Last-modified: 2017-07-09 (日) 11:25:53 (162d)

【秋月】(あきづき)

  1. 大日本帝国海軍・大型防空駆逐艦「秋月」。
    同型艦に照月、涼月、初月、新月、若月、霜月、冬月、春月、宵月、夏月、花月の11隻*1があった。

    本艦型は、航空機の技術革新が1930年代に入ってから急速に進み、艦隊にとって新たな脅威となったことから、これへの対処策として計画された。
    当初は、従来の艦よりも対空・対潜能力を強化し、機動部隊に随伴できる速力・航続力を持つ直衛専用艦とされ、名称もずばり「直衛艦」として計画された。
    しかし、現場からは「艦隊決戦にも使えるように」という要望があり、魚雷発射管が追加されて「大型駆逐艦」としてデビューした*2*3

    備砲には、従来よりも砲身長の長い「九八式65口径10サンチ高角砲」が搭載され、強力な対空射撃能力を獲得した。
    しかし、この砲は構造が複雑すぎて量産ができず、本艦型以外には重装甲空母大鳳?」及び軽巡洋艦大淀」にのみしか搭載できなかった。
    その上、帝国海軍が最後までレーダー連動式の射撃指揮装置を実用化できなかったため、アメリカ軍のように、実戦での効率的な対空射撃は難しかったが、それでも、開発・設計・運用のコンセプトは航空主兵主義が支配的になった1940年代の海戦に適合したものであり、大戦中盤〜後期にかけてさまざまな海戦で活躍をみせた。

    スペックデータ
    乗員263名(竣工時)/315名
    排水量
    基準/公試/満載
    2,700t/3,470t/3,878t
    全長134.2m
    全幅11.6m
    喫水4.15m(公試状態)
    主缶ロ号艦本式罐・重油焚×3基
    主機艦本式タービン×2基2軸推進(出力52,000hp)
    燃料搭載量重油:1,080t
    最大速力33.0kt
    航続距離8,000海里/18kt
    兵装
    新造時九八式65口径10cm高角砲×4基8門
    九六式25mm連装機銃×2基
    4連装61cm魚雷発射管×1基4門(九三式魚雷8本)
    九四式爆雷投射器×2基(九五式爆雷54個)
    1944年時九八式65口径10cm連装高角砲×4基8門
    九六式25mm3連装機銃×5基
    九六式25mm単装機銃×13基
    13mm単装機銃×4基
    4連装61cm魚雷発射管×1基4門(九三式魚雷8本)
    九四式爆雷投射器×2基(九五式爆雷54個)
    電探
    (1944年時)
    二式二号電波探信儀一型(21号電探)×1基
    三式一号電波探信儀三型(13号電探)×1基
    水測兵装九三式探信儀×1基
    九三式水中聴音機×1基

    同型艦
    艦名主造船所起工進水就役除籍備考
    秋月
    (あきづき)
    舞鶴工廠1940.7.301941.7.21942.06.111944.12.101944.10.25
    レイテ沖海戦にて喪失
    照月
    (てるづき)
    三菱・長崎1940.11.131941.11.211942.8.311943.1.201942.12.12喪失*4
    涼月
    (すずつき)
    1941.3.151942.3.41942.12.291945.11.201948.解体*5
    初月
    (はつづき)
    舞鶴工廠1941.7.251942.4.31942.12.291944.12.101944.10.25喪失
    新月
    (にいづき)
    三菱・長崎1941.12.81942.6.291943.3.311943.9.101943.7.6
    クラ湾夜戦にて喪失
    若月
    (わかつき)
    1942.3.91942.11.241943.5.311945.1.201944.11.11
    オルモック輸送作戦中に喪失*6
    霜月
    (しもつき)
    1942.7.61943.4.71944.3.311945.1.101944.11.25喪失*7
    冬月
    (ふゆつき)
    舞鶴工廠1943.5.81944.1.201944.5.251945.11.201948.5.解体*8
    春月
    (はるつき)
    佐世保工廠1943.12.231944.8.31944.12.281945.10.51947.8.28
    戦時賠償艦としてソ連に引き渡し。
    太平洋艦隊第5艦隊に編入。
    艦名を「ヴネザープヌイ*9」に
    改める。
    1949.6.17 種別変更(練習艦)
    艦名を「オスコール*10」に改める。
    1955.1.1 種別変更(浮き兵舎)
    艦名を「PKZ-65」に改める。
    1955.6.2 種別変更(標的艦)
    艦名を「TsL-64」に改める。
    1965.9.18 種別変更(浮き兵舎)
    艦名を「PKZ-37」に改める。
    1969.6.4 除籍・解体
    宵月
    (よいづき)
    浦賀船渠1943.8.251944.9.251945.1.311945.10.51947.8.29
    戦時賠償艦として中華民国
    (台湾)に引き渡し。
    艦名を「汾陽(フェンヤン)(Fen Yany)」に
    改める。
    1947.10.1 練習艦隊に編入。
    1963. 除籍・解体
    夏月
    (なつづき)
    佐世保工廠1944.2.101944.10.101945.4.81945.10.51947.9.3
    戦後賠償艦としてイギリス
    に引き渡し。
    1947.9.10解体*11
    満月
    (みちづき)
    1945.1.3-建造中止
    1948.2.解体
    花月
    (はなづき)
    舞鶴工廠1944.2.101944.10.101944.12.261945.10.51947.
    戦時賠償艦としてアメリカ軍に
    引き渡され、「DD-934」の
    ナンバーが与えられた。
    1948.2.3
    標的艦として処分。

