Last-modified: 2020-07-21 (火) 00:43:47 (134d)

【情報収集衛星(日本)】(じょうほうしゅうしゅうえいせい(にほん))

Information Gathering Satellite(IGS).

日本国政府*1が運用している、事実上の軍用偵察衛星
1998年のテポドン事件を契機に、「国家安全保障や大規模災害への対応など、内閣の重要政策に関して必要となる画像情報」を収集することを目的として開発され、2003年に第一号機がH2Aロケット5号機により打ち上げられた。

本衛星は、光学センサー*2を搭載する「光学衛星」と合成開口レーダーを搭載する「レーダー衛星」の二種類があり、両タイプ1機づつのペアを2組構成して運用されている*3
これまでに「光学1号〜7号」「レーダー1号〜6号(及び予備機)」と「実証衛星」2機(光学3号及び5号)の18機*4が打ち上げられている。

人工衛星としての詳細なデータは機密とされ公表されていないが、地球低軌道の「太陽同期軌道*5」を周回しているとされている。
また、日本列島付近の上空を通過する時間は毎日10時30分〜11時(JST)頃とされている*6

人工衛星の軌道要素については、天体望遠鏡で観測してそれに基づいて計算すればアマチュアの天文ファンでも知ることができる上、打ち上げの時刻が公表されている以上、地球上の特定の地点を通過する時刻を隠しておくことは事実上不可能である。

また、この衛星は弾道ミサイル発射の兆候を捉えることはできても、発射の瞬間を捉えて警報を出すことは不可能だという*7
加えて、衛星の捉えた情報を地上で分析する分析チームの要員数の少なさも問題として指摘されている*8

衛星一覧

世代打ち上げ日時
(JST)
打ち上げ
ロケット
衛星名称NORAD識別名備考
第1世代2003.3.28
10:27
H-A
ロケット
5号機
光学1号機IGS-1A分解能1m*9。既に運用終了
2014.7.18
大気圏に再突入し消滅
レーダ1号機IGS-1B分解能1〜3m。
2012.7.26
大気圏に再突入し消滅
2003.11.29
13:33
同6号機光学2号機IGS-2A1号機の同型機。
打ち上げ失敗*10により喪失*11
レーダ2号機IGS-2B
第2世代2006.9.11
13:35
同10号機光学2号機IGS-3AH-Aロケット6号機の打ち上げ
失敗で喪失したIGS-2Bの代替機
2013.12.24 運用終了
2007.2.24
13:41
同12号機レーダ2号機IGS-4A分解能は1号機と同じだが、
撮像時間が向上している。
2010.10.7
運用障害により復旧断念
2014.4.13
大気圏に再突入し消滅
光学第3光学3号機
実証衛星
IGS-4B分解能60cm級の実証機。
既に運用終了。
2013.11.12
大気圏に再突入し消滅
2009.11.28
10:21
同16号機光学3号機IGS-5A分解能60cm級。
2017.9.15 運用終了
光学第42011.9.23
13:36
同19号機光学4号機IGS-6A分解能は3号機と同じだが、
ポインティング性能が向上した
2018.8.8 運用終了
レーダ第32011.12.12
10:21
同20号機レーダ3号機IGS-7A分解能を1mに向上し、
電源の不具合対策を実施。
2013.1.27
13:40
同22号機レーダ4号機IGS-8AIGS-7Aの同型機。
IGS-7Aと比べて開発コストを
約154億円削減。
光学第5光学5号機
実証衛星
IGS-8B分解能が41cmより高性能の
実証機。
既に運用終了。
レーダ第32015.2.1
10:21
同27号機レーダ予備機IGS-9Aレーダ3・4号機の同型の予備機
光学第52015.3.26
10:21
同28号機光学5号機IGS OPTICAL 5分解能30cmまたは40cm級。
アメリカ国家偵察局?運用の
偵察衛星に次ぐ性能を目指して
開発された
レーダ第42017.3.27
10:20
同33号機レーダ5号機IGS RADAR-5レーダ3号機の後継。
分解能50cm級。
光学第62018.2.27
13:34
同38号機光学6号機IGS O 6光学4号機の後継。
分解能30cm級。
レーダ第62018.6.12
13:20
同39号機レーダ6号機IGS R-6レーダ4号機の後継。
分解能はレーダ5号機と同等の
50cm級。
光学第72020.2.9
10:34
同41号機光学7号機IGS-O 7光学5号機の後継。
分解能は30cmより高性能。
光学5号機と比べて、光学センサー
を高性能化。
光学6号機と比べて、姿勢駆動装置を
増強し俊敏性向上。
データ中継衛星との通信機能を搭載
-2020.予定-データ中継衛星
1号機
-情報収集衛星システム初のデータ
中継衛星。
2015年度開発着手。
-2022.予定レーダ7号機レーダ5号機の後継。
2015年度開発着手。
レーダ6号機と比べて、
発信電波の増強により画質が向上
受信アンテナの複数搭載による
撮像幅拡大
データ中継衛星との通信機能を
搭載し即時性を向上
2023.予定光学8号機光学6号機の後継。
2015年度開発着手。
分解能は25cmより高性能
光学センサの主鏡の大口径化と
高精細検出器の採用により
画質の大幅な向上を実現させる
また、俊敏性確保のため
大型姿勢駆動装置を採用する
レーダ8号機レーダ6号機の後継。
2016年度開発着手。
レーダ7号機の同型機として
一体開発し開発費を大幅に節減
2025.予定光学9号機光学7号機の後継。
2019年度開発着手。
光学多様化
1号機
多様化衛星。
2016年度開発着手。
2026.予定レーダー多様化
1号機
多様化衛星。
光学多様化
2号機
2028.予定レーダ9号機レーダ7号機の後継。
2021年度開発着手予定。
2029.予定光学10号機光学8号機の後継。
2023年度開発着手予定。
レーダ10号機レーダ8号機の後継。
2023年度開発着手予定。
2031.予定光学11号機光学9号機の後継。
2034.予定レーダ11号機レーダ9号機の後継。



*1 運用は内閣官房直属の「内閣情報調査室内閣衛星情報センター」が受け持っている。
*2 近赤外線観測機能付きの超望遠デジタルカメラを装備。
*3 この体制が完成したのは、2013年4月にレーダー4号機の運用が開始されてからであり、1号機の運用開始から10年経って達成された。
*4 光学及びレーダーの2号機については、2003年11月の打ち上げ時にロケット(H2Aロケット6号機)の不具合により指令爆破され、運用されないまま喪失した。
  後日、H2Aロケットの10号機及び12号機により打ち上げられた代替衛星に「2号」の名が与えられたため、号数と実際に打ち上げられた数が一致しない。

*5 高度490km、軌道傾斜角97.3度。
*6 これらはNASANORADなどが観測したデータに基づいている。
*7 発射をリアルタイムで探知するには、静止軌道を周回する「早期警戒衛星」が必要であるが、現時点ではまだ開発・運用計画はない。
*8 アメリカの分析チームは数千名単位だが、日本の分析チームは200名前後だという。
*9 ただしこの半分の分解能しか有していないとの報道もあった。
*10 補助ロケットブースターの分離失敗による指令爆破。
*11 これ以降、2機同時に失うことを避けるため、1機ずつ打ち上げられることになった(実証衛星除く)。

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