Last-modified: 2017-01-27 (金) 15:18:34 (178d)

【植民地】(しょくみんち)

colony.

法制上の主権者と軍事的な実効支配者が一致しない土地。
通常、これは以下のいずれかである。

  • 首都からの距離が遠すぎて統制が効かないため行政管理が半ば放棄された、極端に地方自治権の強い土地
  • 敗戦・内戦・陰謀などで破綻した後、傀儡政権によって管理され他国の言いなりになっている国

典型的な植民地は、封建制や氏族社会を敷く地域に海外から列強がやってきて砲艦外交を仕掛けた、という場合に生じる。
ただ単に寄港して補給を受けたいというだけの要求でさえ、貿易と港湾にまつわる利権の錯綜は容易く内戦に発展し得る。
そもそも文民統制のない社会において内戦はほぼ常態であり、隣人を殺すために外患を誘致するのも特におかしな事ではない。

近代植民地の多くは、そのような混乱と荒廃に乗じて「平和維持」の名目で列強が侵略を仕掛ける事で完成した。
平和維持があくまで建前であって実際の開戦事由が植民地の利権にある事は誰の目にも明らかだが、同時に、それは虚偽ではなかった。
国益のために現地(に進出する邦人)の平和を維持する必要があったし、必要があるという事は、現地が混乱と荒廃の中にあるという事だった。

植民地支配においては残虐行為と搾取が横行したし、それが歴史解釈における複雑な政治問題を招いているのも確かである。
ただし、植民地化以前の先住民が木訥で平和主義であったとか、搾取のない公平な社会を構築していたなどと考えるのは正しくない。

植民地の支配

植民地は建前上は支配者の主権が及んでいない事になっており、領土として編入されていないという点に特徴がある。
これは実効支配者の国家運営において、いくつかの利点をもたらす。

まず第一に、実効支配者がいくつかの法的制約を受けなくなる点である。
本国の国民に対して行う事が許されない残虐行為・搾取・収奪も、本国の法が適用されない植民地では実行可能となる。
また、本国に置いておくと問題を招く貧困層・囚人・少数民族などを植民地に押し込める棄民政策も近代ではよく行われた。

実際のところ、植民地支配を行った国家の多くは本国でも(現代の基準における)残虐行為や搾取や収奪を行った。
もちろん植民地においてはさらなる残虐非道が横行したし、そもそも支配者の意図とは関係ない所でも治安が悪かった。
治安良好になれば現地市民が独立を求めて紛争を起こすため、意図的に治安を悪化させる陰謀が行われる場合も多い。

第二に、本国は経済政策における「捨て駒」「被害担当」として植民地を活用する事ができた。
住民を狩り集めて奴隷として連行する事もできたし、農奴を餓死させる事を念頭に置く商品作物の大規模農場も構築できる。
本国以外の他国との交易を禁止ないし制限し、本国で作った農作物や工業製品を暴利で売りつける事もできた。

そうした行動により、植民地での過激な収奪によって短期的に莫大な富を得る事ができた。
一方で、植民地支配は続けば続くほど労働者を磨り潰して反逆者を増やすため、時間経過と共にその経済効果は落ちていく。
このため、ほとんどの植民地はいずれ利用価値を喪失して放棄されるか、紛争に勝利した現地民によって奪還される。

21世紀の現在において、国際慣習として植民地は解放され、独立国とみなされている。
とはいえ、長きに渡る植民地支配によって国家としての政治基盤が歪んだ地域も多い*1
また、旧支配者の資本家が旧植民地の利権を買収する事は多く、植民地時代ほどではないにせよ搾取的な経営も珍しくない。


*1 元から歪んでいて原始的であり、だから植民地支配に抗えなかったのだ、という「政治的に正しくない」主張もなくはない。
  学術的見地から見ればそれも一面の事実だが、植民地支配からの解放を掲げて建国した国ではそのような政治思想は歓迎されない。


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