Last-modified: 2015-09-07 (月) 18:42:25 (776d)

【レイテ沖海戦】(れいておきかいせん)

戦闘概要
戦争太平洋戦争大東亜戦争
年月日1944年10月23日〜25日
場所フィリピン周辺海域
交戦勢力大日本帝国
アメリカ、オーストラリア
結果アメリカ軍の圧倒的勝利、日本海軍連合艦隊の組織戦闘能力喪失
司令官日本海軍帝国海軍第一遊撃部隊指揮官 栗田健男中将
帝国海軍第一遊撃部隊第三隊指揮官 西村祥治中将
帝国海軍機動部隊司令 小沢治三郎中将
連合国軍米国海軍第3艦隊第38機動部隊司令 マーク・A・ミッチャー中将
米国海軍第7艦隊戦艦部隊指揮官 ジェシー・B・オルデンドルフ少将
米国海軍第77.4任務群司令 クリフトン・A・F・スプレーグ少将
戦力日本海軍航空母艦4隻、戦艦9隻、重巡13隻、軽巡6隻 他
連合国軍航空母艦9隻、軽空母8隻、護衛空母18隻、戦艦12隻、重巡11隻、軽巡15隻 他
損害日本海軍航空母艦4隻、戦艦3隻、重巡6隻、軽巡1隻、駆逐艦6隻など
連合国軍航空母艦1隻、護衛空母2隻、駆逐艦2隻、護衛駆逐艦2隻など

1944年10月23日から25日にかけて、フィリピン及び同周辺海域で行われた一連の戦闘の総称で、シブヤン海海戦、スリガオ海峡海戦、エンガノ岬沖海戦、サマール沖海戦の4つの海戦を総称して「レイテ沖海戦」という。
これは日本とアメリカの主攻目標がレイテ島またはレイテ湾であったため、この名がついた。

連合軍の作戦名はキング矯鄒でレイテ島の奪還を目的とし、日本軍の作戦名は捷一号作戦で、アメリカ軍の進攻阻止を目的とした。
日本海軍の艦隊戦力はこの海戦での敗北を最後に事実上壊滅し、以後大規模かつ組織的活動は不可能となった。

特筆すべき出来事

この戦いでは、世界軍事史上特筆すべき出来事が起きている。

  • 最後の艦隊決戦
    この戦いにおいて、日本軍は「戦力が衰えた空母と基地航空隊を囮にして敵機動部隊の戦力をひきつけ、その間隙に戦艦を筆頭とする水上砲戦部隊を突入させる」という作戦を採っていた。
    しかし、実際には各個の連携が取れておらず、各部隊がバラバラに行動していたため、優勢な連合国艦隊に捕まって各個撃破される羽目に陥った。
    また、作戦目的も徹底されていたとはいえず、特にレイテ湾へ突入する任務を与えられていた主力艦隊(栗田艦隊)の上層部は作戦前「万一敵艦隊を発見したときは優先的にこれを攻撃する」という条件をだしたところ、連合艦隊参謀神重徳は、それを了承している*1
    実際には突入前「ヤキ1カに敵影あり」という電文を受け、反転しており、後年、このことは「栗田艦隊謎の反転」と呼ばれ多くの著書でその判断の是非を問われている。
    近年までは「命令違反」「敵前逃亡」などと言われていたが、近年では米側の資料調査や客観的な判断により、栗田の判断は妥当であるという意見も多くなってきている*2

