Last-modified: 2019-10-14 (月) 21:55:18 (35d)

【バイカウント】(ばいかうんと)

Vickers Viscount.

英国のヴィッカース社が1940年代〜1960年代に開発・生産した四発ターボプロップ旅客機
世界初の商業用ターボプロップ輸送機として1953年に開発され、1963年までに445機が生産された。

当初は24名の旅客を乗せて1750マイルを運航できる旅客機として計画された。
エンジンは4基を搭載したが、これは当時のターボプロップの出力が小さく、双発では十分な推力が得られなかったためである。

1948年に最初のタイプ「モデル630」が初飛行
その後、座席数を53に増やし、速力を308マイルにアップさせた「モデル700」が量産型として生産され、1953年からBEA(英国欧州航空)で運用が開始された。
戦後の機体にふさわしく、キャビンに与圧構造を採用し、ターボプロップによる高速に加え、低振動で静粛性にも優れていたことから顧客の人気を博し、エア・カナダやKLMオランダ航空、クバーナ航空や全日本空輸などの諸外国の航空会社にも採用された。

日本でのバイカウント

日本では全日本空輸がモデル700及びモデル800を計11機導入した。

導入当初、レシプロ機よりも高い高度を飛べることを活かし、客室乗務員
「ただいま当機の下に見えてきましたのが、先に出発した日航*1でございます」
と案内したり、広告でも「テーブルの上にタバコが立てられます」とPRするなど、ターボプロップの利点をアピールしたが、まもなく日本航空も、国際線用に導入したDC-7コンベア880といった新鋭機を国内線に投入したことにより、このような優位性もすぐに失われた。

その後

本機は1960年代に入ると、ロッキードL-188などの大型ターボプロップ機やシュド・カラベル、コンベア880、イリューシンIl-18といった競合機の出現で受注が伸び悩み、更に英国製の短中距離用純ジェット機「BAC 1-11」の開発も始まったことから、1963年に販売を終了した。
その後はBEAやヴァージン・アトランティック航空などが1980年代まで使用した他、東南アジアやアフリカの航空会社に払い下げられた機体が1990年代まで運用され、2009年にコンゴの航空会社から退役したのを最後に姿を消した。

現在は英国やカナダ、ニュージーランドの博物館で数機が静態保存されている。

スペックデータ(モデル810)

乗員パイロット2名+キャビンクルー
乗客75名
全長26.11m
全高8.15m
翼幅28.55m
翼面積89.5
空虚重量18,772kg
最大離陸重量30,617kg
エンジンロールス・ロイス ダートMk.525ターボプロップ×4基
出力1,990hp(1,484kW)
最高速度566km/h
航続距離2,220km
上昇限度7,600m
翼面荷重370kg/
パワー/マス0.12hp/lb

バリエーション

  • モデル630:
    最初のプロトタイプ。
    短胴型で乗客数は32名、エンジンはロールス・ロイス ダートR.Da Mk.501(出力1,380ehp)を搭載。

  • モデル663:
    2機目のプロトタイプ。
    ロールス・ロイス「テイ」ターボジェットのテストベッド機。

  • モデル640:
    3機目のプロトタイプ。構想のみ。Napier Naiadターボプロップを搭載。

  • モデル700:
    初期生産型。

    • モデル700D:
      エンジン強化型。
      ロールス・ロイス ダート510(出力1,576hp(1,175kW))を搭載。

  • モデル724:
    カナダ向け寒冷地仕様。

  • モデル734:
    パキスタン空軍向け。スリッパタンクとVIP内装を備える。
    エンジンはダート506を搭載。

  • モデル745:
    Capital Airlines向け。

  • モデル757:
    トランスカナダ航空向け。

  • モデル771D:
    770Dの改良型。

  • モデル800:
    胴体を1.2m延長したストレッチ型。

  • モデル810:
    エンジン強化型。
    ロールス・ロイス ダート525(出力1,991hp(1,485kW))を搭載。

  • モデル828:
    全日本空輸向け。乗客数は60席。
    エンジンはロールス・ロイス ダート525を搭載。

主なカスタマー


*1 当時の日本航空が国内線に用いていたのはDC-4だった。

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