Last-modified: 2019-05-06 (月) 09:13:04 (110d)

【秋水】(しゅうすい)

三菱・J8M(キ200)「秋水」。

第二次世界大戦末期、日本陸軍日本海軍が共同で開発・生産したロケット推進迎撃戦闘機
ドイツのMe163「コメット」の図面を基に開発された。

当初は、遣独潜水艦作戦?でMe163とMe262の技術資料が潜水艦でドイツから送られてくることになっていたが、その潜水艦がシンガポール出港後に撃沈されてしまう。
しかし、同艦に便乗していた者が一部の資料を携えてシンガポールで零式輸送機に乗り換えて日本へ向かったため、資料の完全な散逸こそ免れたが、不完全な資料しか持ち込めなかった。

開発当時、日本軍部は本土へ空襲を仕掛けてくるB-29の迎撃に苦慮しており*1燃料酸化剤を機内に搭載するロケット戦闘機は有用と判断され、陸軍・海軍・民間の三者合同で開発が進められた*2

1945年7月7日に初飛行が行われた本機は、終戦までに7機が生産されたのみに終わった。
終戦後は技術調査のために3機がアメリカ軍に接収された。

現在は三菱製の1機が現存しており、アメリカ・カリフォルニア州チノのプレーンズ・オブ・フェイム航空博物館に展示保存されている。
また、1961年に日本飛行機杉田工場の拡張工事の際に発見された機体の一部は、航空自衛隊岐阜基地で保管された後、1997年に三菱に譲渡され、残された1,611枚の設計図をもとに復元され、現在は愛知県豊山町の「名古屋航空宇宙システム製作所史料室」に展示されている。

性能諸元

乗員1名
全長5.95m
全高2.7m
全幅9.5m
翼面積17.73
自重1,505kg
最大重量3,000kg
発動機特呂二号(KR-10)薬液反応ロケット×1基(推力1,500kg)
最高速度800km/h
上昇力10,000mまで約3分
上昇限度12,000m
航続距離約5分30秒
武装五式30mm固定機銃×2挺(J8M1/J8M2)
ホ155-II 30mm機関砲またはホ5 20mm機関砲×2挺(キ200)


バリエーション

  • 秋水(J8M1):
    生産1号機。試験飛行中に大破。

  • 秋水(キ200):
    生産2号機。エンジンが完成しなかったため飛行せずに終戦。

  • J8M2:
    海軍の計画。
    発進用車輪を廃してカタパルト発進式とし、搭載武装を30mm機銃1挺に減じ、燃料搭載量を増加させた型。
    計画のみ。

  • 秋水改(キ202):
    陸軍の計画。
    機体を空力的に洗練し、エンジンを強化型の「特呂三号」(推力:2,000kg)に変更、さらに巡航用ロケットを追加して航続時間の増加を試みた型。
    計画のみ。

  • 秋草(あきぐさ)(MXY8/ク13):
    部隊訓練用の軽滑空機
    秋水と同一の外見をしていたが、全木製羽布張りとなり重量は1トン強にとどまった。
    秋水の完成に先立って少数が製作され、訓練に用いられた。

  • 秋水重滑空機:
    秋水からエンジンと武装を取り外した訓練用グライダー。

  • 秋花(しゅうか)(MXY9):
    秋草に「ツ11」モータージェット?を搭載した練習機。計画のみ。

  • 秋水式火薬ロケット:
    秋水の設計をもとにした無線操縦型地対空ミサイル
    炸薬は積まず体当たり攻撃を行ったのちは着陸・再使用される。
    川崎航空機が製造する予定だった。計画のみ。


*1 従来の戦闘機はエンジン排気タービンを搭載していなかったため、B-29の飛行する高度10,000m圏内では高度を維持するのがやっとという状態だった。
*2 これは、セクショナリズムの弊害が強かった当時の日本では画期的なことであった。

トップ 編集 凍結 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード 新規 一覧 単語検索 最終更新ヘルプ   最終更新のRSS