Last-modified: 2017-03-09 (木) 18:04:13 (13d)

【トーネード】(とーねーど)

Tornado.
竜巻(原義)。

下記の通り、欧米で軍用機の名前としていくつか採用されている。

英国(第二次世界大戦期・試作戦闘機)

Hawker Tornado.

イギリスのホーカー社が開発した試作戦闘機
英航空省の仕様F18/37に基づき計画された、ホーカー・タイフーンの兄弟機種にあたる。
タイフーンがネイピア社製のセイバーエンジンを搭載した(F18/37N)のに対し、本機はRR・ヴァルチャーエンジンを搭載すべく計画された(F18/37R)。
タイフーン同様エンジンや機体の問題により生産が休止されたが、ヴァルチャーは信頼性回復後も性能面で見劣りしたため、本機は量産・実用化されず、原型機3機のみの生産に終わった。
なお、3機製作された原型機のうち3号機には、後にセントーラスエンジンと新型プロペラのテストベッドとして使用されており、 テンペストMk.2?の原型とも言える機体となっている。

スペックデータ
乗員パイロット1名
全長10.01m
全高4.47m
翼幅12.78m
主翼面積26.3
空虚重量3,800kg
全備重量4,318kg
最大離陸重量4,839kg
最高速度641km/h(高度7,100m)
上昇限度10,640m
航続距離N/A
巡航速度N/A
発動機ロールスロイス ヴァルチャーII 液冷X型24気筒(1,750馬力)×1基
(後にヴァルチャーV(1,980馬力)×1基へ換装)
武装ブローニング 7.7mm機銃×12門
(2号機以降はイスパノスイザ 20mm機関砲×4門)
総生産数3機

アメリカ(爆撃機)

North American B-45 Tornado.

1946年にアメリカ陸軍航空隊に採用された四発ジェット爆撃機
同時期に開発され、後退翼を備えたB-47の登場により、生産は143機にとどまった。

1950年の朝鮮戦争でも投入されたが、1959年に退役。

スペックデータ
乗員5名
全長23.14m
全高7.67m
翼幅29.16m
翼面積105
空虚重量20,726kg
ロード重量36,930kg
最大離陸重量50,000kg
エンジンGEJ47-GE-13?ターボジェット(出力26.6kN)×4基
最大速度917km/h
航続距離2,213nm
実用上昇限界高度14,100m
武装M3 12.7mm重機関銃×2門
10,000kgまでの爆弾を搭載可能。


バリエーション

  • NA-130:
    原型機の社内呼称。

  • XB-45:
    試作機。

  • B-45A:
    初期生産型。
    初期型はアリソンJ35、後期型はジェネラルエレクトリックJ47ターボジェットを搭載。

  • B-45B:
    計器類換装計画型。

  • B-45C:
    エンジン換装型。後にA型も同基準に改装された。

  • RB-45C:
    写真偵察機型。
    爆弾倉には照明弾追加燃料タンクを搭載。

  • TB-45A:
    標的曳航機型。

  • JB-45A:
    ウェスティングハウス社製エンジン開発の空中試験機。A型ベース。

  • JB-45C:
    GE社製エンジン開発の空中試験機。C型ベース。

欧州合同(マルチロールファイター)

PANAVIA 200 MRCA Tornado.

ワルシャワ条約機構軍の脅威に対抗するため、イギリス・西ドイツ・イタリアの三カ国が共同開発した*1多目的戦術機(MRCA: Multi Role Combat Aircraft)。
共同で機体開発をするため合弁のパナビア社が、同じくエンジン開発のためターボユニオン社が設立された。
原型機の初飛行はP.01(西ドイツ)が1974年8月14日、P.02(イギリス)が1974年10月30日、P.05(イタリア)が1975年12月5日。

高度なアビオニクスを操るため複座型のみの生産となり、長い航続距離STOL性能が要求されたために可変後退翼や近代多用途機には珍しいスラストリバーサーを装備するという、小型機としては異例の設計となった。
当初は共通の機体を設計して装備変更により各種任務へ対応する計画だったが、これは実現せず、任務別に大別して三種類の機体が存在する。

なお、イギリス空軍は2019年までにトーネードを全機退役させ、戦術戦闘機をタイフーンF-35Bに置き換える計画を発表している。

tornado.jpg

Tornado F3
Photo: Royal Airforce

スペックデータ
タイプトーネードIDS/GR.4トーネードADV/F.3
乗員2名(操縦士、兵装管制官)
全長16.72m18.68m
全高5.95m
翼幅13.91m(主翼最大展開(後退角25度)時))13.91m(主翼最大展開(後退角25度)時)
8.60m(後退角67度)
翼面積26.6屐文綢牾25度)30屐兵舁禳蚤臈験(後退角25度)時)
空虚重量14,090kg14,500kg
戦闘重量21,500kg
最大離陸重量27,986kg
エンジンターボファン×2基
ターボ・ユニオン RB199-34R
推力38,7kN/66 kN(リヒート使用時))
22号機まで:
ターボユニオン RB-199-34R MK-103
(推力40.5kN/71.2kN(リヒート使用時)
23号機以降:
ターボユニオン RB-199-34R MK-104
(推力40.5kN/73.5kN(リヒート使用時)
内部燃料搭載量6,350kg
最大速度マッハ2.2
航続距離3,895km(フェリー飛行時、2,105海里)
2,780km(1,500海里)
-
実用上昇限度15,240m21,335m
戦闘行動半径-300nm(超音速迎撃)
1,000nm+(亜音速迎撃)
固定武装マウザーBK27 27mm機関砲(装弾数125発)×2門
兵装
最大兵装搭載量胴体下及び翼下のハードポイント
最大9,000kgまで
翼下及び胴体下に
最大8,500kgまで
AAMAIM-9
IRIS-T?
AIM-132 ASRAAM?
AIM-9
AIM-132 ASRAAM?
スカイフラッシュ
AIM-120 AMRAAM
ASMワスプ
シーイーグル
AS.34 コルモラン
-
AGMブリムストーン
ストームシャドウ
AGM-65
タウルス KEPD350
-
ARMALARM
AGM-88 HARM
ALARM(EF.3)
爆弾JDAM
HOPE/HOSBO GPS/INS誘導爆弾
JP233ボムレット・ディスペンサー
MW-1ボムレット・ディスペンサー
BL755クラスター爆弾
ペイブウェイシリーズ
通常爆弾
B61・WE.177自由落下型戦術核爆弾
-
ポッド/増槽類ECMポッド
AN/AAQ-28(V) LITENING ターゲッティングポッド
TIALD*2ポッド
増槽
AR123246/1「スカイシャドウ」ECMポッド
BOZ100チャフ/フレア・ディスペンサー
増槽


