Last-modified: 2023-02-19 (日) 12:24:50 (227d)
【三八式歩兵銃】 †
旧日本陸軍の主力小銃のひとつ。愛称は「さんぱち」。
それまで、小銃を輸入とコピー品に頼っていた日本陸軍が自力で開発した近代的ボルトアクションライフルで、明治38年(1905年)に制式採用された。
従来のコピーや輸入品と違い、当時の日本人の矮躯に合わせた低反動の6.5mm口径弾薬を使用。
また、銃剣格闘を重視して槍のように長い銃身を採用し、これによって副次的に狙撃銃並の命中精度を実現した反面、取り回しには難があったという。
後年、弾薬の威力不足が指摘され、7.7mmの弾薬を使用する「九九式小銃?」が登場したが、生産がはかどらず、結局敗戦まで主力銃として使用された。
共通規格(を可能とする精密機械加工)の普及から遡って20年以上前の設計であるため、各個体に全く互換性がなく、部品交換がほぼ不可能。
これは採用当時の時代背景においては当然の事だったが、その後40年に渡って更新されなかった事で戦術・兵站上の性能が相対的に低下。
太平洋戦争に至っては、アメリカのM1 ガーランド自動小銃に対して30年以上遅れた不便な骨董品と化していた。
戦後、旧軍の武装解除に際して接収された中古品が広くアメリカ国内に出回り、射撃大会や狩猟でも使用された。
性能諸元 †
口径 | 6.5mm |
全長 | 1,276mm/1,663mm(三十年式銃剣着剣時) |
銃身長 | 797mm |
重量 | 3,730g/4,100g(三十年式銃剣着剣時) |
装弾数 | 5発 |
使用弾薬 | 三八式実包 |
ライフリング | 6条右回り(初期型)/4条右回り(中・後期型) |
作動方式 | ボルトアクション |
銃口初速 | 762m/s |
有効射程 | 460m/2,400m(照尺最大時) |
派生型 †
- 三八式騎銃(三八式騎兵銃):
全長を約300mm短縮した騎銃型。
- 四四式騎銃(四四式騎兵銃):
騎銃として特化した型。折畳式の銃剣を備える。
- 三八式短小銃:
取り回しが便利な軽便銃として銃身を切り詰めた型。
- 九七式狙撃銃:
狙撃眼鏡(九七式狙撃眼鏡)を付すなど改造を行った狙撃銃仕様。
- 三八式改狙撃銃:
三八式歩兵銃に九七式に準じた改造を施した型。
- 三八式改造自動小銃:
自動小銃型。計画のみ。
- 試製一式小銃:
銃床を折畳式にした挺進部隊用小銃。試作のみ。
- 狭窄射撃用小銃:
操作法などの教練用練習銃とした型。
実戦用の実銃と区別するため、小銃下帯の下部に接して、エナメルで全周にわたり幅約2cmの赤色横線を施している。