Last-modified: 2017-04-02 (日) 11:50:49 (87d)

【銀河(爆撃機)】(ぎんが(ばくげきき))

空技廠/中島 P1Y「銀河」.

大東亜戦争中、空技廠(海軍航空技術廠)が開発し、日本海軍に配備された陸上爆撃機急降下爆撃機雷撃機)。
連合軍におけるコードネームは「Frances」*1

当初、本機は支那事変における九六式陸上攻撃機戦訓を取り入れる形で、艦上爆撃機彗星」の設計思想を取り入れた急降下爆撃機「十五試双発陸上爆撃機」として開発された。
要求されたスペックは以下の通りであった。

機体は小型・軽量化のため、一式陸上攻撃機では7名程度の乗員を必要としていたところを3名(操縦員・偵察員・電信員)に削減することで前面投影面積を最小化し、空気抵抗の削減を図った。
また、風防を低く抑えたため、彗星と同様の背負い式落下傘を採用した。

爆弾倉には九一式航空魚雷または800kg爆弾を1発、あるいは500kg/250塲弾を2発搭載することができた。
爆弾や魚雷の代わりに増槽を載せることも可能だったが、一式陸上攻撃機のように30kg〜60kgの小型爆弾を多数搭載することはできなかった。

エンジンには、当時試作段階だった小型・高出力の「」を、日本軍機では比較的早期に採用した。
しかし、当初はその誉の完成度も低く、空技廠での試験飛行では20回を超える故障を発生させていた。

本機は1942年(昭和17年)に試作機が完成。1944年(昭和19年)に「銀河一一型」として制式化され*2一式陸上攻撃機の後継となる爆撃機として中島飛行機で量産が行われた。
高性能を追求した機体・エンジンの構造の複雑さから量産は進まなかったが、それでも終戦までに各型合わせて1,100機近くが生産されている*3
バリエーションには夜間戦闘機*4の他、偵察機型やジェットエンジン換装型なども構想されていた。

現在はアメリカ軍鹵獲された一一型の1機のみがスミソニアン博物館で分解保存されている。

スペックデータ(銀河一一型)

乗員3名
全長15m
全高4.3m
全幅20m
主翼面積55
自重7,265kg
最大重量10,500kg
発動機中島「誉」一二型空冷星形複列18気筒×2基
公称出力1,670馬力
プロペラハミルトン定速3翅
最高速度546km/h(高度5,900m)
上昇限度9,400m
航続距離2,000〜5,370km
武装13mm機銃×2挺、20mm機関砲×1門
250kg/500kg爆弾×2発または800kg爆弾×1発、九一式航空魚雷×1発


バリエーション

  • 十五試陸上爆撃機(P1Y1):
    試作型。「誉」一一型(離昇1,825馬力)発動機を搭載。

  • 銀河一一型(P1Y1):
    最初の生産型。
    「誉」一一型または一二型発動機を搭載。

    • 一一甲型(P1Y1a)
      一一型の後上方機銃を二式13mm旋回機銃に換装した機体。

    • 仮称一一乙型(P1Y1b):
      一一型の後上方機銃を仮称四式13mm連装機銃に換装した機体。

    • 仮称一一丙型(P1Y1c):
      一一型の前方機銃を二式13mm旋回機銃に換装、三式空六号無線電信機(H-6電探)を装備。

  • 仮称二一型(P1Y1-S):
    夜間戦闘機型。別名「白光」。
    銀河一一型に20mm斜銃(九九式20mm二号機銃四型?)×4挺を装備した。

  • 仮称一二型(P1Y4):
    燃料噴射装置付きの「誉」二三型(離昇2,000hp)発動機搭載型。

  • 仮称三三型(P1Y3):
    「誉」二一型(公称1,860hp)発動機搭載型。

  • 仮称一四型(P1Y5):
    「ハ43」一一型(離昇2,200hp)発動機搭載型。

  • 仮称一五型(P1Y2):
    「火星」二五甲型(離昇1,850hp)発動機搭載型。

  • 仮称一六型(P1Y2):
    試製極光を爆撃機として再改修した型。

    • 仮称一六甲型(P1Y2a):
      一一甲型に「火星」二五甲型発動機を搭載した機体。

    • 仮称一六乙型(P1Y2b):
      仮称一一乙型に「火星」二五甲型発動機を搭載した機体。

    • 仮称一六丙型(P1Y2c):
      仮称一一丙型に「火星」二五甲型発動機を搭載した機体。

  • 仮称一七型(P1Y6):
    「火星」二五乙型(離昇1,850hp)発動機搭載型。

派生型

  • 試製極光(P1Y2-S):
    銀河をベースに発動機を火星二五型に換装、20mm斜銃×2挺を装備した夜間戦闘機。
    一部が実戦配備されたが夜間戦闘機としては上昇力や速度が不足していたため、大半が一六型に再改修された。

  • 十七試陸上偵察機/試製暁雲(R1Y):
    空技廠で計画されていた陸上偵察機。
    機体や製造過程などで銀河との共通化が行われていた。計画のみ。

  • 天河:
    銀河の後継として計画されたジェット戦闘爆撃機。計画のみ。
    銀河に軸流式ターボジェット「ネ30」を搭載した実験機によって試験を行ったのちに試作機が製作される予定だった。


*1 当初、連合国軍は本機を戦闘機と誤認して「Francis」と男性名をつけていたが、爆撃機であることが判明すると女性名である「Frances」に改められた。
*2 ただし、本機を装備した最初の実戦部隊「第521海軍航空隊」はその1年以上前に創設されている。
*3 終戦時の残存機数は182機。
*4 本来の戦闘機としての能力が不足していたため、ほとんどが爆撃機に戻された。

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