Last-modified: 2020-05-31 (日) 10:49:53 (234d)
【ドーファン2】 †
Aerospatiale(Airbus Helicopters) SA365 "Dauphin2".
フランスのアエロスパシアル社(現エアバス・ヘリコプターズ)が開発した双発の民間向けヘリコプター。
前身のドーファンは飛行性能こそ高かったものの、キャビンの広さが中途半端であったため、セールスが芳しくなかった。
そのため、本機はドーファンを双発化した上で胴体を延長し、搭載能力を向上した。
搭載力に余裕が生まれたことで需要が拡大し、ビジネスや救命分野の市場を開拓した。
特に担架を複数搭載することができ、またフェネストロンの安全性が認められたことから、警察・防災機関などへの導入実績が多い。
日本では、各自治体の消防や警察などにおける導入例が目立つ*1。
現在でも発展型が製造され続け、同社を代表する機種のひとつになっている。
派生型として、軍用多目的ヘリコプターのパンター(パンサー)が存在する。
また、サウジアラビアと中国では本機自体を対潜ヘリコプターとして用いている。
前者はサウジアラビアからアエロスパシアルが開発依頼を受けたもので設計的に最適化されているが、後者は民間型に対潜装備を後付けしたもので能力が限られている。
千葉市消防局所属のAS365N3 おおとり2
スペックデータ †
ドーファン2 | |
乗員 | 1〜2名/乗客12〜13名 |
全長 | 13.68m |
主回転翼直径 | 11.94m |
全高 | 3.97m |
自重 | 4,460kg |
最大離陸重量 | 4,250kg |
発動機 | チュルボメカ・アリエル1C2 ターボシャフト×2基 |
超過禁止速度 | 287km/h |
巡航速度 | 254km/h |
航続距離 | 860km |
バリエーション †
民間型 †
- AS365C:
初期型。旧ドーファンの面影を残す。
- AS365N:
胴体を流線型に再設計し、ランディングギアを前輪式の引き込み脚に変更して、空力的に洗練された型。
- AS365N1:
エンジンやフェネストロン、操縦系統などを強化した型。
- AS365N2:
複合材による軽量化とエンジンのさらなる強化で飛行特性を向上した改良型。
エンジンはチュルボメカ アリエル1C2(549kw)を搭載。
- AS365N3:
エンジン制御のデジタル化(FADEC)により性能向上した型。
エンジンはチュルボメカ アリエル2C(635kw)を搭載。
- EC155B:
メインローターを5枚ブレードにし、フェネストロンをオフセット配置にして騒音を低減した型。旧称AS365N4。
エアバス・ヘリコプターズへの改編に伴い、商品名が「H155B」と改められている。
- EC155B1:
EC155Bのエンジン強化型。
- EC155B1:
哈爾浜航空機製造公司(HAMC)でのライセンス生産型 †
- 直昇9(Z-9):
AS365N1のライセンス生産型。詳しくは項を参照。
捜索救難型 †
- AS366G:
アメリカ沿岸警備隊向け*2の捜索救難機。
アメリカでの呼称はHH-65「ドルフィン」。エンジンはライカミング社製LTS101-750A-1(650hp)2基を搭載。
- AS366G1:
SA366Gの発展型。
ナイトビジョンの追加装備やアビオニクスの刷新などが行われている。
アメリカでの呼称はHH-65B。
- AS366G1:
- HH-65A:
SA366G1のアメリカ沿岸警備隊向け。
捜索レーダーや航法装置などの捜索救難装備を搭載し、エンジンをアメリカのライカミング・エンジンズ社製LTS101-750B(734shp)に変更した。
対潜ヘリコプター型 †
*1 ただし救命用としては優秀なものの、消火用としては搭載可能な水タンクの容量が不足しているとの指摘もある。
*2 バイ・アメリカン法に対応するためエンジンをライカミングLT101に換装しており、性能はオリジナルに劣る。