Last-modified: 2015-09-30 (水) 18:59:34 (546d)

【先尾翼】(せんびよく)

Canard(カナール)(仏) / Ente(エンテ)(独)

機首と主翼前縁との間に設けられる小翼。
水平尾翼が、通常の飛行機と違い、機首部につけられるものと考えられる。
初期のものは機体形状が羽を広げた鴨に似ていたことから、フランス語とドイツ語でそれぞれ鴨を意味する「カナール」「エンテ」と呼ばれるようになった。
日本では、フランス語の「カナール」を英語読みした「カナード」という呼び方が一般的である。

一般的な単発プロペラの戦闘機は、機首部分をプロペラエンジンに占有されるため、機首部分に機関砲を集中的に配置することが難しかった。
このため水平尾翼を機首部に、主翼エンジンプロペラを機尾部に移せば、機首部に機関砲を集中配置することができると考えられた。
また通常の水平尾翼と異なり、先尾翼自体も揚力を分担する設計にすることが可能であり、主翼を小さくして抗力を抑えることができる。
さらにプロペラ推力が胴体に邪魔されないプッシャー式のため、加速性能は通常のプロペラ機よりも優れる。
しかし翼弦長が短くなるため、通常の主翼に比べてあまり効率が良いとは言えず、限界がある。

この考えに基づき、XP-55?震電などの機体が試作された。
原理上火力と速力に優れるものの*1、安定性や旋回性能は通常のレシプロ戦闘機に劣っていた。

その後程なくジェット機の時代に入り、超音速機の開発競争が激化すると、音の壁を破る手段のひとつとしてデルタ翼が注目された。
しかしデルタ翼は低速時に迎え角が極端に大きくなるという弱点があった。
この対策として、先尾翼とデルタ翼を組み合わせたクロースカップルドデルタと呼ばれる翼形が登場した。
現代のデルタ翼機は、このクロースカップルドデルタが大半を占める。
ただし、この場合の先尾翼には渦流を発生させることのみを目的とした固定式のものもあり、必ずしも尾翼と同一の役割を持っているとは限らない。

なお、史上初の飛行機フライヤーは先尾翼機である。

関連:水平安定板 昇降舵 スタビレーター 三面翼


*1 XP-55?は設計に問題があり、速力も劣っていた。また、震電は速度試験を実施する前に終戦となり開発が打ち切られた。

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