【統合軍】 †
Unified Command.
軍隊において、陸海空の各軍種を統合して一つの指揮系統にまとめなおす事。
主として以下の理由から組織される。
- ひとつの軍種では対処不能なほど複雑ないし大規模な作戦を実行する、またはそうした作戦が想定される
- 軍種間の競合関係や官僚制度的対立が軍政の効率的運用を妨げている
- 軍縮により高級軍人のポストが減らされ、軍種の差異を無視して職責が統合された
各国における統合軍 †
ここでは、各国の軍隊における「統合軍」について述べる。
アメリカ合衆国 †
「作戦行動中に軍種によって指揮系統が分かれることが作戦の阻害要因にもなり、軍種を超えた統合司令部を設置することが望ましい」
という考えに則り、2つ以上の軍種を地域別あるいは機能別に統合した統合軍を編制、設置している。
地域別統合軍の司令官は、各方面で主力となる軍の将官が務めていたが、2000年からは四軍*1の持ち回りになっている。
現時点での編成は以下の通り。
- 地域別
- 機能別
また、これとは別に、海兵隊には陸海空軍の全機能*2がまとめられており、「全世界への緊急展開を任務としたミニ統合軍」というべき組織になっている*3。
日本国 †
法令上、統合幕僚監部の下に二つ以上の軍種を組み合わせた「統合任務部隊(JTF)」を編成できる。
兵力は防衛大臣からの命令によって各自衛隊から差し出され、統合幕僚長の下に単一の司令部・指揮官を以って編制される。
JTFは有事などの際に都度編制される組織であるが、他にも以下の2部隊が常設の統合部隊として運用されている。
- 自衛隊サイバー防衛隊
- 自衛隊情報保全隊
ベルギー王国 †
冷戦終結に伴う緊張緩和により、軍の縮小再編が行われていた。
この一環として、2002年には軍組織全体を単一の統合軍化し、以下四つの部隊からなる単一の軍隊として再編成された。
なお、海軍所管の航空機はすべて航空構成部隊へ移されている。
カナダ †
1968年、それまであった陸海空軍が統合されて「カナダ軍」となったが、当初は階級呼称や軍服等をめぐって様々な不満が噴出したという。
その後紆余曲折を経て、現在は「事実上の軍種」として、従来の陸海空軍の呼称が用いられている。
この他、「カナダ統合作戦軍」「カナダ特殊作戦軍」という作戦上の統合部隊を擁している。
*1 2019年からは宇宙軍を加えた五軍。
*2 輸送・揚陸艦艇部隊(船舶の運用は海軍に委任)、マルチロールファイターを擁する航空部隊及び機械化歩兵部隊・空挺部隊。
*3 ただし、運用上では上記の「地域・機能別統合軍」の一構成要素でもあり、統合参謀本部の指揮下で行動している。