Last-modified: 2021-01-31 (日) 11:26:14 (973d)
【増槽】 †
機体内部にあるのではなく、外部に装着して使用する燃料タンク。
基本的には着脱可能であるが、中には標準装備で着脱不可のもの(コンフォーマルタンク)もある。
発明されてから今日に至るまで、軍用機の戦闘行動半径を伸ばすために必要不可欠な装備となっている。
主に攻勢対航空作戦など、実際の航行距離・燃料消費量が予測不能な場合に装着される。
なお、基本的には航空機でのみ必要とされる装備であり、陸上車両や船舶ではほとんど用いられない。
どうしても必要以上に燃料を多く積まねばならない場合にはペイロードに燃料缶でも積んでおき、必要に応じて補給すれば良いからだ。
とはいえ、戦車や自走砲では必要に応じて増槽が取り付けられる事がたまにある。
実用化されたのは第二次世界大戦前後。
当初はエンジン出力に比して無視できないほど重く*1、また空力的にも非効率的な形状をしていた。
この性質はドッグファイトにおいては甚大な弱点となるため、交戦時には切り離して投棄されるのが通例だった。
空対空ミサイルとエンジン・レーダー技術が発達した現代の空戦では、あえて除装する必要性がないため、緊急事態に遭遇しない限り切り離す事はせず、通常は持ち帰って再利用する。
なお、緊急時であっても市街地上空での切り離しは禁止される*2。
航空自衛隊では、増槽を切り離さねばならなくなった際には、海上まで飛行した上で付近に船舶が居ない事を確認してから切り離す事としている。
*1 より正確に表現すれば、十分な燃料を積載できる強力なエンジンが存在しなかった。
*2 家屋や道端めがけ、数千m上空から、数百リットルの可燃性液体がまとめて落下してくるのである。落下地点で何が起こるかは想像に難くない。