Last-modified: 2022-06-18 (土) 09:14:03 (13d)

【金の壁】(かねのかべ)

技術的には実現可能だが、実際に行うと開発費・生産費・維持費を捻出できずに破綻するプロジェクトを指す比喩表現。
元は超音速航空機の開発計画に関する揶揄で、音の壁熱の壁を突破した先に待つ「最後の壁」とされている。

この他「配備するのが遅すぎて成果が無意味になる『時間の壁』」「法制上の欠陥や政治的都合によってプロジェクトが暗礁に乗り上げる『バカの壁』」などもあるにはあるが、これらは常に問題になるわけではない。

技術史は常に金の壁との戦いであったが、ことさら20世紀後半以降は兵器開発・配備のコストが高騰の一途を辿っている。
科学技術上の問題ではないため、一般的な科学者・技術者の立場では検知できない。
このため、量産・実用段階に入った後、経済面で問題が起きてから初めて存在に気付く事も少なくない。
そしてほとんどの場合、発覚後に行える現実的な対策はプロジェクトの縮小・凍結のみである。

関連:音の壁 熱の壁 コンコルド コンコルド症候群 商用オフザシェルフ

金の壁が問題となったプロジェクトの一例

航空軍事にかかる開発分野で、金の壁が重要な問題となったプロジェクトの一例を挙げる。


*1 徹底したステルス性と当時の最新鋭技術をふんだんに盛り込んだ結果「同重量の金塊よりも高い」「ギネスブックにも載っている世界一高価な航空機」とも揶揄された。
*2 運営母体の予算不足によりJAXAへの管理委託費を支出できず、わずか1年未満で運用終了となった。
*3 防衛省自衛隊での型式呼称は「AH-64D」。
*4 武器輸出三原則等により調達費用が高騰したところに、ボーイングが原型機・D型の生産ラインを閉鎖したため、わすか13機で調達終了となった。
*5 プロジェクト自体は紆余曲折の末、米ボーイング社との共同開発機・B767及びB777として実現している。
*6 1960年代当時最新の技術が盛り込まれたが、ロッキード社自体の技術的未成熟と、継戦中だったインドシナ戦線には間に合わないとされたことから開発中止。
*7 最大速力40ノットを発揮するエンジンのコストが戦艦に搭載するものに匹敵するものとなってしまった。
*8 1990年代の最新鋭技術が盛り込まれたが、無人機で代替可能とされたため開発中止。
*9 機体の開発に商用オフザシェルフを取り入れたにもかかわらずコスト高騰が止まらず、結局不採用となった。
*10 大統領専用機としての1,900以上に及ぶ要求項目が盛り込まれた結果、ユニットコストが「エアフォースワン」(VC-25A)をも上回ってしまい、不採用となった。
*11 「機体重量の90%以上が再利用可能」とされていたが、実際の運用では予想以上の経費がかかり、従来の「使い捨て式」宇宙船のほうが効率的になってしまった。
*12 その理由については正規空母の項を参照のこと。
*13 駆逐艦でありながら、往時の前ド級戦艦にも匹敵する排水量を誇ったが、初期発注分の3隻で建造が打ち切られた。
*14 エアバスA340グラスコックピットなどを取り入れたが、機体の原設計が古いため調達中止となった。
*15 度重なる納入延期により「時間の壁」に直面したことと、2020年、新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的流行による航空需要の大幅な減退により商品化が困難とされ、計画が凍結された。
*16 日本以外に韓国・台湾・オーストラリアが導入を検討したが、1990年代末の「アジア通貨危機」により、日本以外のいずれの国でも導入が見送られた(元々、同目的で使用されるE-3(こちらはB707がベース)よりもコスト高であった)。
*17 E-3CE-8RC-135(いずれもB707及びKC-135をベースとしている)の後継として、B767-400ERをベースに開発されたが、アメリカ合衆国の国防予算縮小により開発が凍結された。
*18 米ソ冷戦の終結に伴う軍事予算の削減により開発中止。
*19 開発費・配備費用がかかりすぎ、冷戦後の非対称戦争には適さないとして計画中止。

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