Last-modified: 2022-10-10 (月) 15:41:25 (58d)

【推力偏向ノズル】(すいりょくへんこうのずる)

vectored thrust nozzle.

ジェットエンジンロケットエンジンに備えられた噴射ノズルのうち、噴射方向が機体に対して可変のもの。
機体の旋回性能を向上させる反面、固定式ノズルに比べれば機構が複雑となり、その分信頼性が劣る。

特に宇宙船人工衛星において、推進剤の消費量軽減に役立つものと期待される。
動翼が機能しない宇宙空間では姿勢制御装置で旋回を行うが、これによる推進剤の消費は無視できない程度に多い。

飛行機においても運動性STOL性を向上させる目的で用いられる。
アメリカ空軍では、F-15をベースとした「F-15S/MTD」実験機が開発された。
これは、主としてSTOL性向上を目的に試作されたもので、1軸の偏向しかできないノズルのものであった。
NASAに移管されて「F-15ACTIVE」と名を変えた後は、機動性向上のため2軸式のノズルに変更されている。

実用機では、F-22Su-37に1軸式の推力偏向ノズルが採用されている。
また、ロシアのMiG-35Su-35Sに、機動性向上のため2軸式の推力偏向ノズルが採用されている。

一方、単純な機構で偏向能力や信頼性の向上を狙った「推力偏向パドル」も開発されている。
NASAではX-31?に採用され、従来の飛行機では実現不可能な(搭乗者の生命維持が不可能なほどの)機動を実現している。
日本の先進技術実証機X-2「心神」にも推力偏向パドルが設けられている。

また、VTOLを実現するにも、推力偏向が有効であるとされる。
ハリアーやその派生機種には4ノズル式の推力偏向ノズル、Yak-141では推力偏向ノズルとリフトジェットの組み合わせが使われている。
F-35Bには推力偏向ノズルとリフトファン?を組み合わせたものが使われているが、こちらのノズルにもYak-141の技術が応用されている。

関連:VIFF


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