Last-modified: 2017-09-06 (水) 17:02:21 (45d)

【ファランクス】(ふぁらんくす)

Mark15 Phalanx*1

アメリカのレイセオン社?で開発された20mm口径艦載ガトリングガンシステム。一部では「R2-D2」の愛称でも呼ばれる。
対艦ミサイルなどの飛翔体を至近距離で撃墜するCIWSとして運用される。
名称は古代ギリシアの歩兵戦術に由来し、重装歩兵の盾のように緊密な防御をイメージしての命名と思われる。

M61A1機関砲と、これを搭載する砲塔・捜索/追跡レーダー火器管制装置のセットで一個の兵器とする。
電源とペイロード空間以外は独立したシステムで、換装・設置にさほどの手間はかからない。
普段は射手からの制御を受けて発射するが、緊急時には目標探知・識別・発射を全て全自動で行える。
ただし全自動モードでは敵味方の識別が行われず、有効射程圏内の飛翔体全てを無差別に撃墜する*2

1978年に開発が始まり、1980年にまず空母コーラル・シーに搭載された。
以後も段階的に改修を受け、最新型では高速艇などの水上目標も撃沈できるようになっている。

アメリカや日本の他、NATO各国海軍を始め、21か国で870セットの採用実績がある。

次世代への課題

ファランクスは兵器としてまずまず傑作に分類できるが、根本的な問題もいくつかある。

まず第一に、近年の航空脅威、特に対艦ミサイルに対して20mm機関砲の火力は十分でない。
目標の破壊に成功しても、残骸が運動エネルギーを残したまま艦に激突する可能性が否定できない。
実際、残骸の搭載爆薬が起爆したり、燃料に引火した事が原因で沈没に至った例もある。

また、ガトリングガンの発射速度に対して装弾数に不足がある。
発射速度は毎分3000発、つまり1秒で50発を消費し、必中を期するには数秒以上の連射を必要とする。
初期型は装弾数が1000発に満たなかったため、2〜3回迎撃するごとに給弾作業が必要になる有様だった。

こうした点から、ファランクスの採用を取りやめてRIM-116RAM」へと換装した艦もある。

http://www4.plala.or.jp/klesa108/temp/mk15block1b.jpg
きりしま」搭載のMk.15 ブロック1B。レドーム横に赤外線監視装置などを追加し、対舟艇射撃能力を獲得した。

主な搭載艦

アメリカ海軍ニミッツ級航空母艦(3番艦から8番艦が装備)
ジェラルド・R・フォード級航空母艦
カリフォルニア級原子力ミサイル巡洋艦
ヴァージニア級原子力ミサイル巡洋艦
タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦
アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦
キッド級ミサイル駆逐艦
ワスプ級強襲揚陸艦
アメリカ級強襲揚陸艦
ホイットビー・アイランド級ドック型揚陸艦
ハーパーズ・フェリー級強襲揚陸艦
シマロン級補給艦

※以下の艦は後日装備
ミッドウェイ級航空母艦
フォレスタル級航空母艦
キティホーク級航空母艦
原子力空母エンタープライズ
アイオワ級戦艦
原子力ミサイル巡洋艦「ロングビーチ」
原子力ミサイル巡洋艦「ベインブリッジ」
原子力ミサイル巡洋艦「トラクスタン」
ベルナップ級ミサイル巡洋艦
リーヒ級ミサイル巡洋艦
スプルーアンス級駆逐艦
ノックス級フリゲート
オリバー・ハザード・ペリー級ミサイルフリゲート
ブルーリッジ級揚陸指揮艦
イオー・ジマ級強襲揚陸艦
タラワ級強襲揚陸艦
オースティン級ドック型輸送揚陸艦
クリーブランド級ドック型輸送揚陸艦
トレントン級ドック型輸送揚陸艦
マーズ級戦闘給糧艦
サクラメント級高速戦闘支援艦
キラウェア級給兵艦
ウィチタ級給油艦
アメリカ沿岸警備隊ハミルトン級カッター
バーソルフ級カッター
日本
海上自衛隊
ひゅうが型ヘリコプター護衛艦
いずも型ヘリコプター護衛艦
はたかぜ型ミサイル護衛艦
こんごう型ミサイル護衛艦
あたご型ミサイル護衛艦
たかつき型多目的護衛艦(2番艦のみ)
あさぎり型汎用護衛艦
あぶくま型護衛艦
むらさめ型汎用護衛艦
たかなみ型汎用護衛艦
あきづき型汎用護衛艦
おおすみ型輸送艦

