Last-modified: 2023-07-02 (日) 09:56:34 (297d)

【泥将軍】(どろしょうぐん)

雪解けや雨期などで地面がぬかるみ泥濘(でいねい)になった戦場。
軍隊に対して、下手な敵軍以上の損害を与える事から「将軍」と比喩される。

具体的には、泥でぬかるんだ土地を通行する事によって全ての陸上兵力に甚大な負担をかける事を指す。
この負担は直接的に命を奪うものではないが、戦闘員の疲労、兵站維持労力の増加、移動所要時間の延長は時に致命的になり得る。

故事

「泥将軍」の語源はフランスのナポレオン政権に対する批判で、ナポレオンが失脚に至った敗因の一つに挙げられる。
ナポレオン帝政末期、失脚直前の最後の戦いであった1815年のワーテルローの会戦は泥将軍の代表的事例として後世に伝わっている。

イギリス・プロイセンの連合軍を相手取ったフランスのナポレオン帝政。
総数で劣るフランス軍は分断・各個撃破を指向。別働隊がプロイセン軍を牽制して合流を遅らせ、その間に本隊がイギリス軍を撃破する目論見だった。
ところが、ワーテルローでの開戦前夜に予期せぬ暴風雨が発生。翌朝の攻撃開始予定時刻には辺り一面が泥濘化。
当時のフランス砲兵騎馬砲兵)の細い車輪では泥中を踏破できないため、地面が乾くまでの数時間にわたって戦場が膠着した。
この遅延により、イギリス軍との交戦中にプロイセン軍の増援が到着。包囲されたナポレオンの軍はあえなく敗走に至った。


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