Last-modified: 2017-04-18 (火) 20:50:26 (70d)

【運輸8】(うんゆはち)

西安 運輸8
中国人民解放軍などで運用されている軍用輸送機。Y-8とも呼ばれる。
ソ連・ウクライナのアントノフ設計局が開発したAn-12「カブ」?輸送機をデッドコピーしたものであり、国産のターボプロップエンジンを搭載している以外はほとんど同じである。
当初は、An-12をライセンス生産する計画であったが中ソ対立により技術支援が打ち切られてしまったため、中国の技術陣が輸入したAn-12を参考に開発を続行した経緯がある*1

1969年から西安飛機工業公司で開発が始まり、1974年12月に初飛行、1981年から陝西飛機工業公司で量産が開始された。
オリジナルのAn-12が生産中止となった後も、2001年までに75機以上が生産されたといわれている。

派生型として、早期警戒機型や洋上哨戒機型、ELINT機型などが製作された。
また、中国空軍以外にも、スリランカ、タンザニア、ミャンマー、イラン、ジンバブエなどに輸出されている。

スペックデータ

乗員2〜5名(形式によって異なる)
全長34.02m
全高11.6m
全幅38.0m
主翼面積121.9
空虚重量35,490kg
最大離陸重量61,000kg
エンジン哈爾浜 渦奨6(WJ-6)ターボプロップ(4,250馬力)×4基
速度
(最高/巡航)
660km/h / 550km/h
航続距離5,615km
固定武装23I型23mm連装機関砲×1基(軍用型*2


派生型

  • Y-8:
    An-12Bがベースの基本型(軍用輸送型)。

  • Y-8A:
    シコルスキーS-70C輸送用に改修された型。
    An-12BP同様の機体だが、西側の航空貨物規格に適合する改修が施されており、貨物室が若干拡大されている。
    • Y-8AF:
      対潜機材のテストベット機。尾部を延長しMADが装備された。
      後に、地下鉱物資源探査機に改修された。

  • Y-8B:
    民間輸送型。
    An-12B同様の非武装モデル。

  • Y-8C:
    軍民両用の貨物室与圧型。
    現行生産モデル。

    • Y-8CA:
      戦闘機レーダーのテストベッド機。
      J-10J-11の開発に用いられた。

    • Y-8CB MOUSE(Y-8ECM/ELINT):
      「高新1号」の名称で呼ばれる電子戦/情報収集(ELINT)機型。K/YJZ-8とも。
      アンテナが増設されたほか、機体前部下面及び垂直尾翼前面に大型のフェアリングを搭載しており、ECM装置や合成開口レーダーを搭載している。

  • Y-8D:
    Y-8Bの輸出型。
    西側製アビオニクスを搭載しており、搭載する電子機器によって-D/-DII/-DIIIのサブタイプに分けられる。

    • Y-8DZ:
      Y-8に電子偵察機材を搭載した型。
      垂直尾翼の前にある円筒上のアンテナが特徴である。

  • Y-8E:
    WZ-5(CH-1)*3ドローン?母機。
    前方の与圧客室内にコントロール機器が装備されており、両外翼下面にドローン各1機を吊り下げることができる。

  • Y-8F:
    B型の改良型で民間向け貨物輸送型。
    通常貨物のほか、与圧/温度調節装置を装備しており、家畜輸送にも使用可能。
    • Y-8F-100:
      中国郵便航空用の全天候輸送機型。
      エンジンが換装されたほか、EFIS*4や気象レーダー、GPS航法装置、空中衝突防止装置などの航法機器を搭載している。
    • Y-8F-200:
      民間輸送型の胴体延長モデル。胴体は2.2m延長されている。
    • Y-8F-300:
      西側アビオニクスを搭載した輸出型。
    • Y-8F-400:
      運用機器の自動化改良を行ない、乗員3名で運行可能な改修型。加圧式貨物室を備える。
    • Y-8F-600:
      アントノフの技術協力で開発された改良型。
      エンジンはP&WカナダPW-150B?を搭載し、グラスコックピット化により乗員2名で運行可能にした。

  • Y-8JB:
    別名「高新2号」と呼ばれるSIGINT機型。

  • Y-8G(Y-8EW/ECM):
    Y-8F-200をベースに改造された電子戦/情報収集機型。NATOコードはMOUSE。
    別名「高新3号」と呼ばれる。
    胴体側面に電子装備用と見られる大型のフェアリングを持つ。

    • Y-8G IFR:
      Y-8CBの改良型と見られる電子戦/情報収集機型。K/JYG8とも。
      より大型のフェアリングと機首を持つ。

    • Y-8G(II)(Y-8ACP):
      Y-8F-400をベースに開発された指揮管制/通信支援型。
      弾道ミサイル原潜への指令通信任務用に開発されたと見られる。

  • Y-8H:
    空中測量/写真偵察型。

  • Y-8J MASK(Y-8ASA):
    Skymasterレーダーを搭載する早期警戒型。
    機首にレーダーを搭載しており、特徴的なレドームの形状から「大鼻子」の渾名がある。

  • Y-8X(Y-8MPA):
    Y-8Cベースの洋上哨戒機型。
    西側製の電子機器を搭載しており、機首にはリットンカナダ(現ノースロップ・グラマン社の一部門)製のAN/APS-504(V)3水上捜索レーダーが搭載されている。

  • Y-8Q:
    Y-8F-600ベースの対潜哨戒機型。

  • Y-8AEW:
    Y-8F-400ベースの早期警戒機型。
    原型機との変更箇所としては、ロートドームを装備した関係で、空力上の安定性を確保するため水平尾翼に翼端板が取り付けられている。

    • ZDK-03「カラコルム・イーグル」:
      パキスタン空軍向けの早期警戒機型。Y-8F-600ベース。
      Y-8AEWやKJ-200といったAEW&C機の開発により得られた技術を元にして開発された。

  • KJ-200(空警200):
    別名「高新5号」と呼ばれる早期警戒機型。
    試作1号機はY-8F-200、試作2号機と3号機はY-8F-600ベース。
    胴体上部にスウェーデンのエリクソン社製PS-890エリアイ(Erieye)早期警戒レーダーに似た細長い箱状のアンテナ・フェアリングが装備されている。
    本機の開発と平行して、IL-76?輸送機ベースのKJ-2000(空警2000)?が開発されているため、KJ-200はKJ-2000を補完してAEW任務や電子偵察任務に当たるハイ・ローミックス的な運用が行われると想定されている。

  • Y-8ASW:
    別名「高新6号」と呼ばれる対潜哨戒機型。
    開発中のため詳細不明。

  • Y-8XZ(Y-8EW/ECM):
    別名「高新7号」と呼ばれる機体。
    電子情報収集か電子妨害型と見られているが、正確な任務については不明。

  • Y-8ELINT/KZ-800:
    マレーシアで開催された兵器博覧会で展示されたY-8ベースの電子情報収集型。

  • Y-8救護型:
    Y-8Cに各種医療設備を搭載した機体。
    最大54名の負傷者の搬送が可能(座席に15名+担架に39名)。


*1 本機と同じ時期、MiG-21のライセンス生産計画も暗礁に乗り上げたが、そこから開発を続けて殲撃7が完成している。
*2 装備していない機体もある。
*3 BQM-34「ファイアービー」無人標的機のコピーモデル。
*4 Electric Flight Instrument System:電子式飛行計器システム

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