Last-modified: 2017-04-10 (月) 12:58:57 (43d)

【金剛】(こんごう)

明治末期〜大正初期(1910年代前半)に日本海軍が導入した超ド級巡洋戦艦
姉妹艦に「比叡」「榛名」「霧島」の3隻がある。
英国によって建造された最後の日本主力艦でもある。

この当時、海軍の主力戦闘艦艇である戦艦は「ドレッドノート」の登場以後、大型化・主砲の大口径化が加速度的に進んでいた。
工業技術で欧米諸国に遅れをとっていた日本は、この時期になってようやく主力艦(戦艦・巡洋艦)の国産化に成功したものの、加速度的に進化する世界の建艦技術には対応しきれない面が出ていた。
そこで、海軍先進国であった英国から大型艦船の建艦技術をもう一度学ぶべく、ビッカース社へ発注されたのが本艦である。

本艦の建造に当たっては、当時、オスマン帝国が発注していた超ド級戦艦「レシャド5世*1」が参考とされた*2が、以下のような改良が施されている。

主砲の口径アップ
「レシャド5世」の13.5インチ(=34.3cm)砲に変えて14インチ(=36cm)砲を搭載。
砲塔レイアウトの改良
「レシャド5世」では艦尾方向に向けられる主砲は2門しかなかったが、本艦ではレイアウトが改良され、艦首・艦尾方向のどちらにも4門の主砲が向けられるようになった*3

これらの技術を取り入れて1913年に就役した本艦を元に、日本国内の各造船所で姉妹艦の建造が始められ、1914〜1915年までの間に「比叡」「榛名」「霧島」の3隻が相次いで就役した。
本艦と姉妹艦3隻の就役により、日本海軍は世界最強の戦闘力を誇る巡洋戦艦を手にすることになった。

当時、第一次世界大戦で優勢なドイツ艦隊に苦しめられていた英国海軍が、日本に本艦の貸与を申し出るほどであったという。

大戦終結後の1930年に締結されたロンドン海軍軍縮条約では、姉妹艦「比叡」が廃棄される予定であったが*4、兵装・機関・装甲の一部を削減して「練習艦」となることで解体を免れている。*5
やがて軍縮条約が失効すると、(現役に戻された「比叡」も含めて)4隻とも機関出力の増強や主砲の改良、対空火器の増強などの改装を受け、「高速戦艦」として再デビューした。

大東亜戦争では、(艦齢30年にも達する、連合艦隊最古参の戦艦でありながらも)最大30ノットという高速力を生かし、3隻の姉妹艦と共に空母機動部隊の護衛*6をはじめ、さまざまな戦場で活躍したが、1942年〜1943年の第三次ソロモン海戦で「比叡」「霧島」が失われ*7、本艦も1944年11月、台湾海峡で米バラオ級潜水艦「シーライオン(USS Sealion,SS-315)」の魚雷攻撃により基隆北方で撃沈。
また、姉妹艦のうち最後まで生き残っていた「榛名」も1945年7月、呉軍港で米艦載機の空襲により大破着底、行動不能となって終戦を迎えた。

関連:こんごう(海上自衛隊)