  2. 海上自衛隊・大型護衛艦「あきづき(初代)」(JS Akizuki DDC-161/USS Akizuki DD-960)。
    同型艦に「てるづき」(JS Teruzuki DDC-162/USS Teruzuki DD-961)がある。

    本艦は、アメリカ政府が第二次世界大戦後、海外同盟国への軍事援助の一環として実施していた「域外調達(OSP*12)」により、合衆国の1957会計年度軍事予算で日本の造船所に発注・建造された。
    そのため、建造中はアメリカ海軍の艦籍番号*13を持っており、竣工と同時に海自へ「供与」の形で引き渡された。

    基準排水量2,000トン以上と、当時の海自艦艇の中ではかなりの大型であり、このスペースを生かして司令部スペースや長官公室などが備えられ、指揮護衛艦(艦隊旗艦)として活用された。
    ネームシップ「あきづき」は竣工後、1963年に陸上に移されるまで自衛艦隊旗艦を務め、その後の1969年〜1985年までは護衛艦隊の2代目旗艦となった。
    一方、姉妹艦の「てるづき」は護衛艦隊創設と共にその初代旗艦となり、1969年に「あきづき」に将旗を移すまでその任にあった*14

    その後、1980年代半ばには後継の「みねぐも」型や「はつゆき」型に任務を譲る形で艦隊から退き、練習艦や特務艦などに改装された後、1993年に2隻とも除籍・解体された。

    スペックデータ
    艦種指揮護衛艦(DDC)
    乗員330名
    基準排水量2,350t
    全長118m
    全幅12m
    深さ8.5m
    吃水4m
    推進方式蒸気タービン推進
    主缶三菱神戸 CE型2胴水管ボイラー×2缶(40kgf/c, 450℃)
    主機三菱エッシャーウイス型3胴型蒸気タービン×2基
    (てるづき 新三菱WEC製3胴型蒸気タービン×2基)
    推進器×2軸
    機関出力45,000shp
    発電機主ターボ発電機×2基(出力550kVA)
    停泊用ディーゼル発電機×2基(出力150kVA)
    最大速力32kt
    兵装Mk.39 54口径5インチ(127mm)単装砲×3門
    57式3インチ(76mm)連装速射砲×2基4門
    65式4連装53cm魚雷発射管(HO-401)×1基(54式魚雷?用)
    Mk.108「ウェポン・アルファ」 324mm対潜ロケット砲×1基
    ※後日、71式ボフォース・ロケットランチャーに換装。
    Mk.10 ヘッジホッグ?対潜迫撃砲×2基
    Mk.2短魚雷落射機×2基(Mk.32短魚雷用)
    ※後日、68式3連装魚雷発射管(HOS-301)に換装。
    55式爆雷投射機(Y砲)×2基
    54式爆雷投下軌条×2条
    レーダーOPS-1対空レーダー
    OPS-5対水上レーダー
    GFCSMk.57(127mm砲用)
    Mk.63 Mod14(76mm砲用)
    ソナーAN/SQS-4 捜索ソナー×1基(後日、AN/SQS-4 mod.1/4に更新)
    AN/SQR-8 攻撃用ソナー×1基
    (1970年に撤去)
    OQA-1A/B 可変深度式ソナー×1基(後日装備)
    ESM装置US NOLR-1 ESM装置

