Last-modified: 2017-08-22 (火) 11:25:40 (32d)

【弾道ミサイル】(だんどうみさいる)

Ballistic Missile (BM).

宇宙ロケットに近い形状をした長距離ミサイル。またはペイロード爆薬を搭載した宇宙ロケット。
ロケットエンジンで大気圏外に上昇、極超音速で巡航し、大気圏に再突入して目標へ到達する。
現在の技術では巡航中に撃墜する手段が確立されておらず、大気圏再突入後のごく短時間にしか迎撃できない。
反面、飛行中は慣性航法装置(INS)でのみ制御されるため、命中精度は極めて劣悪で、核兵器などによる戦略爆撃の用途にしか利用できない。

弾道ミサイルと宇宙ロケットはそれぞれ別々の意図を持って設計されているものの、どちらもモノを大気圏外へ打ち上げる事が目的なので構造に大差はない。
弾道ミサイルに人工衛星を搭載して静止軌道に乗せる事は十分可能*1であるし、宇宙ロケットに核兵器を搭載して狙った場所に墜落させるのも困難ではない。
そのため、弾道ミサイル開発から打ち上げ用ロケットが派生することも、逆に学術研究目的のロケットから弾道ミサイルへ派生することも十分可能である。

従って、宇宙ロケットの開発には常に政治が絡み、場合によっては海外から技術供与を拒否されることも起こる*2
いわゆる「ならず者国家」などは、しばしば弾道ミサイルの実験について「核兵器の実験ではなく宇宙開発事業である」と主張する*3が、実情は定かでない。

