Last-modified: 2016-07-23 (土) 18:33:47 (425d)

【交戦規定】(こうせんきてい)

Rules of Engagement(ROE).

軍隊や警察組織における武器の使用および傷害致死・殺人に関する規定。
基本的には組織の指揮系統に関する内部的な規定であり、法律として明示されるものではない。
通常、軍隊がある状況に対してどのような交戦規定を定めているかは重要な軍事機密とされる。

文民統制の根幹であると同時に、一定の戦略を達成するための作戦方針を反映する。
攻撃は行えば行うだけ物資を損耗するので、誰かが攻撃中止を命令する必要性は常に存在する。
また、作戦上の都合により、個々の兵士から見て非常に理不尽な命令・裁定が行われる場合もある。

例えば、4名の兵からなるチームが本隊から離れた場所で警戒監視についていて、そのうちの1名が夜間に至近距離で敵を発見したとする。
その兵は声を出して敵に見つかるのを避けるため、寝ていた同僚3名をそのまま放置して本隊に戻って敵襲を報告。
警戒監視チームは味方に警告を発する任務を完遂したが、置き去りにされた3名の兵は戦闘終結後に死亡が確認された、としよう。

この場合、軍法会議は同僚3名を見捨てて逃げ延びた兵を敵前逃亡とみなすべきではない。
事情を知った兵士達が何を思うにせよ、その男が任務を完遂するためには3名を見殺しにする事が必要だったと考えられる。

現代では一般に、交戦規定が内示される際、その規定が定めた理由や背景も関係者に通知される。
正しい背景情報と判断基準を伴わない命令は理不尽であり、理不尽な命令は黙殺される危険性があるからだ。
理路整然とした規定でも黙殺される事は多々あるが、それは理路整然とした有益な根拠に基づく黙殺だと期待できる。
また重要な点として、命令の背景情報を処理する参謀は、命令が黙殺される可能性について考察する機会を得る。

例えば、現代の軍隊では原則として正当防衛や反撃を全面的に禁ずるような交戦規定は設けない。
そもそもそのような規定が作戦としてナンセンスなのもあるが、間違いなく黙殺される事になるからだ。
眼前で僚友を殺された極限状況の兵士達に「命令だから戦うな」と命じたとして、兵士達が命令に従うはずもない。

一般的な交戦規定

ある特定の状況における交戦規定は非常に細々とした事務的なものだが、大別すると三段階に分けられる。

Weapons Hold
伝令や偵察など、緊急性・隠密性が求められる場合の規定。
自身および麾下の部隊が攻撃を受けている事が明白である場合にのみ、これを排除するための防御戦闘が許可される。
当面の脅威を排除した事が確認された時点で、必ず交戦を停止しなければならない。
また、味方が攻撃を受けていても、自身が巻き込まれていない場合に増援として戦闘に参加してはならない。
Weapons Tight
駐留部隊など、民間人との接触が想定される場合の規定。
部隊指揮官のみが戦闘の開始・終了を判断する権限を持つ。
部隊の隊員はいつでも状況を報告して発砲許可を申請できるが、許可が下りるまで攻撃してはならない。

ただし一般に、この種の交戦規定では事前に「特定状況に限定した攻撃許可」を与えるのが慣例となっている。
たとえば「撃たれるまでは撃つな」「法定の警告が終わるまでは撃つな」など。
Weapons Free
事前に詳細な作戦を立案して攻撃を行う場合の規定。
事前に通達された判断基準に則り、各自が自分一人の判断で攻撃を行う事ができる。

ただし、交戦報告は義務づけられる。
また、事実誤認による誤射・誤爆については軍法会議の対象になる可能性がある。

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