Last-modified: 2022-03-31 (木) 16:29:12 (430d)
【斜め飛行甲板】 †
航空母艦の飛行甲板を、前後に対して斜め向きに設置する事。
飛行甲板の艦尾中央から左舷中部にかけ、ヨー角約10度前後で設けられる。
これとは別に前後水平の飛行甲板も設置され、交差点を形成する。
艦載機は艦に対して水平の角度で発艦し、斜めの角度に着艦する。
発艦と着艦の経路を分ける事で、艦載機の渋滞を緩和し、衝突事故を回避する事ができる。
航空母艦の甲板上で艦載機が駐機した状態で、さらに別の艦載機が着艦しようとする場合がある。
斜め飛行甲板があれば、衝突の恐れのない安全な位置に艦載機を駐機させたまま着艦を行う事ができる。
そうでない場合、甲板が空になるまで空中で待機するか、衝突の危険性を承知で着艦を強行するしかない。
ジェット戦闘機が初めて本格運用された朝鮮戦争の戦訓から必要とされ、1950年代以降の正規空母の基本常識となった。
一方、この設計思想は甲板の面積拡張・重量増加を招き、正規空母の巨大化・価格高騰を招く一因となっている。
また、STOVL機やヘリコプターは着艦時にホバリングが可能なため、斜め飛行甲板を必要としない。
このため、V/STOL空母やヘリコプター空母では斜め飛行甲板を設置しないのが通例。