Last-modified: 2019-06-07 (金) 23:38:08 (38d)

【トーネード(マルチロールファイター)】(とーねーど(まるちろーるふぁいたー))

PANAVIA 200 MRCA Tornado.

ワルシャワ条約機構軍の脅威に対抗するため、イギリス・西ドイツ・イタリアの三カ国が共同開発した*1多目的戦術機(MRCA: Multi Role Combat Aircraft)。
共同で機体開発をするため合弁のパナビア社が、同じくエンジン開発のためターボユニオン社が設立された。
原型機の初飛行はP.01(西ドイツ)が1974年8月14日、P.02(イギリス)が1974年10月30日、P.05(イタリア)が1975年12月5日。

高度なアビオニクスを操るため複座型のみの生産となり、長い航続距離STOL性能が要求されたために可変後退翼や近代多用途機には珍しいスラストリバーサーを装備するという、小型機としては異例の設計となった。
当初は共通の機体を設計して装備変更により各種任務へ対応する計画だったが、これは実現せず、任務別に大別して三種類の機体が存在する。

なお、イギリス空軍は2019年までにトーネードを全機退役させ、戦術戦闘機をタイフーンF-35Bに置き換える計画を発表している。

スペックデータ

タイプトーネードIDS/GR.4トーネードADV/F.3
乗員2名(操縦士、兵装管制官)
全長16.72m18.68m
全高5.95m
翼幅13.91m
(主翼最大展開(後退角25度)時))
13.91m
(主翼最大展開(後退角25度)時)
8.60m(後退角67度)
翼面積26.6屐文綢牾25度)30
(主翼最大展開(後退角25度)時)
空虚重量14,090kg14,500kg
戦闘重量21,500kg
最大離陸重量27,986kg
エンジンターボファン×2基
ターボ・ユニオン RB199-34R22号機まで:
ターボユニオン RB-199-34R MK-103
23号機以降:
ターボユニオン RB-199-34R MK-104
推力38,7kN/66 kN(リヒート使用時)MK-103:
40.5kN/71.2kN(リヒート使用時)
MK-104:
40.5kN/73.5kN(リヒート使用時)
内部燃料
搭載量
6,350kg
最大速度マッハ2.2
航続距離3,895km(フェリー飛行時、2,105海里)
2,780km(1,500海里)
-
実用上昇限度15,240m21,335m
戦闘行動半径-300nm(超音速迎撃)
1,000nm+(亜音速迎撃)
固定武装マウザーBK27 27mm機関砲(装弾数125発)×2門
兵装
最大兵装
搭載量
胴体下及び翼下のハードポイント
最大9,000kgまで
翼下及び胴体下に
最大8,500kgまで
AAMAIM-9
IRIS-T?
AIM-132 ASRAAM?
AIM-9
AIM-132 ASRAAM?
スカイフラッシュ
AIM-120 AMRAAM
ASMワスプ
シーイーグル
AS.34 コルモラン
-
AGMブリムストーン
ストームシャドウ
AGM-65
タウルス KEPD350
-
ARMALARM
AGM-88 HARM
ALARM(EF.3)
爆弾JDAM
HOPE/HOSBO GPS/INS誘導爆弾
JP233ボムレット・ディスペンサー
MW-1ボムレット・ディスペンサー
BL755クラスター爆弾
ペイブウェイシリーズ
通常爆弾
B61・WE.177自由落下型戦術核爆弾
-
ポッド
増槽類
ECMポッド
AN/AAQ-28(V) LITENING
ターゲッティングポッド
TIALD*2ポッド
増槽
AR123246/1「スカイシャドウ」
ECMポッド
BOZ100チャフ/フレア・ディスペンサー
増槽


派生型

  • トーネードIDS:
    基本型で多用途攻撃機型。
    固定武装としてマウザーBK27 27mm機関砲を二門備える。

    敵の地上部隊・前線基地・後方支援艦艇などに打撃を与えるため開発された。
    慣性航法装置ドップラーレーダーの組み合わせにより、高精度の自律航法が可能である。
    また、敵のレーダー網をかいくぐるため地形追随飛行能力を持つ。

