【対戦車砲】 †
Anti-Tank Gun.
戦車の装甲を撃ち抜いて撃破する目的で用いられる火砲。
原則として、戦車それ自体に搭載される主砲(「戦車砲」)は含まれない。
また、戦車を破壊可能であっても対戦車戦での運用が現実的でない砲(間接砲撃用の大口径榴弾砲など)も含まれない。
多大な破壊力が必要なため、人間には携帯不可能な牽引砲である。
機動力が低く、また戦車からの反撃に耐え得る装甲も持たないので、待ち伏せ・奇襲を念頭に置いて運用される。
車輌に搭載して自走砲としたものも存在するが、これは戦車駆逐車として対戦車砲とは別の兵器に分類される。
黎明期(第一次世界大戦)の戦車の装甲は小銃用徹甲弾でも貫通できたため、機関銃の集中砲火を浴びせれば撃破可能であった。
しかし、世代を重ねるにつれ戦車は重装甲化していき、第二次世界大戦が始まる頃には野戦砲レベルの火力でしか対抗できなくなっていた。
このため、第二次世界大戦における陸戦(特に欧州・アフリカの戦線)は戦車運用とその対策が核となり、対戦車に特化した火砲が大量に調達された。
第二次世界大戦後半では、より軽量な対戦車兵器として成形炸薬弾が登場し、無反動砲・対戦車ロケットとして実装された。
しかし、これらは弾道の不安定さのため有効射程が短く、対戦車白兵戦を強いられた歩兵の希望にはなったが、対戦車砲を代替する事はなかった。
冷戦時代には誘導弾技術が実用化され、成形炸薬弾を搭載した対戦車ミサイルが登場した。
また同時期、進化し続ける主力戦車の装甲に対して対戦車砲の大型化は限界に達しつつあった。
このため、対戦車砲の多くは軽量・大威力の対戦車ミサイルに置換され、姿を消していった。
関連:FLAK 戦車駆逐車
(37mmPak35/36)
主な対戦車砲 †
- ドイツ
- 3.7cm PaK 36 L45(45口径37mm対戦車砲)
- 5cm PaK 38 L60(60口径50mm対戦車砲)
- 7.5cm PaK 97/38 L36(36口径75mm対戦車砲)
- 7.62cm PaK 36(r) L51.1(51.1口径76.2mm対戦車砲)
- 7.5cm PaK 40 L46(46口径75mm対戦車砲)
- 8.8cm PaK 43 L71(71口径88mm対戦車砲)
- 8.8cm PaK 43/41 L71(71口径88mm対戦車砲)
- 7.5cm PaK 41(ゲルリッヒ砲*1)
- ソ連
- M1932(19K)45mm対戦車砲
- M1937(53K)45mm対戦車砲
- M1942 45mm対戦車砲
- ZiS-2 57mm対戦車砲
- ZiS-3 76.2mm師団砲(対戦車砲兼用の野砲)
- BS-3 100mm師団砲(対戦車砲兼用の野砲)
- 日本
- 九四式三十七粍砲
- 機動九〇式野砲(対戦車砲としても使用)
- 一式機動四十七粍砲
- ラ式37mm対戦車砲(日中戦争にて鹵獲した3.7cm PaK 36 L45)
- イギリス
- オードナンス QF 2ポンド対戦車砲
- オードナンス QF 6ポンド対戦車砲
- オードナンス QF 17ポンド対戦車砲
- アメリカ
- M3 37mm対戦車砲
- M1 57mm対戦車砲
- M5 7.62mm対戦車砲
- イタリア
- Cannone Da 47/32(47mm32口径砲)
- Cannone Da 47/32(47mm32口径砲)
- ルーマニア
- レシツァ モデル1943 75mm対戦車砲
- レシツァ モデル1943 75mm対戦車砲
- スウェーデン
- ボフォース 37mm対戦車砲
- ボフォース 37mm対戦車砲
- フランス
- オチキス 25mm対戦車砲
- オチキス 47mm対戦車砲
- チェコスロバキア
- シュコダ M1937 37mm対戦車砲
- 47mmP.U.V. vz. 36 対戦車砲