Last-modified: 2022-10-13 (木) 19:11:22 (240d)

【秋水】(しゅうすい)

三菱・J8M/キ200「秋水」

第二次世界大戦末期、日本陸軍日本海軍が共同で開発・生産したロケット推進迎撃戦闘機
ドイツのMe163「コメット」の図面を基に開発された。

Me163Me262の技術資料を輸送する遣独潜水艦作戦に従事していた潜水艦が、シンガポール出港後に撃沈。
残存資料は同潜水艦の便乗者によって日本まで送り届けられたが、一部資料が散逸している。

開発当時、日本軍部は本土へ空襲を仕掛けてくるB-29の迎撃に苦慮していた。
当時の日本では過給器技術の未成熟ゆえに高度10,000m圏での安定飛行が困難で、B-29の侵入高度まで上昇するのはほぼ不可能だった。
この問題を解決するためにロケットエンジンの利用が計画され、陸軍・海軍・民間の三者合同で開発が進められた。

陸海軍間の権益衝突の弊害が強かった当時の日本で、これは画期的な出来事であった。
末期戦に陥った日本の戦局的窮乏をなんら打開し得ない、手遅れで無意味な画期でもあったが。

1945年7月7日に初飛行が行われた本機は実戦参加には至らず、終戦までに7機が生産されたのみに終わった。
終戦後は技術調査のために3機がアメリカ軍に接収された。

現在は三菱製の1機が現存しており、アメリカ・カリフォルニア州チノのプレーンズ・オブ・フェイム航空博物館に展示保存されている。
また、大破機体から復元された機体が名古屋飛行場に隣接する「名古屋航空宇宙システム製作所史料室」に展示されている。

性能諸元

乗員1名
全長5.95m
全高2.7m
全幅9.5m
翼面積17.73
自重1,505kg
最大重量3,000kg
発動機特呂二号(KR-10)薬液反応ロケット×1基(推力1,500kg)
最高速度800km/h
上昇力10,000mまで約3分
上昇限度12,000m
航続距離約5分30秒
武装五式30mm固定機銃×2挺(J8M1/J8M2)
ホ155- 30mm機関砲またはホ5 20mm機関砲×2挺(キ200)


バリエーション

  • 秋水(J8M1):
    生産1号機。試験飛行中に大破。

  • 秋水(キ200):
    陸軍側の機体番号がついた生産2号機。エンジンが完成しなかったため飛行せずに終戦。

  • J8M2:
    海軍の計画。
    発進用車輪を廃してカタパルト発進式とし、搭載武装を30mm機銃1挺に減じ、燃料搭載量を増加させた型。
    計画のみ。

  • 秋水改(キ202):
    陸軍の計画。
    機体を空力的に洗練し、エンジンを強化型の「特呂三号」(推力:2,000kg)に変更、さらに巡航用ロケットを追加して航続時間の増加を試みた型。
    計画のみ。

  • 秋草(あきぐさ)(MXY8/ク13):
    部隊訓練用の軽滑空機
    秋水と同一の外見をしていたが、全木製羽布張りとなり重量は1トン強にとどまった。
    秋水の完成に先立って少数が製作され、訓練に用いられた。

  • 秋水重滑空機:
    秋水からエンジンと武装を取り外した訓練用グライダー。

  • 秋花(しゅうか)(MXY9):
    秋草に「ツ11」モータージェット?を搭載した練習機。計画のみ。

  • 秋水式火薬ロケット:
    秋水の設計をもとにした無線操縦型地対空ミサイル
    炸薬は積まず、体当たり攻撃を行ったのちは着陸・再使用される。
    川崎航空機が製造する予定だった。計画のみ。


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