Last-modified: 2023-06-10 (土) 08:11:56 (105d)

【月光】(げっこう)

中島 J1N.

日本海軍双発夜間戦闘機米軍でのコードネームは"Irving(アーヴィング)"。
中島飛行機が開発を担当した。
陸攻援護用の遠距離戦闘機として、昭和13年11月に「十三試双発陸上戦闘機」の名称で開発が開始され、昭和16年3月に試作機が完成。同年5月に初飛行した。

要求には双発三座の形態や270kt(約519km/h)の最高速度、零式艦上戦闘機と同等の運動性や九六式陸上攻撃機と同程度の航続距離、航法装置等が組み込まれており、完成した機体は戦闘機としては大型の機体となった。
試験飛行では、速度や航続力はほぼ要求を達成しながらも、運動性能が零戦と比べて不十分なこと、遠隔操作式7.7mm動力旋回機銃の信頼性が低いこと、既に零戦が長距離援護戦闘機として活躍していたことにより戦闘機としては不採用となった。

しかし、海軍は九八式陸上偵察機(陸軍が使用していた九七式司令部偵察機の海軍型)以外に十分な性能をもつ陸上偵察機を保有していなかった*1。そのため、この機体を威力偵察が可能な偵察機に転用することを計画、改造された試作機の実用試験の結果、昭和17年7月に「二式陸上偵察機」として制式採用される事となった。

制式配備後はラバウル方面などに送られ、九八式陸上偵察機では不可能であった長距離偵察を行うなどの成果を収めたが、最高速度が不十分で戦闘機の迎撃を振り切れず、損耗が多かった。
のちに、同様の任務はより高速な二式艦上偵察機や陸軍から借用する一〇〇式司令部偵察機が担当した。

その後の昭和18年5月、ラバウルで試験的に胴体上部に斜め向きに射撃する銃「斜銃」を搭載した機体が敵爆撃機迎撃に戦果を挙げたことから、複座化された丙戦夜間戦闘機)型の機体が「夜間戦闘機『月光』」として制式採用された。

本機の登場により、一時的にB-17B-24によるラバウルへの夜間爆撃の有効な迎撃が可能となった。
連合国の夜間爆撃実施が低調となった後は、中部太平洋やフィリピンを巡る戦いの夜間任務に用いられた。

昭和19年10月には、主要な航空戦力の増産を主因として月光の生産は終了した。
また、同年末頃からの本土防空戦においては、B-29の迎撃に参加した。
しかし、高高度性能の不足による迎撃高度での飛行性能低下、飛来するB-29に比して迎撃機数が少ないこと、護衛戦闘機のP-51が出現してからは飛行自体が困難となったことで、十分な戦果を挙げることはできなかった。
それでも、日本海軍の戦闘機として有効な夜間戦闘が実施できるのは本機を除いて少数であり、終戦まで迎撃戦闘に運用された。

最終的な生産数は二式陸上偵察機を含めて477機で、終戦時の残存機数は40機であった。

スペックデータ

タイプ二式陸上偵察機一一型月光一一型
機体略号J1N1-RJ1N1-S
乗員数3名2名
全長12.177m12.13m
全高4.56m
全幅16.980m17m
翼面積40
自重4,582kg4,562kg
過荷重重量7,250kg7,527kg
プロペラハミルトン定速3翅
発動機中島「栄」二一型?空冷複列星形14気筒×2機
(公称1,100馬力)
最高速度507.4km/h(高度5,000m)504km/h(高度5,840m)
上昇限度-9,320m
航続距離3,745km(過荷)2,547(正規)
3,778km(過荷)
武装九九式20mm固定機銃×1挺(機首)
九七式7.7mm固定機銃×1挺(機首)
九七式7.7mm旋回機銃×1挺*2(後下方)
九九式20mm斜銃×4挺
(上方・下方固定各2挺*3
携行弾数60発(機首20mm)
600発(機首7.7mm)
各100発
爆装250kg爆弾×2発


派生型

  • 十三試双発陸上戦闘機(J1N1):
    機首20mm機銃×1挺+7.7mm機銃×2挺、後上方遠隔操作式7.7mm動力旋回連装機銃2基、後下方手動式7.7mm旋回機銃1挺を備えた援護戦闘機型。試作のみ。
    試作機の一部は偵察用カメラを装備して陸上偵察機に、また別の機は斜銃を装備して夜間戦闘機に改造。陸戦型試作機の発動機は栄二一型、二二型を搭載している。

  • 二式陸上偵察機一一型(J1N1-R):
    後上方遠隔操作式動力旋回7.7mm機銃を廃止し、操縦員席と燃料タンクに防弾装備を追加した陸上偵察機型。
    発動機は栄二一型を搭載。

  • 月光一一型(J1N1-S):
    夜間戦闘機型。
    陸偵型からの改造機の他に、陸偵型と並行生産された段有り胴体の前期型と陸偵型生産終了後に生産された段なし胴体の後期型がある。
    初期は20mm斜銃を上向き下向き各2挺ずつ装備していたが、後期は上向き2挺のみ。
    レーダー推力式単排気管を追加装備した機も存在する。

  • 月光一一甲型(J1N1-Sa):
    下向きの20mm斜銃を廃止し、上向きの20mm斜銃を3挺に強化した型。
    一一型からの改造機や一一型同様、レーダーや推力式単排気管を追加装備した機も存在する。


*1 この任務は戦艦巡洋艦などに搭載の水上偵察機飛行艇陸上攻撃機艦上攻撃機で代替されていた。
*2 試作機は遠隔操作式7.7mm動力旋回連装機銃2基も装備。
*3 生産後期は上方2挺または3挺のみ装備。上方3挺+下方2挺装備型も存在する。

トップ 編集 凍結 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード 新規 一覧 単語検索 最終更新ヘルプ   最終更新のRSS