Last-modified: 2018-02-19 (月) 18:47:33 (1928d)
【ホバリング】 †
Hovering.
航空機や鳥などが空中で一時停止する事。
基本的には何かを観測するため、着陸するため、または空挺降下を行うために実施される。
翼の揚力に依存して飛行しているものは停まると失速して墜ちるため、ホバリングが構造的に不可能。
小鳥や昆虫などは羽ばたきの筋力だけでホバリングを行えるが、これはきわめて軽量な動物のみに限られる。
筋肉による推力をn倍にするためにはnの2乗倍の断面積が必要で、そうすると筋肉の重量はnの3乗倍になる。
だから生物は体重が増えるに従って運動性を失い、重すぎれば離陸はもちろん立って自重を支える事すらできなくなる。
機械の場合、推力を垂直に上に向ける事ができ、かつその状態でバランスを保てる機体である事が要求される。
ジェットエンジンの排気口に真下に向けるか、プロペラを真上に向ければ理論上可能である。
ホバリングする機械の代表格はヘリコプターだが、これもプロペラを真上に向ける事で重力を相殺している。
実際にはただホバリングするだけでは航空機として用を為さず、前進する必要もある。
普通は同じエンジンが前進用とホバリング用を兼ねていて、真上に向けていた推力を傾ける事で前進を行う。
ヘリコプターの場合、前進する時は機体全体が前傾姿勢に傾いている。
VTOLやティルトローターの場合はエンジン自体が旋回してホバリングと前進を切り替える。
操縦技術としては、ホバリングはかなりの困難を伴う。
前に進むベクトルがないため機体の静安定性を期待できず、姿勢を崩すリスクが大きい。
また、風などの外乱を受けやすく、ホバリングを終了して前進し始める時も姿勢を崩しやすい。
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