579号機5580〜7489号機
乗員1名
全長8.832m8.92m
全高3.090m3.085m
全幅11.437m10.837m
翼面積22.021.4
空虚重量1,560kg1,975kg1,863kg1,935kg
(防弾板装備)
全備重量2,017.5kg2,590kg2,500kg
発動機ハ25?
空冷複列星形14気筒
×1基
ハ115? 空冷複列星形14気筒×1基
出力離昇990馬力/728kW離昇1,077馬力/792kW
970馬力/713kW
(高度3,400m)
1速:1,070馬力/786kW(高度2,800m)
2速:940馬力/691kW
(高度5,600m)
プロペラ定速2翅(直径2.90m)住友ハミルトン可変ピッチ3翅(直径2.80m)
最大速度495km/h
(高度4,000m)*1
515km/h(高度6,000m)推力式集合排気管:
536km/h(高度6,000m)
推力式単排気管:
548km/h(高度6,000m)
巡航速度320km/h355km/h(高度4,000m)440km/h
降下制限速度500km/h以内550km/h600km/h(最大650km/h)
上昇性能高度5,000mまで5分13秒
(15.9m/s)
高度5,000mまで5分49秒
(14.3m/s)
-
高度6,000mまで6分21秒
(13.1m/s)
高度6,000mまで7分24秒
(13.5m/s)
-
実用上昇限度-10,500mないし11,215m-
航続距離-3,000km(落下タンク有り
1,620km(正規)
-
翼面荷重92kg/119kg/117kg/
馬力荷重360W/kg305W/kg316W/kg
武装
機首右側八九式固定機関銃
(7.7mm)×1(500発)
ホ103 12.7mm機関砲×1(250〜270発)
機首左側ホ103 12.7mm機関砲×1(250〜270発)
追加装備
翼下なし30〜250kg爆弾 または 散布弾(クラスター爆弾*2×2発


型式

  • キ43:
    試作機。

  • 一式戦闘機一型(キ43-機法
    最初の正式採用機で、ハ25(離昇990馬力)発動機を搭載し、対7.7mm防漏タンクを装備。
    過剰な軽量化によって機体強度に問題があり、急降下時の制限速度は500km/h以内とされていたが、実際にはそれ以下の速度でも空中分解を引き起こした事例がある。
    二型の登場によって一線を退いた後は標的曳航機や訓練機として運用された。

    • 一式戦闘機一型甲(キ43-宜):
      初期型。武装は八九式固定機関銃(7.7mm)×2挺。

    • 一式戦闘機一型乙(キ43-飢):
      武装を7.7mm機銃×1挺+ホ103 12.7mm機関砲×1門に換装した型。

    • 一式戦闘機一型丙(キ43-喫):
      武装を12.7mm機関砲×2門に換装した型。

  • 一式戦闘機二型(キ43-供法
    一型の各部を改良した型。
    ハ115(離昇1,077馬力)発動機を搭載し、対12.7mm防漏タンク、3翅プロペラ化などの変更が行われた。
    機体構造も強化され降下制限速度は550km/h(第5154号機以降は600/650km/h)までに引き上げられている。
    1943年6月の第5580号機から操縦席後方に防弾板が追加された(教則が不徹底で、現場の判断により勝手に取り外されていた事例がある)。
    また、二型における以下の区別は戦後付けられたもので、正式には全て「一式戦闘機二型」である。

    • 一式戦闘機二型甲(キ43-狭):
      初期型。武装は12.7mm機関砲×2、爆装は最大250kg爆弾×2発、推力式集合排気管装備。生産中、機首周りの設計変更が数回行われた。

    • 一式戦闘機二型乙(キ43-恐機法
      中期型。推力式集合排気管を装備、最高速度は536km/hまで向上した。

    • 一式戦闘機二型改(キ43-恐):
      後期型。推力式単排気管を装備、最高速度は548km/hまで向上した。

  • 一式戦闘機三型(キ43-掘法
    推力式単排気管仕様の最終生産型。
    発動機水メタノール噴射装置付きのハ115-供平絅瓮織痢璽詈射装置使用時1,230馬力、高度2,800m)を搭載。
    操縦席後部に容量70Lの水メタノールタンクを新設し、推力式単排気管を装備する二型後期型と異なり三型の排気管数は片側7本となる。

    • 一式戦闘機三型(キ43-掘法
      武装は12.7mm機関砲×2。
      最高速度は560km/h(高度5,850m)まで向上、水メタノール噴射装置の使用時は瞬発的な加速力も増大した。
      下の20mm機関砲搭載試作型との区別のため、三型甲とも呼ばれる。

    • 一式戦闘機三型乙(キ43-群機法
      カウリング上部に膨らみを設け、機首を20cm延長、武装をホ5 20mm機関砲×2門に換装した型。
      試作のみ。

  • キ43-検
    計画のみの機体。以下のプランがあった。
    (1):エンジンをハ45(離昇1800馬力)発動機に換装した型。
    (2):機体の一部を木製化し、エンジンを水メタノール噴射装置付の「ハ112-供廖奮し蓋鴇痢峩眄穎仔鷏拭廚汎嬰のもの)に換装した型。


*1 87オクタン燃料使用時の性能。戦中の陸軍で一般的であった92オクタン燃料使用時は最高速度500km/h以上に達する。
*2 子弾としてタ弾を内蔵。

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