Last-modified: 2017-07-06 (木) 19:39:28 (2277d)
【着氷】 †
Icing.
氷や霜が付着する事。
航空用語の文脈においても、着陸や着水の類義語ではなく氷の付着を意味する*1。
基本的には寒冷地での降雨・降雪で生じるが、高度が高ければ地図上どこでも生じうる。
特に、航空機が雲の中を通過すれば水滴・氷晶が付着して凍結する事は避けられない。
機械への着氷は、ほとんど全ての場合に以下のような故障を誘発する。
- 金属・ゴムの強度が劣化し、微細な部品・酷使される部品の破損を招く
- 液体燃料が凍結や成分変質を起こしてエンジンの故障を招く
- 低温で化学電池が出力低下*2を起こす
- 風防に付着した氷が視界を遮る
- 計器・センサー類の表面が氷で覆われて正常に測定できなくなる
- 翼に付着した氷が翼型を歪めて運動性を損なう
- エンジンの外気吸入口が氷で塞がり、不完全燃焼から機関停止や爆発事故を招く
こうした事故を防ぐため、着氷が予想される状況では事前の防備が必要になる。
典型的にはヒーターなどで機体を温めておく、エンジンを停めず長時間アイドリングするなどが一般的。
航空機は運航中の応急整備ができないため、振動や収縮で氷を破砕する除氷装置を備える事もある*3。
また、洗浄液の凍結による着氷を防ぐため、洗浄作業にも不凍液が用いられる。