Last-modified: 2023-05-20 (土) 13:08:46 (304d)
【原子爆弾】 †
Atomic Bomb.
放射性物質の核分裂反応を引き起こして爆発を生じさせる爆弾。
破壊力はTNT爆薬1000トン相当を超え、通常爆薬では再現不能な規模のエネルギーを発生させる。
また、爆発と同時に多大な放射線を発生させ、これに被曝する事による被害も広域に発生する。
加えて、俗に「死の灰」と呼ばれる放射性廃棄物を撒き散らす作用も確認されている。
第二次世界大戦中にアメリカが世界に先駆け実用化し、1945年8月6日に広島、同年8月9日に長崎に投下。
それぞれ数十万人もの死傷者を出し、当該国の日本では「悪魔の兵器」として強烈に忌避されている*1。
特殊な技術で精製(高濃度化)されたウラニウム235、またはプルトニウム239を主原料とする。
これらの物質を核分裂の臨界状態に移行させ、それによって放出されるエネルギーが爆発的に放出される。
この臨界反応の起こし方により、原子爆弾は二種類に分類される。
- 「砲身型」(ガンバレル型)
- 筒の両端に原料を置き、片方を銃のように"発射"してもう片方に激突させて臨界させるもの。
広島に投下されたウラン原爆「リトルボーイ」はこのタイプであった。
仕組みが単純で製造が容易だが、核分裂の効率が非常に悪い*2。
また、保管・運搬・紛失に際して起爆する危険性が高いため廃れていった。 - 「爆縮型」(インプロージョン型)
- 核物質の周囲を爆薬で包み、これを一斉に起爆して爆縮(爆発的に圧縮)するもの。
高温高圧の環境に置かれた核物質が臨界に達して起爆する。
長崎に投下されたプルトニウム原爆「ファットマン」がこのタイプであった。
爆圧を核物質全体に均等に伝えるために難解な設計技術を要するが、成功すれば効率は高い。
*1 核廃絶運動家にとっては残念な事に、明らかに日本だけが例外である。
*2 広島に投下された「リトルボーイ」では、搭載されたウラン50kgのうち1kg程度しか臨界しなかったと推定されている(それでも数十万人規模の死傷者を出す被害を及ぼしている)。