性能諸元

備考: A=新造時、 B=一次改装時、 C=二次改装時、 D=練習戦艦時、 E=レイテ沖海戦時、 F=最終時

-金剛比叡榛名霧島
常備
排水量
27,500t(A)27,500t(A)27,384t(A)
31,785t(B)
35,600t(C)
27,500t(A)
30,660t(B)
基準
排水量
29,330t(B)
32,200t(C)
27,500t(D)
32,165t(C)
29,330t(B)
32,156t(C)
29,320t(B)
31,980t(C)
満載
排水量
-32,306t(A)39,141t(C)
公試
排水量
36,314t(C)37,000t(C)-36,668t(C)
全長214.6m(A)
222m(C)
全幅28.04m(A)
31.02m(C)
30.9m(B)
31.01m(C)
喫水8.38m(A)
8.65m(B)
9.6m(C)
8.38m(常備(A))
9.37m(C)
8.218m/9.419m
(常備/満載(A))
8.65m(B)
9.18m(C)
8.38m(常備(A))
8.41m(常備(B))
9.72m(常備(C))
主缶ヤーロー式混焼×
36基(A)
ロ号艦本式*8(B)
ロ号艦本式×8基(C)
イ号艦本式混焼
×36基(A)
ロ号艦本式*9(B)
ロ号艦本式×8基(C)
ヤーロー式混焼×
36基(A)
ロ号艦本式*10(B)
ロ号艦本式*11(C)
ヤーロー式混焼×
36基(A)
ロ号艦本式専焼*12(B)
ロ号艦本式×8基(C)
主機パーソンズ式直結
タービン×2基4軸(A)
艦本式タービン×4基4軸(C)
パーソンズ式直結
タービン×2基4軸(A)
艦本式タービン×4基4軸(C)
ブラウン・カーチス式
直結タービン×2基4軸(A)
艦本式タービン×4基4軸(C)
パーソンズ式直結
タービン×2基4軸(A)
艦本式タービン×4基4軸(C)
軸馬力64,000shp(A)
136,000shp(C)
64,000shp(A)
16,000shp(B)
136,000shp(C)
64,000shp(A)
75,600shp(B)
136,000shp(C)
64,000shp(A)
75,600shp(B)
136,000shp(C)
速力27.5kt(A)
26kt(B)
30.3kt(C)
27.5kt(A)
18kt(B)
29.7kt(C)
27.5kt(A)
25kt(B)
30kt(C)
27.5kt(A)
25kt(B)
29.8kt(C)
航続距離8,000海里/14kt(A)
9,500海里/14kt(B)
10,000海里/18kt(C)
8,000海里/14kt(A)
9,800海里/18kt(C)
8,000海里/14kt(A)
9,500海里/14kt(B)
10,000海里/18kt(C)
8,000海里/14kt(A)
9,500海里/14kt(B)
9,850海里/18kt(C)
乗員1,201名1,221名(A)
1,222名(C)
1,221名(A)
1,315名(C)
1,221名(A)
1,065名(B)
1,303名(C)
主砲毘式35.6cm連装砲
×4基
毘式35.6cm連装砲
×4基(A)
同3基(B)
同4基(C)
四一式35.6cm連装砲×4基
副砲毘式15.2cm単装砲
×16門(A)
同14門(C)
同8門(F)
四一式15.2cm単装砲
×16門(A)
同14門(C)
四一式15.2cm単装砲
×16門(A)
同16門*13(C)
同8門(F)
四一式15.2cm単装砲
×16門(A)
同14門(C)
高角砲短8cm砲×7門(B)
12.7cm連装砲×4基(C)
同6基(F)
八九式12.7cm連装×4基*14(D)
12.7cm連装×4基(C)
8cm単装砲×4門(B)
12.7cm連装砲×4基(C)
同6基(E)
8cm砲×4門(B)
12.7cm連装砲×4基(C)
機銃25mm連装機銃×10基(C)
25mm機銃*15(F)
40mm連装×2基、
九二式7.7mm機銃×3挺(D)
九六式25mm連装
×10基、
13mm4連装×2基(C)
25mm連装×10基*16(C)
25mm機銃*17(E)
7.7mm機銃×3挺(B)
25mm連装×10基(C)
魚雷53cm水中発射管×8本(A)
同4本(B)
53cm水中発射管×8本*18(A)53cm水中発射管×8本(A)
同4本(B)
53cm水中発射管×8本(A)
同4本(B)
その他
武装
短8cm砲×12門(A)8cm砲×4門短8cm砲×4門、
朱式6.5mm機銃×3挺(A)
短8cm砲×4門、
朱式6.5mm機銃×3挺(A)
電探21号×1基、
22号×2基、
13号×2基(F)
-21号×1基、
22号×2基、
13号×2基(E)
-
装甲水線:203mm
甲板:19mm*19
主砲天蓋:75mm
主砲前盾250mm
副砲廓152mm
搭載機水上機×3機(B)水上機×3機(C)水上機×1機(B)
水上機×3機(C)
水上機×1機(B)
水上偵察機×3機(C)
装備射出機×1基(C)

同型艦

艦名主造船所起工進水就役喪失除籍
金剛ヴィッカース社1911.1.171912.5.181913.8.161944.11.211945.1.20
比叡横須賀海軍工廠1911.11.41912.11.211914.8.41942.11.131942.12.20
榛名神戸川崎造船所
(現・川崎重工業)
1912.3.161913.12.141915.4.191945.7.28*201945.11.20
霧島三菱合資会社三菱造船所
(現・三菱重工長崎造船所)
1912.3.171913.12.11915.4.191942.11.15*211942.12.20



*1 後に英国が接収し、「エリン」に改称。
*2 よく「ライオン級巡洋戦艦をベースに改設計した」と言われているが、これは誤りである。
*3 この方式はライオン級4番艦「タイガー」にもフィードバックされた。
*4 当時、艦齢が20年近くに達していたことから選ばれたものとみられる。
*5 この時期、「比叡」は昭和天皇の座乗する「お召艦」として頻繁に使われている。
*6 他の日本戦艦は「大和」級で27ノット、「長門」級25ノット、「扶桑」「伊勢」級で24ノットと遅く、空母には追随できなかった。
*7 比叡は舵機室の損傷・浸水による操舵不能及びB-17及び「エンタープライズ」艦載機による攻撃で機関損傷、随伴駆逐艦により自沈処分。
  霧島は三式弾で戦艦「サウスダコタ」を大破・主砲射撃及び電子装備使用不能にさせるも、戦艦「ワシントン」等からのレーダー照準による集中砲火を受け撃沈。

*8 専焼4基+混焼6基。
*9 大型2基+小型3基+混焼6基。
*10 専焼4基+混焼10基。
*11 大型3基+中型6基+小型2基。
*12 大型6基+小型4基。
*13 のちに14門。
*14 後日装備。
*15 3連装18基+連装8基+単装30挺。
*16 後日装備。
*17 3連装24基+連装2基+単装23挺
*18 練習戦艦への改装時に撤去。
*19 水平防御に缶室64mm、機械室83〜89mm、弾薬庫102〜114mm、舵取室76mmなどを追加。「金剛」「榛名」「霧島」は一次改装後、「比叡」は二次改装後に装備。
*20 呉軍港空襲により大破・着底。
*21 第三次ソロモン海戦で戦没。

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