    エンジンには長距離侵攻のために燃費の優れるRB199ターボファンが設計され、双発で装備された。
    対空砲火を避けるためきわめて小型の機体設計となり、低空での安定性を重視して翼面荷重や垂直尾翼面積は大きく設計された。
    しかし湾岸戦争ではこの戦術が仇となり、複数の機体が無照準対空砲火の犠牲となった*3
    地形追随飛行による滑走路破壊任務が終了した後、高空からのレーザー誘導爆弾による攻撃任務では高い戦果を挙げた*4

    • トーネードECR:
      ドイツ空軍イタリア空軍で使用されている電子戦闘偵察型。
      電子戦闘偵察と謳っているが、実際の主任務は敵防空網制圧である。
      固定武装を廃し、レーダー攻撃用のAGM-88 HARMと自衛用のAIM-9ECMポッドなどを装備する。
      なお、相違点としては赤外線画像システムの有無*5である。

    • トーネードRECCE:
      ドイツ空軍がRF-4Eの後継として開発した偵察機型。
      偵察ポッドを搭載。

  • トーネードADV:
    IDSをベースに開発された防空・要撃戦闘機(全天候戦闘機)型。
    イギリスがライトニングファントムFGR.2の後継として独自開発した。

    戦闘空中哨戒要撃などの任務に対応するため、大幅な設計変更がなされた。
    空中戦に対応するため、AI.24「フォックスハンター」パルスドップラーレーダーの装備、空力特性の改善、エンジンの強化、可変後退翼の自動化などをおこなった。
    滞空時間を延長するため、胴体を延長して燃料タンクを増設し、左舷の機関砲を外して空中給油用の引込式プローブを装備した。
    固定武装はBK27が1門のみで、胴体下にスカイフラッシュAIM-9といった空対空ミサイルを装備する。

    英空軍の他、サウジアラビア空軍に24機が輸出・運用され、イタリア空軍も1993年から2003年まで24機をリースで使用していた。

    日本のFSXに提案された型がこのADVで、ADVの長い胴体で燃料容量と兵装搭載スペースを確保した上で、この機のファイアフォックスレーダーにIDSの対地攻撃能力を付与する案であった。
    一時は日本のFX(次期主力戦闘機)の母機としてイギリスから提案があったが、F-15J/DJが採用されたため、実現しなかった。

    長らく西欧の防衛を担ってきたが、ユーロファイター・タイフーンに更新され、イギリス空軍では2011年3月に最後の運用部隊が解散し、退役した。

イギリス空軍向け

  • トーネードGR.1:
    イギリス空軍向け攻撃機型。
    基本はIDSと同様だが、レーザー測距・目標指示装置(LRMTS:Laser Range Finder and Marked Target Seeker)が装備されている。
    後にALARM?対レーダーミサイルを使用できるように改修され、敵防空網制圧も任務となった。

    • トーネードGR.1A:
      GR.1の偵察機改修型。
      機関砲を2門から1門に減らし、その箇所にTIRRS*6とIRLS*7を装備した。

    • トーネードGR.1B:
      バッカニアの後継として配備された対艦攻撃型。

    • トーネードGR.4/GR.4A:
      MLU(Mid-Life Update)改修型。
      電子機器や兵装システムが一新され、GPSの受信能力が備えられた他、広角ヘッドアップディスプレイFLIR、暗視ゴーグルなども追加装備された。
      この改修により夜間攻撃能力が向上したほか、レーダーに依存しない航法能力を獲得した。

  • トーネードF.2:
    複座の全天候要撃戦闘機型。

    • トーネードF.2A:
      F.2の電子機器をF.3と同等にした型。

    • トーネードF.3:
      改修型。

    • トーネードEF.3:
      トーネードF.3にALARM対レーダーミサイルを搭載する改装を施した敵防空網制圧型。


*1 計画当初はオランダも参加していたが、途中で脱退している。
*2 Thermal Imaging Airborne Laser Designator.
*3 ただし湾岸戦争全体を通して見た場合、本機がもっとも被害の少なかった機種とも言われている。
*4 この際は低空での運動性に優れるバッカニアがレーザー照準を担当しており、こちらもやはり被害が発生している。
*5 イタリア空軍機は赤外線画像システムを搭載しているのに対して、ドイツ空軍機はSEAD任務に徹するため搭載していない。
*6 Tornado Infra-Red Reconnaissance System.
*7 Infra-Red LineScan?.

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