【プロペラピッチ】 †
プロペラの設計工学上の指標の一つ。単位はメートルまたはインチ。
プロペラの羽根(ブレード)が1回転するごとに、そのプロペラを搭載した機体がどれだけの距離を推進するかを表す。
プロペラの大きさとブレードの角度から数学的に算出できる(ただし、実測すると理論値の60〜90%程度の値である場合が多い)。
ごく単純に言って、プロペラ自体が巨大であるほどプロペラピッチも大きくなる。
p'=2πr tanβ
- p' ― プロペラピッチ
- r ― プロペラ回転面の半径
- β ― ブレードとプロペラ回転面の角度
エンジン出力の多寡、機体の重量、推力重量比はプロペラピッチの算出において考慮されない。
自重が重いほどプロペラの回転数が低く、推力が高いほど回転数が高くなり、結果として推力重量比に関わらずプロペラピッチは一定となる。
(ただしこれは流体力学上の諸現象を考慮しない単純化された数式であり、実測では機体諸元がプロペラピッチに影響を及ぼしているものと考えられる)
逆にプロペラピッチは推力に影響を及ぼし、プロペラピッチが大きくなるとプロペラの回転数が減少し、小さいと回転数が上昇する。
一般に、プロペラは回転数が低いと推力変換効率が高くなる代わりに加速が遅く、回転数が高いと加速が速いものの推力効率が悪化する。
可変ピッチプロペラ †
プロペラに求められる性能要件は速度域ごとに異なるため、プロペラは運航中にプロペラピッチを変更できるように設計されるのが一般的。
低速時には浅い角度で回転数を増やして加速を早くし、高速に達したら角度を深くして推力効率を高める。
また、エンジン停止時に滑空持続時間を稼ぐためのフェザリングや、急減速が必要な場合のリバーサルピッチが可能なプロペラもある。
この駆動機構は油圧ポンプを用いる場合と電動機を用いる場合がある。
いずれにせよ高速回転するプロペラの内部に駆動機構を組み込むのは工学上相当な困難を伴い、そのような機構を実装できる製造業者は多くない。