【州兵】 †
National Guard(米).
アメリカ陸軍及びアメリカ空軍の組織のひとつで、各州に置かれている郷土防衛部隊。
平時は州知事の指揮下にあり*1、災害救助や暴動鎮圧などの任務につく。
戦時体制では連邦政府・連邦軍の指揮下に組み込まれ、その予備部隊として戦闘に参加する。
そのため、訓練・編制・装備は全て連邦政府直轄軍と同一のものとされている。
中には「郷土防衛」の枠を越え、統合軍の重要な構成要素となっている部隊も存在する。
かつては「One weekend a month, two weeks a year(ひと月に週末1回、年間合わせて2週間)」という標語で示されるような気軽な勤務だったという*2が、21世紀の現在ではフルタイム動員が常態化している*3こともあって、この標語は死語と化している。
なお、一部の州ではこれ以外にも「州防衛軍(State Defense Forces)」「海軍民兵(Naval Millitia)」という連邦政府の関与を受けない民兵組織が置かれている。
これらの中には実働組織を持つものもあれば、州法上の規定のみにとどまっているものもある。
兵力 †
陸軍州兵は、2001年度において約35万人の兵力を擁し、8個師団及び37個独立旅団(砲兵・工兵・後方支援など)などが編制されている。
なお、2016年度よりこれらとは別に、3個旅団戦闘団及びいくつかの部隊が連邦政府直轄軍に編入されている。
空軍州兵は、2001年度において約16万人の兵力を擁し、戦略爆撃飛行隊2個、防空専任飛行隊4個、戦闘攻撃飛行隊33個、輸送飛行隊26個、給油飛行隊23個、特殊作戦飛行隊1個などが編制されている。
これらの中には、B-2ステルス爆撃機やF-22ステルス戦闘機を装備した部隊もある。
*1 ただし、首都のワシントンD.Cを担当する「コロンビア州兵」「コロンビア空軍州兵」は例外で、常時連邦政府の指揮下にある。
そのため、動員が必要になった際にはワシントンD.Cの市長が大統領に動員を要請する。
*2 そのためか「自営業を営みながら州兵に志願する」ということもできたという。
*3 1950年代の装備のままで半年間も派遣されていたテネシー州兵のようなケースもある。