Last-modified: 2022-10-26 (水) 16:29:59 (37d)

【間接砲撃】(かんせつほうげき)

目標を狙撃できない場合に、目標が存在する位置を予想して撃つ事。
位置の予想は原則として偵察の結果や支援要請によるもので、確度が十分でない限り撃たないのが原則。
しかしいずれにせよ、射手自身は状況を十分に把握しておらず、着弾点で何が起きるかを事前に理解する事もない。

直射に比べて有効射程を大幅に広げる事ができ、弾道の関係で障害システムや地形的な障害を容易に「突破」して攻撃できる。
目標の規模が巨大であればあるほど有効であり、弓矢や投石機の時代から会戦・攻城戦・籠城戦で多用されてきた。

反面、命中精度の低下は著しく、また位置予想における誤謬を避けがたいため、誤射によっても多大な被害を引き起こしてきた。
単独行動する車輌、散兵戦を行う歩兵など、短時間でキルゾーンから離脱できる機動力を備えた敵への攻撃には適さない。
近年では火器管制装置電子航法技術の発達によって弾道工学上の半数必中界は非常に狭まっているが、砲手の認識に起因する誤射は未だに大きな問題である。

また、敵の状況を把握できないという事は、敵に同情する理由がないという事でもある。
槍で突いた場合のように眼前で人が息絶える事はなく、狙撃した時のように人の脳漿が飛び散るのを目撃する事もない。
この事実は射手を戦争神経症から強く保護するが、反面で兵士の残虐性を助長し、必要以上の攻撃、必要以上の損壊・殺害を招く事もある。

複雑な弾道計算や大型兵器の運用など、狙撃とは別の方向性での高度な訓練が要求されるため、多くは「砲兵」など専門の兵科を設けて運用される。
また、誤射の危険が極めて大きいため歩兵が単独で実施する事は許可されない(指揮統制が麻痺するような乱戦状態において、生存者が乱用する可能性はある)。
曲射砲多連装ロケットシステム爆雷など、そもそも狙撃を想定していない間接砲撃専用の兵器も多い。

近代以降の戦争においては兵士の死因の第1位であり、間接砲撃のキルゾーンに敵兵を引きずり込むのは近代陸戦の基礎である。
これに対する対抗戦術としては騎兵機甲部隊爆撃機など機動力の高い兵科による先制攻撃が有効である。
特に現代では空爆で敵の砲兵を潰すのが戦争の常道であり、現代の戦争で航空優勢が重視される所以となっている。

関連:同時弾着射撃


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