    同型艦
    艦番号艦名主造船所起工進水就役退役備考
    DD-960

    DDC-161

    ASU-7010
    あきづき
    (USS Akizuki
    →JS Akizuki)
    三菱・長崎1958.7.311959.6.261960.2.131993.12.71985.3.27
    種別変更
    (特務艦)
    DD-961

    DDC-162

    ASU-7012
    てるづき
    (USS Teruzuki
    →JS Teruzuki)
    三菱・神戸1958.8.151959.6.241960.2.291993.9.271986.3.27
    種別変更
    (特務艦)

  3. 海上保安庁・小型巡視艇「あきづき」(MSA Akizuki PC-64)。
    1970年代〜1980年代にかけて導入された、狭水道での哨戒・警備用の小型巡視艇。
    公称船型は「特23メートル型巡視艇」。
    同型船に「しののめ」「うらゆき」「いせゆき」「はたぐも」「まきぐも」「はまづき」「いそづき」「しまなみ」「ゆうづき」「はなゆき*15」「あわぎり」の11隻がある。

    航路を航行する制限速力(12ノット)に合わせて長時間航行すると共に、高速発揮も求められることから、動力には巡航用とブースト用のディーゼルエンジンを組み合わせたCODAD方式を採用している。

    現在、老朽化により本艇を含めた10隻が退役し、残っているのは「たまなみ(旧名『はなゆき』)」「あわぎり」の2隻のみである。

    スペックデータ
    総トン数127t(旧)
    全長26m
    全幅6.3m
    深さ3m
    機関ディーゼルエンジン×3基3軸推進
    機関出力3,000馬力
    速力22kt
    航続距離220浬
    人員10名
    武装なし

    同型艦
    艦番号艦名建造所就役退役所属
    PC-64あきづき三菱・下関S49.2.28H8.3.11横浜
    PC-65しののめS49.3.25H8.2.9鳥羽
    PC-72うらゆきS50.5.31H26.3.11横須賀
    PC-73いせゆきS50.7.31H13.2.22鳥羽
    PC-75はたぐもS51.2.21H24.2.14横須賀
    PC-76まきぐもS51.3.19H26.3.11鳥羽
    PC-77はまづきS51.11.29坂出
    PC-78いそづきS52.3.18横浜
    PC-79しまなみS52.12.23名古屋
    PC-80ゆうづきS54.3.22横須賀
    PC-81はなゆき
    →たまなみ
    S56.3.27横浜
    PC-82あわぎりS58.3.24神戸

  4. 海上自衛隊汎用護衛艦「あきづき(2代)」(JS Akizuki DD-115)。
    従来の護衛艦を大型化した「仮称5000トン級護衛艦(19DD)」として、2007年(平成19年)度防衛予算で発注・建造された大型護衛艦。

    前級のたかなみ型と比べ、あたご型イージス護衛艦と同様の塔型の新型マストや平面固定型対空レーダーを採用し、上部構造物を舷側まで拡大するなど、ステルス性の向上が図られている。
    また本級は、BMD行動中のイージス艦を補佐するのを目的としているため、「たかなみ」型のVLSよりもESSM(RIM-162)の搭載量が増加している。
    C4Iシステムや対空戦闘システムについては、ひゅうが型ヘリコプター搭載護衛艦に搭載されていた「OYQ-10」戦術情報処理装置?FCS-3多機能レーダーの改良型である「OYQ-11」と「FCS-3A(00式射撃指揮装置)」を搭載している。
    艦載機についてはSH-60Kを最大2機搭載する事が可能。
    着艦拘束装置は従来と同様にカナダのインダル社製だが、RASTに替えて自動式のASIST Mk.6が採用され、着艦が比較的容易になった。
    ちなみに「あきづき」には現在、07式垂直発射魚雷投射ロケットは搭載されていない。

