Last-modified: 2016-07-21 (木) 10:35:41 (425d)

【ユーロファイター・タイフーン】(ゆーろふぁいたー・たいふーん)

Eurofighter Typhoon.

イギリス・ドイツ・イタリア・スペインの4ヶ国が共同開発したジェット戦闘機マルチロール機)。
トーネードの実績をもとに1986年に英・西独・伊の3ヶ国で開発が開始され、まもなくスペインもこれに加わった。

開発当初、型式は「F/EFA(Future European Fighter Aircraft*1)」と仮称されていたが、1992年には「EF-2000」と改称され、1998年には正式にタイフーンと命名された。
しかし、政治的トラブルによる計画の遅延が頻発し、当初1999年からを予定していた量産計画は2002年までずれ込んでいる。

当初はフランスも関心を示したが、エンジン設計面の折衝で交渉決裂。
エンジンは国際共同開発される方針でまとまり、自国製エンジンの使用を主張したフランスは開発計画から脱退。
その後、フランスは独自にラファールを開発した。

本機は制空戦闘機としての性能が追求され、対地攻撃能力は同世代のマルチロールファイターよりやや劣るとされる。
パルスドップラーレーダーIRST、先進防御支援システム(DASS)など高度なアビオニクスを搭載し、音声入力にも対応。
また、主翼デルタ翼を採用するなど静安定緩和に務めた設計であり、フライバイワイヤーによる制御なしには操作不能である。

関連:EAP

IMG_3550.jpg

スペックデータ

乗員1名/2名(複座型)
全長15.96m(主翼端ポッド含む)
全高5.28m
翼幅10.95m
主翼面積50.0
空虚重量11,000kg
最大離陸重量21,000kg/23,500kg(過荷時)
最大兵装搭載量6,500kg
エンジンユーロジェット EJ200?ターボファン×2基
推力60kN/90kN(A/B使用時)
最大速度マッハ2+
実用上昇限度18,300m
フェリー航続距離2,000nm
戦闘行動半径750nm(AAM×6発、10分間のCAP
350nm(Lo-Lo-Lo攻撃ミッション時)
750nm(Hi-Lo-Hi攻撃ミッション時)
固定武装マウザーBK27 20mm機関砲×1門
兵装
空対空ミサイル
(2〜6発)
AIM-9「サイドワインダー」
AIM-120 AMRAAM
ASRAAM(AIM-132)
IRIS-T*2
ミーティア
スカイフラッシュ
アスピデ
空対地ミサイルAGM-65「マーベリック」
対戦車ミサイル
(2発)
ブリムストーン
巡航ミサイル
(18発)
SCALP-EG/ストームシャドウ
タウラス KEPD 350
空対艦ミサイル
(各4発)
AGM-84「ハープーン」
ペンギンAGM-119
対レーダーミサイル
(4〜6発)
AGM-88 HARM
ALARM
爆弾類/ロケット弾/増槽等通常爆弾(500lb級12発、1000lb級7発、2000lb級5発)
ぺイヴウェイシリーズ(II/III/IV)
GBU-31 JDAM
BL755クラスター爆弾(6発)
DWS-39スタンドオフディスペンサー
CVR-7 ロケット弾ポッド
増槽
FCSレーダー「キャプター(CAPTOR)」多モードパルスドップラーレーダー
電子装備DASS(防御支援サブシステム):以下の機器で構成。
防御支援レーダー
レーダー警戒受信機
電子戦支援装置
レーザー警戒受信機
ミサイル接近警戒機
チャフフレアディスペンサー
ジャミング発生装置
曳航式デコイ
PILATE(赤外線捜索追跡装置)
MIDSデータリンク端末
VTAS
HMSS(ヘルメット装着式シンボリックシステム。JHMCSに該当)


バリエーション(カッコ内は生産機数)

  • トランシェ1(Tranche 1)
    • block1(5機(飛行試験用)/31機(量産)):
      DASS(防御支援サブシステム)を搭載していない初期量産型。
      複座型で初期の乗員訓練と防空訓練のみに使用。
      イギリスでは「タイフーンT.1」、スペインでは「CE.16」の名称で呼ばれている。
      飛行試験用の5機と量産機31機が生産された。

    • block2(47機):
      防空能力を高め、完全な初期作戦能力を持った型。
      メインコンピュータのソフトウェアをPSPIからPSPI2に変更し、一部簡略化されたDASSを搭載。
      また、キャプターレーダーIFF装置、MIDS(多機能情報伝達システム)はある程度のセンサー融合がなされた他、簡易版の自動操縦装置、マイクロ波着陸装置、直接音声入力装置を搭載する。
      イギリスでは「タイフーンF.2」、スペインでは「C.16」の名称で呼ばれている。

    • block2B(38機):
      block2にケアフリーシステムを追加した機体。

    • block5(21機):
      完全作戦能力を持った機体。
      ペイブウェイIIや1,000lb通常爆弾の携帯が可能になった他、BK27の空対地使用が解禁され、DASS、直接音声入力装置、センサー融合共に完全な能力を得た。
      またPIRATE(赤外線捜索追跡装置)を追加した(独向け機体を除く)。
      イギリスでは単座型は「タイフーンFGR.4」、複座型は「タイフーンT.3」の名称で呼ばれている。

    • block5A(15機):
      block5に準じたオーストリア向けの機体。

  • トランシェ2(Tranche 2)
    • ブロック8/8A/8B:
      能力向上と新しいミッションコンピューターを導入した機体。
      初期のソフトウェアはブロック5と同じだが8A/8Bではバージョンアップしている。
      オーストリア向け残り9機はこの仕様。

    • ブロック10:
      ペイブウェイIIIやJDAM等が携帯でき、スイングロール*3が可能になった。
      また、GPSIFF、MIDSの能力が強化された。

    • ブロック15:
      ストームシャドウ巡航ミサイル、タウラスKEPD 350巡航ミサイル等、空対地能力を更に向上させ、最大離陸重量を引き上げた。
      スイングロール能力も向上している。

  • トランシェ3(Tranche 3)
    対地攻撃能力を完全実装した生産型で、開発参加四カ国合計で236機導入の予定。
    しかし、ドイツでは連邦議会が調達削減を求めるなど先行きは不透明。


*1 「未来のヨーロッパ戦闘機」という意味。
*2 Infra Red Imaging System Tail/Thrust Vector-Controlled.
*3 空対空と空対地任務を同時に行う事。

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