Last-modified: 2022-01-22 (土) 08:07:43 (607d)
【桜花】 †
空技廠 MXY-7.
旧日本海軍が開発した、ロケット推進による特攻機(特殊滑空機)。
実態は、「終端誘導に生身の人間を用いる空対艦/地対艦ミサイル」であった。
アメリカ側でのコードネームは「BAKA(馬鹿)(Baka Bombとも)」。
1944年8月に特別攻撃を前提とした機体として開発された。
機体は、ロケットエンジン3基を束ねてスタブ翼・コックピット・徹甲爆弾を取り付けただけの簡素な構造であった。
飛行中の旋回は微調整程度しかできず、推進力となるロケットエンジンも点火後、9秒間で燃え尽きる。
脱出装置は落下傘すら搭載されておらず、発進後にパイロットが生還する事は不可能だった。
あげく、航続(射程)距離が当時の戦艦の主砲にも劣り、迎撃を回避するのは困難だった。
自力で離陸できないため、一式陸上攻撃機や銀河に使い捨ての爆弾として搭載された。
終戦までに155機が生産され、76機が実戦に参加したとされる。
ただし、大半はレーダー警戒網と護衛戦闘機に鴨撃ちにされ、射出される事すらなく母機ごと撃墜された。
戦果はアレン・M・サムナー級?駆逐艦1隻(DD-733「マナート・L・エベール」)の撃沈、および3隻大破(うち2隻除籍)、3隻損傷の7隻にとどまった。
関連:バカ爆弾
スペックデータ †
型式番号 | MXY-7 |
乗員 | 1名 |
全長 | 6.066m |
全高 | 1.16m |
全幅 | 5.12m |
自重 | 440kg |
全重量 | 2,270kg |
推進方式 | 固体ロケットエンジン |
エンジン | 桜花11型:4号1式噴進機(火薬ロケット)(推力800kg、稼動時間9秒)×3基 桜花22型:ツ11?モータージェット?(推力200kg) 桜花43乙型:ネ20?ターボジェット(475kg) |
速度 (水平時/急降下突撃時) | 648km/h / 1,040km/h |
航続距離 | 37km(投下高度によって変化、約60km(高度7,000mで投下時)) |
武装 | 1,200kg徹甲爆弾 |
バリエーション †
- 一一型
- 一式陸攻ニ四型丁に搭載されて実戦投入された標準モデル。
- 二一型
- ニ二型のエンジンを一一型と同じ4号1式噴進機(20型火薬ロケット)に換装したもの。
「ツ11」が実用化できなかった場合に備えて計画されていた。 - 二二型
- 搭載母機を銀河に変更したモデル。
銀河への搭載を考慮し、若干の主翼形状の改良と、重量軽減のため爆弾を600kgに減量した。
噴進器は発進後の飛行距離の増大を目指して、「ツ11」モータージェット?(カンピーニロケット?の一種)に変更された。
また、主翼内に敵艦のレーダーを逆探知して位置を計測する2式空7号無線電話機2型も装備された。
50機が生産されたが実戦に投入されることは無かった。 - 三三型
- 母機を陸上攻撃機「連山?」に変更し、エンジンを強化したモデル。
連山の量産(実戦化)がされなかったため、こちらも量産されなかった。 - 四三甲型
- 三三型を潜水艦のカタパルトから射出可能にしたタイプ。計画のみ。
伊四〇〇型?潜水艦に搭載し、晴嵐?と敵空母基地を奇襲攻撃しようという計画もあったと言われている。 - 四三乙型
- 「ネ20」ジェットエンジンを搭載した型。
陸上からカタパルト発進を行う予定で開発された。
トンネル式格納庫に収めるために折り畳み式主翼を採用し、航続距離を稼ぐために爆弾重量を600kgに減量。
モックアップの試作のみで量産準備中に終戦。