派生型

  • トーネードIDS:
    基本型で多用途攻撃機型。
    固定武装としてマウザーBK27 27mm機関砲を二門備える。

    敵の地上部隊・前線基地・後方支援艦艇などに打撃を与えるため開発された。
    慣性航法装置ドップラーレーダーの組み合わせにより、高精度の自律航法が可能である。
    また、敵のレーダー網をかいくぐるため地形追随飛行能力を持つ。

    エンジンには長距離侵攻のために燃費の優れるRB199ターボファンが設計され、双発で装備された。
    対空砲火を避けるためきわめて小型の機体設計となり、低空での安定性を重視して翼面荷重や垂直尾翼面積は大きく設計された。
    しかし湾岸戦争ではこの戦術が仇となり、複数の機体が無照準対空砲火の犠牲となった*3
    地形追随飛行による滑走路破壊任務が終了した後、高空からのレーザー誘導爆弾による攻撃任務では高い戦果を挙げた*4

    • トーネードECR:
      ドイツ空軍イタリア空軍で使用されている電子戦闘偵察型。
      電子戦闘偵察と謳っているが、実際の主任務は敵防空網制圧である。
      固定武装を廃し、レーダー攻撃用のAGM-88 HARMと自衛用のAIM-9ECMポッドなどを装備する。
      なお、相違点としてはイタリア空軍のECRは赤外線画像システムを搭載しているのに対して、ドイツ空軍のECRはSEAD任務に徹するため搭載していない点である。

    • トーネードRECCE:
      ドイツ空軍が開発した偵察機型。
      偵察ポッドを搭載。

  • トーネードADV:
    IDSをベースに開発された防空・要撃戦闘機(全天候戦闘機)型。
    イギリスがライトニングファントムFGR.2の後継として独自開発した。

    戦闘空中哨戒要撃などの任務に対応するため、大幅な設計変更がなされた。
    空中戦に対応するため、AI.24「フォックスハンター」パルスドップラーレーダーの装備、空力特性の改善、エンジンの強化、可変後退翼の自動化などをおこなった。
    滞空時間を延長するため、胴体を延長して燃料タンクを増設し、左舷の機関砲を外して空中給油用の引込式プローブを装備した。
    固定武装はBK27が1門のみで、胴体下にスカイフラッシュAIM-9といった空対空ミサイルを装備する。

    英空軍の他、サウジアラビア空軍に24機が輸出・運用され、イタリア空軍も1993年から2003年まで24機をリースで使用していた。

    日本のFSXに提案された型がこのADVで、ADVの長い胴体で燃料容量と兵装搭載スペースを確保した上で、この機のファイアフォックスレーダーにIDSの対地攻撃能力を付与する案であった。
    一時は日本のFX(次期主力戦闘機)の母機としてイギリスから提案があったが、F-15J/DJが採用されたため、実現しなかった。

    長らく西欧の防衛を担ってきたが、ユーロファイター・タイフーンに更新され、イギリス空軍では2011年3月に最後の運用部隊が解散し、退役した。

イギリス空軍向け

  • トーネードGR.1:
    イギリス空軍向け攻撃機型。
    基本はIDSと同様だが、レーザー測距・目標指示装置(LRMTS:Laser Range Finder and Marked Target Seeker)が装備されている。
    後にALARM?対レーダーミサイルを使用できるように改修され、敵防空網制圧も任務となった。

    • トーネードGR.1A:
      GR.1の偵察機改修型。
      機関砲を2門から1門に減らし、その箇所にTIRRS*5とIRLS*6を装備した。

    • トーネードGR.1B:
      バッカニアの後継として配備された対艦攻撃型。

    • トーネードGR.4/GR.4A:
      MLU(Mid-Life Update)改修型。
      電子機器や兵装システムが一新され、GPSの受信能力が備えられた他、広角ヘッドアップディスプレイFLIR、暗視ゴーグルなども追加装備された。
      この改修により夜間攻撃能力が向上したほか、レーダーに依存しない航法能力を獲得した。

  • トーネードF.2:
    要撃戦闘機型の初期型。

    • トーネードF.2A:
      F.2の電子機器をF.3と同等にした型。

  • トーネードF.3:
    エンジンと電子機器を変更した改良型。


*1 計画当初はオランダも参加していたが、途中で脱退している。
*2 Thermal Imaging Airborne Laser Designator.
*3 ただし湾岸戦争全体を通して見た場合、本機がもっとも被害の少なかった機種とも言われている。
*4 この際は低空での運動性に優れるバッカニアがレーザー照準を担当しており、こちらもやはり被害が発生している。
*5 Tornado Infra-Red Reconnaissance System.
*6 Infra-Red LineScan?.

添付ファイル: filetornado.jpg 3186件 [詳細]

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