    これ以後、世界の戦史において戦艦巡洋艦といった大型水上艦艇同士が艦隊を組んで砲火を交えるような戦闘は起きておらず、事実上「世界最後の艦隊決戦」ともなった。

    またこの戦いは、日本の誇る超々ド級戦艦「大和*3、及びビッグセブンの一艦であった「長門」にとって、生涯最初で最後の水上砲戦でもあった*4

  • ヤキ1カ電
    レイテ沖海戦において触れない訳にはいかない話としてヤキ1カ電の存在である。
    南西方面艦隊から出たとされるこの情報を元に栗田艦隊は反転した訳だが、栗田艦隊側の戦闘詳報以外にこの電報について記述がなく捏造ではないかとの説が出回っていた。
    だが、ヤキ1カ電の受電記録が艦隊側しかないのはそうでも、この電報の目撃情報は複数の場所で目撃されている。
    重巡「摩耶」主計長永末瑛一は救助された駆逐艦「島風」艦橋でこの電文を目撃している。
    内地でも軍令部の作戦室の海図に、この頃ヤキ1カ地点の海域に敵艦隊ありの書き込みがあったことを記録員の野村実や部長の中沢祐が目撃し、中沢は手帳にその事を記載している。
    また、基地航空隊である第一航空艦隊は、栗田艦隊からヤキ1カ地点の敵を攻撃して欲しいとの電報を受けると不審に思わずに直ぐ様全機出撃させているし、潜水艦部隊である第六艦隊はこの海域に貴下の潜水艦部隊を迎撃に向かわせている。
    これらの行動はヤキ1カ電か、それに類する情報を得ていないと起こし得ない行動であり、もしヤキ1カ電が捏造や虚構であるというなら、これらのことへの説明がつかない。
    また、知られてはいないが、「南西方面艦隊はヤキ1カ電を打っていない」という話の出所自体が不明であり、資料もない話である。
    当事者達もこの電報の件を軍令部も連合艦隊司令部も、この時点では誰も問題視していない。

    南西方面艦隊は、この海戦後に司令長官を含めて要員の多くが戦闘たけなわのなか人事異動している。このため詳細な記録を残す時間もなく、その後のマニラ市街戦などで失われたものもある。
    当事者も戦死したり、戦後まもなく病死したりしていて詳細は不明な点が多い。
    そんな中で「ヤキ1カ電は打っていない」という話が考証されぬまま勝手に一人歩きし、事実して世間に認知されてしまっている。

  • 特攻がはじめて行われた。

    この戦いの前、フィリピン周辺に展開していた日本軍の基地航空隊は壊滅状態にあった。
    その原因は、先の「台湾沖航空戦」にて、搭乗員の錬度の低さや指揮系統の混乱*5などによる不確実な戦果報告が積み重なり*6、それを盲信した指揮官が再度の攻撃を決断したため、ほぼ無傷だった敵機動部隊の反撃で壊滅させられたためでもあった。

    そのような状況の下で敵を迎え撃つ羽目になった第一航空艦隊(基地航空隊)は、通常の攻撃では戦果を挙げることが難しくなった、として、爆弾を搭載した攻撃機が機体もろとも敵に体当たりし、打撃を与える戦法を考案。
    部隊は「敷島隊」以下4つの部隊に分かれ、体当たり攻撃を実施した。

    当初、この戦法はこの一回限りで終わる予定であったが、「己の身を犠牲にして敵を屠る」という(英雄的に見える)行動が他の部隊にも波及し*7、最終的には陸海軍のほとんどの戦闘部隊が「特攻」を前提とした方針に転換することになった*8

参加兵力(日本軍)

第二艦隊(旗艦:重巡「愛宕」→戦艦「大和」)

  • 第一遊撃部隊第一艦隊(第二部隊と合せて通称「栗田艦隊」)
    • 第一戦隊:戦艦「大和」「武蔵」「長門
    • 第四戦隊:重巡「愛宕」「高雄」「摩耶」「鳥海」
    • 第五戦隊:重巡「妙高」「羽黒」
    • 第二水雷戦隊:軽巡「能代
      • 第二駆逐隊:駆逐艦「早霜」「秋霜」
      • 第三十一駆逐隊:駆逐艦「岸波」「沖波」「朝霜」「長波」
      • 第三十二駆逐隊:駆逐艦「浜波」「藤波」「島風
  • 第一遊撃部隊第二艦隊
    • 第三戦隊:戦艦「金剛」「榛名
    • 第七戦隊:重巡「鈴谷」「熊野」「利根」「筑摩」
    • 第十戦隊:軽巡「矢矧
      • 第十七駆逐隊:駆逐艦「浦風」「磯風」「雪風」「浜風」「清霜」「野分」
  • 第一遊撃部隊第三艦隊(西村艦隊)
    • 第二戦隊:戦艦「山城」「扶桑」、重巡「最上」
    • 第四駆逐隊:駆逐艦「山雲」「満潮」「朝雲」
    • 第二十七駆逐隊:駆逐艦「時雨」
  • 随行油槽船
    • 「八紘丸」「萬栄丸」「御室山丸」「日栄丸」「雄鳳丸」「厳島丸」「日邦丸」「良栄丸」

第三艦隊(空母艦載機116機、旗艦:空母「瑞鶴」→軽巡「大淀」)

  • 機動艦隊本体(小沢機動部隊)
    • 第三航空戦隊:空母「瑞鶴」「千代田」「千歳」「瑞鳳」
    • 第四航空戦隊:航空戦艦「伊勢」「日向
    • 巡洋艦戦隊:軽巡「多摩」「五十鈴
    • 第一駆逐連隊(第三十一戦隊のみ):軽巡「大淀」、駆逐艦「」「」「」「
    • 第二駆逐連隊(第六十一駆逐隊司令兼務):
    • 第二補給部隊:駆逐艦「秋風」、油槽船「仁栄丸」「たかね丸」、海防艦「22号」「29号」「31号」「33号」「43号」「132号」

