Last-modified: 2017-05-02 (火) 19:16:01 (167d)

【核分裂炉】(かくぶんれつろ)

核分裂を安定的に行うための設備。
制御棒や減速材を用いて、核分裂を臨界ぎりぎりに収めながらエネルギーを発生させる。
原子力発電では燃料の90%以上が比較的安定したウラン238で占められるが、潜水艦等では90%以上の高濃縮ウランを用いるのが一般的。

主な利点と欠点

  • 利点
    • 質量当りのエネルギーが極めて膨大なため、運用に必要な燃料は非常に少量。
    • 上記の理由から、一度設置すれば運用コストは低い。
    • 酸素が不要なため潜水艦エンジンとして有利。
    • 排気による環境汚染がない。
  • 欠点
    • 炉は同程度の出力を持つ内燃機関ガスタービンよりも巨大である。
      • 熱量を放散するために巨大な冷却機構を要する。
      • 自然災害や爆撃、不慮の事故などの際に放射性物質の飛散を防ぐための巨大な遮蔽容器を要する。
    • 建造に必要な初期費用が高い。
    • 整備手順は煩雑で、しかも整備員は被曝による健康上のリスクを伴う。
    • 始動する際に外部からのエネルギーや中性子の導入などといった特殊な処置が必要になる。
    • 使用済み燃料は高レベル放射性廃棄物である。
    • 事故発生時に極めて悲惨な事態が想定され、政治的理由から反対運動を受けやすい*1
    • 炉心は常に冷却が必要で、運転停止後も冷却できなければ安全な停止状態を維持できない。*2

現在のシェア

世界的なシェアにおいてはアメリカがトップ、次いでフランス、日本と続く。
特にフランスは国内シェアと併せて原子力発電推進国としてよく話題に上る。

国内発電量の割合ではリトアニアやフランスが80%近くと突出して高く、他には旧東側諸国が比較的高い*3
中進国や無資源国家では、産業が発展していくとともに積極的に採用される傾向にある。
いわゆるならず者国家も強く保有を望む傾向にあるが、これはおそらく電力を賄うためではなく、大国に対抗しうる戦略兵器の開発・生産のためという側面が強いと見られる。
日本では発電の30%超を占め、主に昼夜問わず消費される基幹電力を賄っている。

どの国でも上記のような原子炉特有の問題や核兵器に関する偏見から問題視される事が多いが、発電コストや環境負荷の関係上、有力な代替システムはそうそう存在しないのが現状である。

核分裂炉の分類


*1 現代ではチェルノブイリ原発事故などの教訓から非常に厳重な事故対策が取られており、危険な臨界が始まると自動的に停止するように設計されているが、それでも原発事故を危惧する声は少なくない。
*2 たとえ制御棒を全て挿入して核分裂反応を抑えても、核燃料は常に熱を発しているため、冷却材を循環させ続けなければ炉は破壊される。
*3 ソビエト崩壊に際して核技術者が流出したのではないか、と見る向きもある。

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