弾道ミサイルの分類

弾道ミサイルは主に有効射程によって分類され、条約や国によって数字は異なるが、おおむね以下のように分類されている。

大陸間弾道ミサイル(ICBM:Intercontinental Range Ballistic Missile(射程5,500km〜)
主な種類
アメリカMGM-16「アトラス」
MGM-25A「タイタン」
LGM-25C「タイタンII」
LGM-30「ミニットマン/II/III」
BGM-75「AICBM*4」(開発中止)
XMGM-134「ミゼットマン」(開発中止)
LGM-118「ピースキーパー」
ソビエト/ロシアR-7(SS-6「サップウッド」)
R-16(SS-7「サドラー」)
R-9(SS-8「Sasin」)
R-36(SS-9「スカルプ」)
UR-100(SS-11「セーゴ」)
RT-2(SS-13「サヴェージ」)
RT-21(SS-16「Sinner」)
MR UR100(SS-17「スパンカー」)
R-36「ヴォエヴォーダ」(SS-18「サタン」)
UR-100N(SS-19「スティレット」)
RT-23「モロデーツ」(SS-24「スカルペル」)
RT-2PM「トーポリ」(SS-25「シックル」)
RT-2PM2「トーポリM」(SS-27「シックル」)
中国東風5(DF-5、CSS-4)
東風31(DF-31、CSS-9)
東風41(DF-41、CSS-X-10)
北朝鮮テポドン2号
KN-08(開発中)
中距離弾道ミサイル (IRBM:Intermediate Range Ballistic Missile)(射程2,400〜5,500km)
主な種類
アメリカPGM-19「ジュピター」
PGM-17「ソー」
ソ連RSD-10(SS-20)(退役)
イギリスブルーストリーク(開発中止)
フランスS-2
S-3/TN-61(退役)
パキスタンシャーヒーンIII
ガウリIII
イランシャハブIII
インドアグニIII
イスラエルエリコII
北朝鮮ムスダンテポドン、北極星2号(KN-15)
中国東風3(DF-3、CSS-2)
準中距離弾道ミサイル (MRBM:Medium Range Ballistic Missile)(射程800〜2400km)
主な種類
北朝鮮ノドン
中国東風21(DF-21、CSS-5)
東風25(DF-25)
アメリカMGM-31「パーシングI/II」
短距離弾道ミサイル (SRBM:Short Range Ballistic Missile)(射程150〜800km)
主な種類
第二次世界大戦
ドイツV2ロケット
第二次世界大戦後
アメリカMGM-5「コーポラル」
PGM-11「レッドストーン」
MGM-31「パーシングI」
MGM-140「ATACMS」
ロシアR-1(SS-1「スカナー」、V2ロケットのコピー)
R-2(SS-2「シブリング」)
R-11(SS-1B「スカッドA」)
R-17(SS-1C「スカッドB」)
9K79「トチカ」(OTR-21、SS-21「スカラベ」)
9K714「オカー」(OTR-23、SS-23「スパイダー」)
9K720「イスカンデル」(SS-26「ストーン」)
インドプリットヴィー
イランファテフ110
イラクアル・フセイン
パキスタンシャヒーンI
中国東風1(DF-1、R-2のライセンス生産品)
東風11(DF-11、CSS-7)
東風15(DF-15、CSS-6)
韓国玄武-1/玄武-2A/B
北朝鮮KN-02「ドクサ」
戦場短射程弾道ミサイル (BSRBM:Battlefield Short Range Ballistic Missile)(射程〜150km)
主な種類
アメリカMGM-18「ラクロス」
MGM-29「サージェント」
MGM-52「ランス」
ソ連/ロシアFROGシリーズ
対艦弾道ミサイル(ASBM:anti-ship ballistic missile)
(海上の艦船を対象としたもの。最大射程3,000km)
中国東風21D(DF-21D)
潜水艦発射弾道ミサイル (SLBM:Submarine Launched Ballistic Missile)
潜水艦から発射されるもの。射程関係なし)
主な種類
アメリカUGM-27「ポラリス」
UGM-73「ポセイドン」
UGM-96/UGM-133「トライデントI/II」
イギリスポラリスA-3TK
トライデントD-5
ソ連/ロシアR-11FM/8A61"Zemlya"(SS-1B「スカッドA」)
R-13/4K50(SS-N-4「サーク」)
R-21/4K55(SS-N-5「サーク/サーブ」)
R-27/4K10"Zyb"(SS-N-6「サーブ」)
R-29/4K75"Vysota"(RSM-40/SS-N-8「ソウフライ」)
R-29R/4K75R(RSM-50/SS-N-18「スティングレイ」)
R-39/3M65「リフ」(RSM-52/SS-N-20"Sturgeon")
R-29RM/3M27"Shtil"(RSM-54/SS-N-23「スキッフ」)
R-29RMU/3M27「シネーワ」(RSM-54/SS-N-23A「スキッフ」)
R-29RMU2「ライナー」(SS-N-23B「スキッフ」)
R-39UTTKh「バーク」(RSM-52V/SS-NX-28)
R-30/3M14「ブラヴァー」(RSM-56/SS-N-30)
フランスMSBS*5 M1(退役)
MSBS M2(退役)
MSBS M20(退役)
MSBS M4(退役)
MSBS M45
MSBS M5(1996年開発中止)
MSBS M51
中国巨浪1(JL-1、CSS-N-3)
巨浪2(JL-2、CSS-NX-4)
北朝鮮北極星1号(KN-11)
インドK-15
K-X(開発中)
空中発射弾道ミサイル(ALBM:Air-Launched Ballistic Missile)
(航空機(主に爆撃機)から発射されるもの。高コストにより開発中止)
主な種類
アメリカGAM-87/AGM-48「スカイボルト」
イギリスブルーストリーク
ブルースチール



*1 そのため、旧式化や軍縮条約によって現役を退いた弾道ミサイルの弾体が人工衛星の打ち上げに転用されることもある。
*2 衛星打ち上げ用のロケット開発で高い技術を保持することは、(開発の当事者がどう考えるにせよ)外から見れば優秀な弾道ミサイルの開発能力を保持していることになる。
*3 事実、旧ソ連やアメリカなど、最初期に宇宙開発に着手した国家は、概ね弾道ミサイルの開発で得られた技術を転用していた。
*4 Advanced Intercontinental Ballistic Missile(先進大陸間弾道ミサイル)の略。
*5 Mer Sol Ballistique Strategique:海中発射型対地戦略弾道弾。

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