    ネームシップの「あきづき」が2012年3月に就役したのを皮切りに、2014年までに4隻が竣工している。

    スペックデータ
    艦種汎用護衛艦(DD)
    前級たかなみ型
    次級あさひ(2代)型
    乗員約200名
    基準排水量5,000t/5,100t(3番艦以降)
    満載6,800t
    全長150.5m/151m(3番艦以降)
    全幅18.3m
    深さ10.85m/10.9m(3番艦以降)
    吃水5.4m
    機関COGAG方式
    ロールス・ロイス SM1Cガスタービン×4基(出力16,000PS)
    スクリュープロペラ×2軸
    発電機川崎M1A-35ガスタービン発電機×3基(出力2.4MW)
    最大速力30kt
    兵装Mk.45 62口径5インチ単装砲×1基
    高性能20mm機関砲CIWS)×2基
    4連装SSM発射筒×2基(90式SSM用)
    Mk.41 mod.29VLS×1基32セル(以下の艦対空/対潜ミサイルを装備)
    RIM-162「ESSM」短SAM
    RUM-139「VLA」(1番艦)
    07式垂直発射魚雷投射ロケット(2番艦以降)
    68式3連装短魚雷発射管(HOS-303)×2基
    艦載機SH-60J/K哨戒ヘリコプター×1機*16
    C4IシステムMOF*17システム(SUPERBIRD B2)
    海軍戦術情報システム(OYQ-11 ACDSリンク11/14/16
    NOYQ-1B 統合ネットワークシステム
    FCSFCS-3A(00式射撃指揮装置)
    レーダーFCS-3A 多機能レーダー(捜索用、FC用アンテナ各4面)×1基
    OPS-20C 航海レーダー(主・副アンテナ各1基)×1基
    ソナーOQQ-22 統合ソナー・システム
    (バウ・ソナー+OQR-3 TACTASS)
    電子戦
    ・対抗手段
    NOLQ-3D 統合電子戦システム
    Mk.36 SRBOC 対抗手段システム
    (Mk.137 チャフフレア発射機×4基)
    曳航具4型 対魚雷デコイ×1基
    投射型静止式ジャマー(FAJ)×2基
    自走式デコイ(MOD)×2基

    同型艦
    艦番号艦名主造船所起工進水竣工所属
    DD-115あきづき
    (JS Akizuki)
    三菱・長崎2009.7.172010.10.132012.3.14第1護衛隊群第5護衛隊
    (司令部:横須賀基地)
    (定係港:佐世保基地)
    DD-116てるづき
    (JS Teruzuki)
    2010.6.22011.9.152013.3.7第2護衛隊群第6護衛隊
    (司令部:佐世保基地)
    (定係港:横須賀基地)
    DD-117すずつき
    (JS Suzutsuki)
    2011.5.182012.10.172014.3.12第4護衛隊群第8護衛隊
    (司令部:呉基地)
    (定係港:佐世保基地)
    DD-118ふゆづき
    (JS Fuyuzuki)
    三井造船
    玉野事業所
    2011.6.142012.8.222014.3.13第3護衛隊群第7護衛隊
    (司令部・定係港:舞鶴基地)


*1 計画では、他に20隻建造予定だった。
*2 サイズ的には大正末期に建造された二等(軽)巡洋艦「夕張」に匹敵していた。
*3 同じ頃、米英海軍でも「アトランタ」級(米)や「ダイドー」級(英)といった、防空任務に特化された巡洋艦が造られていた。
*4 魚雷艇の攻撃による。
*5 船体は福岡県若松港の防波堤に使用される。
*6 米軍機の攻撃による。
*7 米潜水艦「カヴァラ(USS Cavalla, SS-244)」の雷撃による。
*8 船体は福岡県若松港の防波堤に使用される。
*9 Внезапный:ロシア語で「突然の」という意味の形容詞。
*10 Оскол:ロシア・ウクライナを流れるドネツ川の支流である川。
*11 解体は日本国内で行われた。
*12 Off Shore Procurement.
  アメリカが対象国に資金を与えて兵器を作らせ、完成後は対象国軍の装備として供与するもの。

*13 「あきづき」が「DD-960」、「てるづき」は「DD-961」であった。
*14 現在は護衛艦隊司令部も陸上に移され、自衛艦隊及び護衛艦隊において「旗艦」制度は廃止されている。
*15 後に「たまなみ」と改称。
*16 ハンガーは哨戒ヘリコプターでは2機、MCH-101掃海・輸送ヘリコプターでは1機に対応可能。
*17 Maritime Operation Force System:海上作戦部隊指揮管制支援システム

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