以下の艦は後日装備
はつゆき型汎用護衛艦(1番艦と2番艦)
たちかぜ型ミサイル護衛艦
はるな型ヘリコプター護衛艦
しらね型ヘリコプター護衛艦(1番艦)
イギリスインヴィンシブル級航空母艦
クイーン・エリザベス級航空母艦
42型(シェフィールド級)駆逐艦
45型(デアリング級)駆逐艦
ヘリコプター揚陸艦(揚陸ヘリ空母)「オーシャン
オーストラリアアデレード級フリゲート
ホバート級駆逐艦
バーレーンミサイルフリゲート「サバー(Sabha)*3
カナダレスティゴーシュ級駆逐艦(一部艦は後日装備)
イロクォイ級ミサイル駆逐艦(TRUMP*4改修後)
ハリファックス級フリゲート
ギリシャエリ級フリゲート
イドラ級フリゲート
エジプトノックス級フリゲート
オリバー・ハザード・ペリー級ミサイルフリゲート
イスラエル
イスラエル海軍
サール4.5型ミサイル艇
サール5型コルベット
韓国仁川級フリゲート
トルコノックス級フリゲート
G級フリゲート
ニュージーランドテ・カハ級フリゲート
パキスタンアラムジル級駆逐艦
タリク級駆逐艦
フリゲート「アラムジル」
ポーランドフリゲート「ゲネラウ・カジミェシュ・プワスキ」
フリゲート「ゲネラウ・タデウシュ・コシチュシュコ」
ポルトガルヴァスコ・ダ・ガマ級フリゲート
サウジアラビアバドル級コルベット
中華民国富陽級駆逐艦(後日装備)
基隆級(キッド級改装型)駆逐艦
済陽級フリゲート(後日装備)
成功級フリゲート
康定級フリゲート


スペックデータ

開発・製造者ジェネラル・ダイナミクス(現レイセオン)
口径20mm×102mm
銃身長1,520mm(ブロック0・ブロック1、L76砲身)
1,981mm(ブロック1B、L99砲身)
砲身長1,520mm(ブロック0・ブロック1、L76砲身)
1,981mm(ブロック1B、L99砲身)
銃砲身6本
全高4.7m
重量5,700kg
6,200kg(後期型)
俯仰角ブロック0:-10°/+80°
ブロック1:-20°/+80°(移動速度:86°/秒(ブロック0/ブロック1)
ブロック1B:-25°/+85°(移動速度:115°/秒(ブロック1B)
旋回角中心線からそれぞれ150°
(移動速度:100°/秒(ブロック0/ブロック1)、116°/秒(ブロック1B))
発射速度毎分3,000〜4,500発(選択式)、毎秒50〜75発
初速1,100m/s
有効射程1.49km
最大射程型式による
使用弾薬艦船用:徹甲弾、外皮付タングステン弾
地上配備型:高性能爆薬弾、自爆機能付き曳光弾
誘導方式KuバンドレーダーFLIR


バリエーション

  • Block0:
    初期モデル。

  • Block1:
    能力向上型。
    発射速度が向上し、弾倉の大型化により装弾数が増えたほか、俯仰角が大きく取れるようになった。

  • Block1A:
    Block1のコンピューターシステムを更新したモデル。

  • Block1B:
    現行モデル。砲身の延長やFLIRの追加、マウントの改良が行われた。
    この改良により射撃精度が向上し、対舟艇および低速低高度の空中目標への射撃能力を獲得した。

  • LPWS(Land-based Phalanx Weapon System):
    トレーラーで牽引する車載型ファランクス。Counter-RAM*5(C-RAM)と呼ばれる。
    基地に対する迫撃砲ロケット弾の攻撃を察知して着弾前に撃墜する事を旨とする。
    使用弾薬は地面への着弾による被害を防ぐため、Mk.149 Mod4 APDS弾に自爆機能が付加されたM940「MPT-SD(多目的曳光弾-自爆機能付き)」を使用する。


*1 日本の海上自衛隊では「高性能20ミリ機関砲」の名で採用されているが、命名に当たって、「高性能」という単語があえて付け加えられた意図は不明。
*2 1996年6月にハワイ沖で行われた環太平洋合同演習にて、海上自衛隊護衛艦ゆうぎり(DD-153)」が標的曳航中のA-6攻撃機誤射撃墜している。
*3 元オリバー・ハザード・ペリー級ミサイルフリゲート「ジャック・ウィリアムズ(USS Jack Williams,FFG-24)」。
*4 Tribal Class Update and Modernization Project.
*5 Counter-rocket, -artillery and-mortar,

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