Last-modified: 2022-09-28 (水) 00:11:32 (18h)

【鐘馗】(しょうき)

中島・キ44 二式戦闘機"鐘馗"。

日本帝国陸軍戦闘機
同じく二式戦闘機として採用された屠龍(キ45改)と区別するため、二式単座戦闘機とも呼ばれる。
略称は「二式戦」や「ヨンヨン」など。
連合軍におけるコードネームは"Tojo(トージョー)"。

従来どおりの軽単座戦闘機(後の「一式戦闘機「隼」」)に加え、対戦が予想されるイギリスのスピットファイアなど全金属製、引込み脚の高速戦闘機に対抗可能でかつ強力な武装を備える重単座戦闘機の要求を受けた中島で開発された。
搭載エンジンは九七式重爆撃機?など大型爆撃機に搭載されてきた大直径大出力「ハ5」エンジン系列の「ハ41 (離昇1250馬力)」に決定、これと空気抵抗を削減した小柄な機体を組み合わせることで高速を狙った。
試作機の初飛行は1940年10月。
さまざまな新基軸を取り入れた機体は多くの不具合やテストパイロットの批判を生んだが、欧州大戦でのBf109をはじめとする重戦闘機の活躍が開発を後押しした。

1941年夏、試験目的で輸入されたBf109E-7に対し、キ44は総合性能でこれに勝るとされ、欧州の戦闘機にも対抗可能*1だと結論づけられた。


太平洋戦争開戦の1941年12月と同時に、増加試作機による試験的な実戦投入*2が行われ、そこで挙げた戦果を踏まえて、翌1942年2月に「二式戦闘機一型」として制式採用が決定、後1942年12月には発動機をハ41の発展型の「ハ109 (離昇1500馬力)」に換装した「二式戦闘機二型」も制式採用された。

本機は、当時の他の日本軍戦闘機に比べて最高速度、急降下性能に優れ、欧米機以上の上昇性能を保持していたが、逆に旋回半径や高迎え角時の安定性、失速速度に劣った。
そのため、この機体特性を許容できない多くの搭乗員は本機を忌み嫌った。ただし、その戦闘スタイルを理解した一部の者はその性能を十分に発揮した。

しかし、他の日本軍機と比べて航続距離の短い本機は広大な太平洋や東南アジアの戦線に十分対応出来ず、戦争前期において活躍の場は限定された。

戦争後期の本土空襲では、本機の優れた上昇性能が高高度を巡航するB-29迎撃任務に大いに発揮された。

後に中島飛行機の戦闘機の集大成として完成する四式戦闘機にはこの機体の要素が多く取り入れられることとなる。

1945年8月(終戦前後)に連合国軍の航空技術情報部「TAIU」による低高度、低出力状態での飛行テスト及び連合国軍の主力機(P-51F6Fシーファイア*3)との実際の比較が行われた。
結果、加速力及び上昇性能でF6F以外の2機とは競争が可能とされた。


完全な状態の機体は現存していないが、中華人民共和国の西北工業大学西安航空館に機体中翼部が零戦の主翼と称されて展示されており、国内には航空自衛隊入間基地修武台記念館に「ハ5」エンジン周辺部分のみが現存する。

性能諸元(二式戦闘機二型乙(キ44-恐機法

乗員1名
全長8.84m
全高3.25m
翼幅9.45m
翼面積15
翼型root:NN-2 mod.(14.8%)
tip:NN-2 mod.(9%)
空虚重量2,106kg
全備重量2,764kg
最大離陸重量2,993kg
発動機中島 ハ109空冷星型複列14気筒×1基
出力1,519hp(1,133kW)(離昇出力)
1,440hp(1,070kW)(高度2,150m)
1,320hp(980kW)(高度5,250m)
プロペラ3枚翅定速プロペラ
最高速度605km/h(高度5,200m)
巡航速度400km/h(高度4,000m)
失速速度150km/h
航続距離1,200km
フェリー航続距離1,600km
上昇限度11,200m
高度到達時間高度5,000mまで4分17秒(19.46m/s)
翼面荷重184kg/
馬力荷重410W/kg
武装ホ103 12.7mm機関砲×2門(携行弾数各250発)
オプションで翼内にホ301 40mm砲*4×2門(携行弾数各8発)を搭載可能
爆装30kg〜100kg爆弾×2発または250kg爆弾×1発
130L(34 US gal)ドロップタンク×2基


各型式

  • 二式戦一型(キ44-機法
    最初の正式採用型。発動機はハ41(離昇1250馬力)を搭載する。
    • 二式戦一型甲(キ44-宜叩法
      ホ103 12.7mm機関砲2門+八九式7.7mm機関銃2挺を装備。

    • 二式戦一型乙(キ44-飢機法
      武装をホ103 12.7mm機関砲4門に強化した型。

    • 二式戦一型丙(キ44-喫此法
      車輪カバー下側の形状を︵から︶の形に変更した型。

  • 二式戦二型(キ44-II):
    発展型で、発動機はハ109 (離昇1500馬力)に換装された。

    • 二式戦二型甲(キ44-狭叩法
      武装は一型甲と同じ。

    • 二式戦二型乙(キ44-恐機法
      武装を胴体12.7mm機関砲2門とした型。
      一部の機は主翼にホ301 40mm機関砲2門を特別装備可能だった。

    • 二式戦二型丙(キ44-曲此法
      武装をホ103 12.7mm機関砲4門に強化した型。
      一〇〇式射撃照準器(光像式照準器)を採用した。

  • 二式戦三型甲(キ44-傾叩法
    改良型。発動機はハ145(出力2,000hp)を搭載。
    単排気管、四式戦闘機と同じ主翼(ただし翼面積は試作一号機と同じく19屐法プロペラを採用している。
    武装も20mm機関砲4門に強化されている。
    すでに四式戦闘機の採用が決まっていたため採用されず。一機のみ試作。

  • 二式戦三型乙(キ44-群機法
    三型甲の武装強化案。武装はホ203 37mm機関砲2門+ホ5 20mm機関砲2門。

  • キ63:
    1940年に構想された重戦闘機。
    当初は新規設計機として計画されていたが開発が進まず、1941年秋頃にキ44-靴実質的にキ63であると解釈する形で計画が立ち消えになった。


*1 もっとも、当時ルフトバッフェのBf109はより性能向上のなされたFシリーズに更新されていたが。
*2 特別編成の独立飛行第四十七中隊、通称「かわせみ部隊」にて運用された。イギリス及びそれらに準ずる英連邦各国が投入すると考えられたスピットファイアへの対抗策だったが、交戦しなかった。
*3 スピットファイアの艦載型。
*4 航空機関砲であるが実際は擲弾発射器に近い。

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