Last-modified: 2022-12-06 (火) 00:25:18 (63d)

【疾風】(はやて)

中島キ84・四式戦闘機「疾風」。

1940年代、中島飛行機製作所(現在のSUBARU)が開発・生産し、日本陸軍が運用した戦闘機
連合国軍におけるコードネームは"Frank(フランク)"。

本機は九七式戦闘機一式戦闘機「隼」二式戦闘機「鐘馗」と続いてきた、中島製陸軍戦闘機の集大成ともいえる機体で、速度性能・武装・防弾装備・運動性航続距離及び生産性に優れた機体として1943年に完成、1944年に制式採用された。

基本的な機体の設計はこれまでの中島のものを踏襲しながらも、対荷重制限を低くして機体の軽量化を図るために操縦系統を意図的に重く設定した。
このため、従来のような旋回を主体とする格闘戦が行いにくくなり、など旋回性能に優れる軽戦闘機に慣れ親しんだパイロットからは不評の声もあった。
また、搭載するハ45エンジンが不調をきたし、十分な性能が発揮されないことも多かった。

しかし、不調のない場合における単純な性能は連合国の高性能戦闘機にも十分対抗可能なものであり、かつ生産性にも優れる本機は陸軍によって「大東亜決戦機」と指定、重点的に生産された。

実際、機体特性の似た鐘馗を搭乗機としていたパイロットからは非常に高評価であった。
また、戦争後半のフィリピンや大陸での戦闘では、まとまった数の機体を一気に投入したことで一時的ながら連合国の航空戦力に対して大きな打撃を与え、戦局に寄与しえた。

生産期間は終戦までの約1年間と短かったが、最終的な総生産数は約3,500機で、日本の航空機としては優れた生産ペースであった。
現在は一型甲の1機が鹿児島県・知覧の「知覧特攻平和会館」に収蔵・展示されている。

スペックデータ

制式名称四式戦闘機一型甲
形式記号キ84-宜
全長9.798m
全高3.66m
全幅11.3m
翼面積21
空虚重量2,805kg
全備重量3,905kg
最大離陸重量4,405kg
発動機中島 ハ45-21 空冷星型複列18気筒×1基
出力離昇2,000馬力/1,471kW(運転制限時は1,800馬力)
プロペララチエ電気式定速4翅
最高速度631km/h(高度6,210m)
上昇性能5,000mまで5分54秒(14.12m/s)
実用上昇限度11,000m
翼面荷重186kg/
馬力荷重377W/kg
航続距離1,400km/2,500km(落下タンクあり)
翼内武装二式20mm機関砲(ホ5)×2門
(携行弾数各150発)
胴体武装一式12.7mm機関砲(ホ103)×2門
(携行弾数各350発)
爆装30kg〜250kg爆弾 もしくは 散布爆弾(クラスター爆弾)×2発


バリエーション

  • キ84:
    原型及び増加試作機、生産前機の呼称。

  • 四式戦一型(キ84-機法

    • 四式戦一型甲(キ84-宜叩法
      対戦闘機戦重視の初期生産型。生産されたほとんどの機体はこの型。
      武装は翼内に一式(ホ103)12.7mm機関砲×2門、機首内に二式(ホ5)20mm機関砲×2門。

    • 四式戦一型乙(キ84-飢機法
      対爆撃機戦重視の武装強化型。
      機首機関砲を二式(ホ5)20mm機関砲×2門に変更し、計4門とした。

    • 四式戦一型丙(キ84-喫此法
      武装強化型。
      主翼機関砲をホ155- 30mm機関砲×2門に変更した。試作のみ。

    • 四式戦一型丁(キ84-誼):
      夜間戦闘機型。
      乙型の操縦席後方に二式(ホ5)20mm機関砲×1門を斜め銃として追加装備した。試作のみ。

  • 四式戦二型(キ84-供法
    一部構造材に木材を使った機体。武装は乙、丙型に準ずる。
    計画のみ。

  • 四式戦三型(キ84-掘法
    過給器排気タービン式に変更したハ45ル発動機を装備した高高度型。計画のみ。

  • 四式戦四型(キ84-検法
    エンジンを高高度性能に優れたハ45-44に換装した高高度戦闘機型。計画のみ。

  • キ84サ号(サ号機とも):
    ハ45の噴射装置を水エタノールから酸素噴射に変更し、高高度での性能向上を図った機体。
    上昇力が向上し、高度9,000mでの速度性能が50km/hの向上を見せたいわれる。
    テスト中に終戦。

  • キ84R:
    翼面積増大、厳親瑛佑離45-44発動機装備の高々度性能向上型。設計中に終戦。

  • キ84P:
    ハ44-13(離昇2500hp)発動機搭載の高々度戦闘機型。試作のみ。

  • キ106:
    アルミ合金の不足から、機体の大半を木製化したもの。
    重心の変化により機首が延長され、フラップは蝶型ではないスプリット式に変更された。
    17%もの重量増加のため上昇力・速力が低下した。
    また組み立てに使う接着剤に問題があり、試験中に主翼下面外板が剥離・脱落するトラブルも発生した。

  • キ113:
    アルミ合金の不足から、機体の大半を鋼製化したもの。
    中島飛行機で試作一号機体が完成したが、エンジン未着装の状態で終戦を迎えた。

  • キ116:
    満州飛行機での転換生産型。
    発動機は三菱 ハ112-?(離昇1,500馬力)を搭載し、プロペラも3翅とし、重心調整のため全長が20cm延長された。
    キ84に比べて速度性能はやや低下したものの、重量軽減がなされたしたことで、飛行特性は向上したといわれる。
    試験飛行の結果は良好であったが、各種飛行特性や厳密な性能測定の直前の1945年8月9日、ソ連軍の満州侵攻に遭遇し、関係者の手により機体・設計図とも自らの手で処分された。

  • キ117(キ84-Nとも):
    中島 ハ44-14(離昇2,530馬力)発動機搭載の性能向上型。
    主翼を1.5峭げて、高高度性能の向上を図った。
    設計中に終戦。


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