第六艦隊

  • 先遣艦隊
    • レイテ方面:大型潜水艦8隻
    • マニラ方面:中小型潜水艦7隻

第五基地航空部隊

  • 第一航空艦隊(直率 実働機約40機)
    • 第一五三航空隊
    • 第二〇一航空隊
    • 第七六一航空隊
    • 第一〇二一航空隊

第六基地航空隊

  • 第二航空艦隊(実働機223機)

南西方面艦隊

  • 第二遊撃艦隊(志摩艦隊)
    • 第二十一戦隊:重巡「那智」「足柄」
    • 第一水雷戦隊:軽巡「阿武隈
    • 第七駆逐隊:駆逐艦「曙」「潮」「霞」
    • 第十八駆逐隊:駆逐艦「不知火」
    • 第二十一駆逐隊:駆逐艦「若葉」「初春」「初霜」
    • 第十六戦隊:重巡「青葉」、軽巡「鬼怒」、駆逐艦「浦波」

参加兵力(連合軍)

第3艦隊(旗艦:戦艦「ニュージャージー」)

  • 第38任務部隊(旗艦:空母「レキシントン」)
    • 第1群(旗艦:空母「ホーネット(CV-12)」)
    • 第5巡洋艦戦隊
      • 重巡「チェスター」「ソルトレイクシティ」「ペンサコラ」
    • 第10巡洋艦戦隊
      • 重巡「ボストン」
      • 軽巡「サンディエゴ」「オークランド」
    • 第46駆逐隊:駆逐艦 12隻
    • 第12駆逐隊:駆逐艦 3隻
    • 第4駆逐隊(第30任務部隊2群):駆逐艦 6隻

    • 第2群(旗艦:空母「イントレピッド」)
      • 空母「イントレピッド」「バンカー・ヒル
      • 軽空母「インディペンデンス」「カボット」
    • 第7戦艦戦隊
    • 第14巡洋艦戦隊
      • 軽巡「ヴィンセンス」「マイアミ」「ビロクシー」
    • 第52駆逐隊:駆逐艦 5隻
    • 第104駆逐隊:駆逐艦 4隻
    • 第50駆逐隊:駆逐艦 5隻
    • 第106駆逐隊:駆逐艦 4隻

    • 第3群(旗艦:空母「エセックス」)
    • 第8戦艦戦隊:
      • 戦艦「マサチューセッツ」
    • 第9戦艦戦隊:
      • 戦艦「サウスダコタ」
    • 第13巡洋艦戦隊:軽巡「サンタフェ」「モービル」「リノ」「バーミングハム」
    • 第50駆逐隊:駆逐艦 5隻
    • 第55駆逐隊:駆逐艦 5隻
    • 第110駆逐隊:駆逐艦 4隻

    • 第4群(旗艦:空母「フランクリン」)
      • 空母「フランクリン」「エンタープライズ
      • 軽空母「ベロー・ウッド」「サン・ジャシント」
      • 戦艦「ワシントン」「アラバマ」
    • 第6巡洋艦戦隊
      • 重巡「ニューオーリンズ」「ウィチタ」
    • 第6駆逐隊:駆逐艦 4隻
    • 第12駆逐隊:駆逐艦 4隻
    • 第24駆逐隊:駆逐艦 3隻

第34任務部隊

  • 水上打撃任務部隊*9
    • 第7戦艦戦隊
      • 戦艦「ニュージャージー」「アイオワ」
    • 第8戦艦戦隊
      • 戦艦「マサチューセッツ」「ワシントン」
    • 第9戦艦戦隊
      • 戦艦「アラバマ」「サウスダコタ」
    • 第6巡洋艦戦隊
      • 重巡「ニューオーリンズ」「ウィチタ」
    • 第13巡洋艦戦隊
      • 軽巡「サンタフェ」「モービル」「バーミングハム」
    • 第14巡洋艦戦隊
      • 軽巡「ヴィンセンス」「マイアミ」「ビロクシー」
    • 第52駆逐隊:駆逐艦 4隻
    • 第104駆逐隊:駆逐艦 4隻
    • 第100駆逐隊*10:駆逐艦 6隻
    • 第50駆逐隊:駆逐艦 4隻

潜水艦部隊

第7艦隊

南西太平洋方面最高司令官指揮下(最高司令官:ダグラス・マッカーサー陸軍大将、旗艦:軽巡「ナッシュビル」)

