Last-modified: 2015-01-09 (金) 11:24:31 (841d)

【ドラケン】(どらけん)

SAAB35 "Draken*1".
スウェーデンのサーブ社が、スウェーデン空軍のサーブ29「トゥンナン」の後継として開発した戦闘機
1949年から開発が始まり、1955年に原型機であるSAAB210「リルドラケン」が初飛行した。

当初は昼間迎撃機として開発されたが、電子装備などの改良により全天候迎撃機へ、また一部はマルチロールファイターへと変貌した。

FMV*2が策定した基本仕様を元に、有事の際、一時的に滑走路として使用される公道からでも2,000m以内で離着陸可能なSTOL性や、着陸後10分以内の再給油/再武装といった、スウェーデンの国情に合わせた設計がなされている。

機体は主翼に当時としては世界初のダブルデルタ翼を採用し、射出座席や電子機器なども国産のものが搭載された。
エンジンは国産エンジンを搭載する予定であったが、開発計画の頓挫により、ロールス・ロイス製エイヴォン300を基に、スヴェンスカ フリグモーター社のライセンス生産であるRM6B/Cを搭載した。
艦載機ではないものの、シェルター格納の必要から外翼部が容易に取り外せる構造で、短縮時の全幅は5m以下に納まり、村落の牛舎や営農倉庫のような場所にも隠蔽可能な小型軽量振りであった。

その反面、機内の燃料搭載スペースは限られ、航続距離が短くなってしまったほか、スーパーストール(縦スピン)癖が強く飛行安定性に難があった。
そのため、事故喪失率も低くはなく、フライバイワイヤーの補助がなかった時代も相俟って、パイロットには高い技量が求められた。

最終的に615機が生産され、フィンランド・オーストリア・デンマークにも輸出されたが、後継機であるグリペンの導入に伴い、2005年12月までに全機退役している。

スペックデータ

乗員1名
全長15.35m
全高3.89m
全幅9.4m
主翼面積49.2
空虚重量8,250kg
最大離陸重量12,270kg
最大兵装搭載量2,900kg
エンジンスヴェンスカ・フリグモーター RM6Cターボジェット×1基
推力56.89kN(ドライ)/78.5kN(A/B時)
速度
(最高/低空)
マッハ2.0/マッハ1.1
航続距離700nm(迎撃ミッション、増槽なし)/1,763km(フェリー時)
上昇率10,500m/min
実用上昇限度19,995m
離陸滑走距離650m
戦闘行動半径304nm(Hi-Lo-Hi対地攻撃ミッション、機内燃料のみ)
388nm(同、増槽×2使用時)
固定武装ADEN M55 30mm機関砲×1〜2門(弾数90発)
兵装翼下および胴体下に下記兵装を搭載可能。
Rb24AAM
Rb28AAM
Rb27AAM
偵察ポッド
増槽
ロケット弾


主な運用国

  • スウェーデン
  • フィンランド
  • デンマーク
  • オーストリア:スウェーデン空軍の中古機24機。2005年退役。
  • アメリカ:飛行試験用に元デンマーク空軍機を少数運用したほか、米国立テストパイロット学校では実習教材用として使用。

主な派生型

  • サーブ210:
    アターエンジンを搭載する試作機(小型技術実証機)。
    当初、この試験機がドラケンと呼ばれていたが、J35Aがドラケンと名付けられたため、リルドラケン(小さなドラケンの意)に改名された。
    現在はリンシェーピングのスウェーデン空軍博物館に展示されている。

  • J35:
    原型機。
    エンジンはRBエイヴォン200を搭載する。

  • J35A(90機):
    初期生産型で事実上の増加試作機。
    エンジンはスヴェンスカ・フリグモーターRM6Bを搭載。

  • J35B(73機(一部資料では83機)):
    実質的な最初の実用型であり、迎撃戦闘機型。
    射撃管制装置の改修が行われ、Rb24及び対空/対地攻撃用に無誘導ロケット弾、100kgもしくは250kg爆弾の運用能力が与えられた。

  • Sk35C(26機):
    A型の胴体前半を複座型に交換する形で製造された複座の機種転換訓練型。
    固定武装や射撃管制装置、レーダーは搭載されていないが、対地攻撃能力を持つ。

  • J35D(120機):
    出力強化型。
    エンジンをRM6Bから改良型のRM6Cに変更し、機体内に搭載可能な燃料を増量している。

  • S35E(60機(改造含む)):
    D型から火器管制装置と固定武装を排除し、開いたスペースにカメラを搭載した偵察型。

  • J35F(230機):
    スウェーデン空軍向けの全天候・最終生産型。
    レーダー誘導ミサイル直撃作戦に備えて、新型レーダーや誘導弾補助機器など改造し、ファルコン空対空ミサイルの搭載能力が付与された。

    • J35F-2:
      F型に71N赤外線偵察装置やPS-011改造型レーダーを追加した改修型。

  • J35J(64機):
    1987〜1991年の間、F型に機体寿命延長を実施した改修型。
    エレクトロニクスの改変に伴い燃料搭載量の増量や誘導弾を増設。1998年配備開始。

  • サーブ35H(原型機1機):
    スイス空軍向けに提案された形式で、A型にFCSを搭載した改造機。
    同時期に売り込みが行われたフランスのミラージュ3をスイス空軍が採用したため採用されず。

  • サーブ35XD:
    デンマーク向け輸出型。
    戦闘機型F-35が20機、複座練習機型TF-35が11機及び偵察型のRF-35が生産された。

  • サーブ35XS:
    フィンランド向け戦闘機型。
    フィンランドのヴァルメト社によりライセンス生産された。

  • サーブ 35Ö:
    J35Dを改造したオーストリア向け戦闘機型。

  • 西ドイツ空軍(当時)向け輸出型(型式不明):
    核兵器の運用能力を与えられた戦術攻撃機型。
    ミラージュ3ライトニング等とともに提案されたが、西ドイツ空軍はF-104Gを採用した。


*1 スウェーデン語で竜の意。
*2 Försvarets materielverk:防衛装備局(庁)

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