  • 旗艦:輸送艦「ワサッチ」(水陸両用作戦部隊旗艦)
    • 兵員輸送船 53隻
    • 貨物輸送船 54隻
    • その他含め攻略部隊艦船 計420隻
    • 戦闘艦艇 計157隻

第70任務部隊

  • 第1群
    • 高速魚雷艇隊:魚雷艇 39隻(3隻・13個小隊)

第77任務部隊

  • 第2群
  • 支援射撃部隊(旗艦:重巡「ルイビル」、下記中央隊他はスリガオ海峡海戦時のもの)
  • 中央隊(旗艦:戦艦「ミシシッピ」)
    • 戦艦「ミシシッピ」「メリーランド」「ウェストバージニア」
  • 第2戦艦戦隊
    • 戦艦「ペンシルベニア」「テネシー」「カリフォルニア」
  • エクスレイ(Xray)駆逐隊:駆逐艦 6隻

  • 左翼隊(オルデンドルフ少将直率)
    • 第4巡洋艦戦隊
    • 重巡「ルイビル」「ポートランド」「ミネアポリス」
  • 第12巡洋艦戦隊
    • 軽巡「デンバー」「コロンビア」
  • 第56駆逐隊:駆逐艦 3隻
  • 第112駆逐隊:駆逐艦 3隻
  • 他(第3グループ):駆逐艦 3隻

  • 右翼隊(旗艦:軽巡「フェニックス」)
    • 重巡「シュロップシャー(オーストラリア海軍)」
    • 軽巡「ボイシ」「フェニックス」
  • 第24駆逐隊:駆逐艦 6隻
  • 第54駆逐隊(ピケット警戒の指揮を兼ねる):駆逐艦 8隻

  • 第4群
  • 護衛空母部隊(旗艦:護衛空母「サンガモン」)
    • 第1集団(タフィ1)
      • 護衛空母「サンガモン」「サンティー」「スワニー」「ペトロフ・ベイ」「サギノー・ベイ」「シェナンゴ」*11
    • 駆逐艦 3隻
    • 護衛駆逐艦 4隻
    • 第2集団(タフィ2)
      • 護衛空母「ナトマ・ベイ」「マーカス・アイランド」「オマニー・ベイ」「サボ・アイランド」「カダシャン・ベイ」「マニラ・ベイ」
      • 駆逐艦 3隻
      • 護衛駆逐艦 4隻
    • 第3集団(タフィ3、旗艦:護衛空母「ファンショー・ベイ」)
      • 護衛空母「ファンショー・ベイ」「セント・ロー」「ホワイト・プレインズ」「カリニン・ベイ」「キトカン・ベイ」「ガンビア・ベイ」
      • 駆逐艦「ホーエル」「ヒーアマン」「ジョンストン」
      • 護衛駆逐艦「デニス」「ジョン・C・バトラー」「レイモンド」「サミュエル・B・ロバーツ」


*1 [無理矢理飲ませていた]という表記がここではこれまで書かれていますが、栗田艦隊側が強引に認めさせたという資料も根拠もない。作成者は前回までの文面内容の根拠を提示すべき。
*2 戦後半世紀以上を経て関係者の多くが鬼籍に入ってしまい、資料の散逸もあって真相の究明は難しくなっている。
*3 僚艦の「武蔵」はその前に艦載機の攻撃で撃沈されている。
*4 ただし、相手は護衛空母及び護衛駆逐艦であったが。
*5 陸軍・海軍の混成部隊による夜間雷撃も行われていた。
*6 また、この戦果報告が大本営発表でもそのまま大々的に報道されていた。
*7 これは、軍部が兵士や国民の士気高揚のためのプロパガンダとして、この行為を大々的に取り上げたことも影響していると見られる。
  戦争が長期戦となり、敗勢が濃厚となった国家では、軍や政府が兵士・国民の士気崩壊を防ぐべく「局地的な戦場での勝利」や「『大きな功績』をあげた将兵・部隊の事跡」を誇張し、一編の「英雄譚」のようにして大々的に流布することがしばしば起きる。

*8 この後に立案された、日本本土での迎撃作戦「決号作戦」では「玉砕前提の『沿岸貼り付け師団』」や「保有機のほぼ全機を特攻機にした基地航空隊」などが編成されるほどだった。
*9 第38任務部隊第2・第3・第4群から水上部隊(戦艦6、巡洋艦7、駆逐艦17)を抽出して編成。
*10 第46駆逐隊、第12駆逐隊の一部の艦で編成。
*11 サマール沖海戦時、2隻(サギノー・ベイとシェナンゴ)はサマール沖を離れて行動中。

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